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記事一覧

死がふたりを分かつまで

 青空に白く尾を引くジェット噴射は、いつもより速度が乗っている。  全く、厄介な相棒を持…

摩撫甲介
3か月前
31

戦場を着た男

 倉庫を整理していると、隅に耐火布の被さった小山があるのに気づいた。  近くで札束を数え…

摩撫甲介
3か月前
42

資料性博覧会17へ行った結果、2万円散財した話

 おれのことは摩撫甲介と呼んでくれ。毎日大量の本を読んでいるがお前たちにレビューするつも…

摩撫甲介
6か月前
14

バキラが首都にやってくる

「おーい少尉、しょーうい! デートに来たぞう!」  時速500km超で飛行する機動艦の尻に突き…

摩撫甲介
1年前
26

非合法無人傭兵

 まずカメラが回復する。  青空と暗黒雲海。  意識のタイムスタンプを確認。断絶は数秒間。…

摩撫甲介
1年前
38

お正月レバーアタック

おれのことは摩撫甲介と読んでくれ。この前改名した。「まぶ」だからな。 上の記事のアンサー…

摩撫甲介
2年前
20

ほほえみを焼き落とせ

「神野さん、もう悲しむことはありません」  病室のベッドの娘の亡骸に埋めていた顔を引き上げると、仏陀が立っている。  その指が伸びて己の涙を拭うのを、神野は咄嗟に払いのけた。 「なんなんですかアナタ」  仏陀は優しげな笑顔を見せると、娘の額に手を当てた。  そこから放出された金色の光が娘に染み込んだ。仏陀は神野の手を取り、彼女の額にそっと当てる。  温かい。  息の詰まっている神野へ向け、仏陀は表情を変えぬまま言う。 「この礼として、貴方には私に手を貸して頂きたいのです」  

鉛のあしゅら

 改造医の河豚は簡単に折れた。  河豚が扉越しに声をかけると、ガラス戸がかっ開き、待たせ…

摩撫甲介
2年前
23

宙、つめたく冷えて

 横薙ぎに椅子を男のこめかみに叩きつける。  吹っ飛んだそいつに椅子を投げつけ、腹の包丁…

摩撫甲介
3年前
33

空に噛みつく青い鳥

  犬の群れが追う。  ドアを叩きつけ、もつれる手で鍵を刺す。  ロックが掛かり、吠え声…

摩撫甲介
3年前
31

ホールケーキはもう出ない

 母さんは昨日のことが嘘みたいなニコニコ顔のまま、お皿を2つ、僕とカナの前にそれぞれ置い…

摩撫甲介
3年前
29

逆噴射聡一郎先生からコロナビールが届いたぞ

おれのことは摩部甲介と呼んでくれ。 クリスマスプレゼントがあった。(文庫本は個人情報隠蔽…

摩撫甲介
4年前
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逆噴射小説大賞2020大賞、受賞

朝起きてツイッターを見ると通知があった。 大賞おめでとうございます!だと。 記事に飛んだ。…

摩撫甲介
4年前
51

逆噴射小説大賞2020 第一次&二次突破したからもう一杯酒を呑む

喰いかけのボロニアソーセージを齧りながら安スコッチをちびちびやっていると、通知があった。 投稿した4本のうち、3本が選考を突破。 驚きがあった。 自信作の「牙に生え変わるとき」が落ちたからだ。 不満だが選考メモを読み一人合点する。 こいつはすごく予告編じみている。 大藪春彦要素と某モンちゃんを元ネタにした男を出せて満足したらこのざまだ。 続きは書くかもしれないし書かないかもしれないし書かないだろう、多分。 それとなにか、昨年に続き一番スキをもらった作品が落とされてるのは