100年後が満期の債券は誰が発行している?
世界には多様な債券が存在&流通しておりますが、満期日が設定されていない永久債を除きまして、満期日が最も長い債券はどのような債券でしょうか?興味本位で調べてみました。
先に結論から申しますと米ドル建て債券で、現状最も満期日が遅くに来る債券は南米のペルー共和国が2020年11月28日に発行しました約100年債が最も満期日が遅い債券になります。ちなみに格付けはS&PでBBB+、表面金利は3.23%となり、満期日(元本が戻ってくる日)は2121年7月28日になります。
ユーロ建てで最も満期が遅く設定されている債券はアイルランド共和国が2020年11月に発行した100年債です。表面金利は0.74%で、満期日は2120年11月27日です。なおこの債券の2020年12月30日時点での単価は約147ユーロであり、最終利回りは0.2%程度となります。つまり今後約100年間継続して保有しても年間0.2%の金利しか受け取る事が出来ない債券です。
なおカナダドル建て債券ではカナダのマニトバ州が2020年3月に発行した100年債が最も満期日が遅く、償還日は2120年9月5日となります。マニトバ州は2.95%の金利を毎年払う事で100年間元本を返済せずに資金調達が出来た格好です。
最後に日本円建て債券を見ますと東京メトロが2020年9月に発行した70年債が該当します。満期日は2070年9月18日で表面金利は1.072%となります。2020年12月30日現在の単価は97.677ですので、最終利回りは1.145%(年率)となります。
日本円建て債券で満期が長期の債券の発行体をみますと、東京メトロに加えまして、東京ガス、JR西日本、日本開発銀行、JR東日本、大阪ガス、三井不動産、三菱地所などインフラ系企業が長期債を発行している事が分かります。収益基盤が安定している事が債券市場で資金調達が出来る理由かと思います。
一方米ドル建て債券の発行体を見ますとオーストリア共和国、イスラエルなどの政府に加えて、フランスの国営鉄道会社であるSNCFや英国のオックスフォード大学、アメリカのジョージタウン大学、カルフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学、南カルフォルニア大学などが長期債の発行体として名を連ねます。国やインフラ系企業だけでは無く、大学が長期債を発行しているのは日本の円建て市場とは異なる特色であり、米国の債券市場の多様性を示す一例とも言えます。