「ハイブリッド車」vs「電気自動車」どっちがエコ?どっちが便利?違いは?
3級整備士の闇です!
第155回の今回はハイブリッド車と電気自動車について書いていきたいと思います。
〈いいとこどりの「ハイブリッド車(HV車)」〉
お花のバラで「ハイブリッド種」といわれる種類をご存じの方も多いでしょう。異なる2つの品種を人工的に掛け合わせた新しい品種のバラのことです。
同様に、これまでの「ガソリンエンジン」と「電気モーター」を掛け合わせたのが「ハイブリッド車」です。
つまり、ガソリンと電気モーターの“いいとこどり”をした車といえます。
また最近では電気自動車のように、一般化定の電機コンセントにつないで充電できるプラグインハイブリッド車も販売されています。
〈【メリット・HV車】とにかく燃費が良い〉
これまでのガソリンエンジンの車と同じように「普通に乗れる」「安心して使える」という点がハイブリッド車の最大のメリットでしょう。
ハイブリッド車は、エンジンとモーターの両方を使って走ります。
蓄電池に電気がたっぷりあるときは主にモーターで、電気がなくなってきたり、高速道路などでパワーが必要になったりしたときはエンジンが動き出して、それぞれが協調して走ります。状況に合わせて最も効率よい走り方をエンジンとモーターが一緒になって作り出す、そんなイメージです。
ですから、ガソリンがあれば充電量を気にすることなく走り続けることができます。燃費が良いので、満タンで1,000キロ以上走れるハイブリッド車もたくさんあります。東京と大阪の距離が約500キロですから、1回満タンにすれば往復できてしまうことになります。
〈【デメリット・HV車】ガソリンを使用する〉
一般的に、ガソリンエンジンそのものの効率はそれほど良くありません。
ガソリンを燃やしてそれがどれだけ走るエネルギーになっているか、それを測るものさしに「熱効率」がありますが、ガソリンエンジンはわずか15%。
残りの80%以上は、熱や排気ガスとして放出されてしまっているのです。燃費が良いといわれているディーゼルエンジンでも18%程度です。
また、私たちユーザーにとって切実な問題として、価格が高いこともネックです。ガソリンエンジンのほかに蓄電池やモーターを備える必要があり、その分クルマの値段に跳ね返っているからです。普及が進んで価格もだいぶこなれてきましたが、それでも一般的なガソリン車よりも高価格になります。ハイブリッド車はガソリン車に比べ燃費が良いため、ガソリン代が節約できておトクといわれます。
しかし、少なくても年間で1万キロ以上走り、それを10年間続けないと価格差は解消できないと言われています。長距離運転を頻繁に行うユーザーにはハイブリッド車がオススメです。
〈ゼロ・エミッションの「電気自動車(EV車)」〉
これまでのガソリンエンジンのように、CO2などの汚染物質を一切出さない「ゼロ・エミッション」のクルマが理想とされています。そのひとつのかたちが、電気自動車です。(※EV車とは、Electric Vehicle=日本語で電気自動車のこと)
ガソリンエンジンを使わず、蓄電池とモーターにより「電気の力だけ」で走ります。
ですから汚染物質はもちろん、気になる排気熱やうるさい騒音などもない、究極のエコカーといえます。
〈【メリット・EV車】ガソリンを使わず環境を大切にできる〉
ハイブリッド車の項目であげた「熱効率」は、石炭や天然ガスを利用して電気発電した場合、約50%といわれています。
その電気だけで走るわけですから、熱効率わずか15%程度のガソリンエンジンを使うハイブリッド車よりもはるかに効率が良く、地球環境にもやさしいといえます。
ガソリンエンジンにガソリンスタンドが必要なように、電気自動車には充電スタンドが必要となります。私たちが電気自動車を使ってあちこち出かけるには、こうした施設が欠かせませんが、それらがいま、急速に普及しつつあります。
ショッピングセンターや駅前、高速道路のサービスエリア、市役所といった公共施設など、さまざまな場所で充電スタンドが整備されつつあります。
また、充電スタンドを備えたマンションや、一戸建てなども建築されるようになっています。地球資源を大切に活用し、環境にやさしい電気自動車を利用しやすい環境整備が進められているといえます。
〈【デメリット・EV車】一度に走れる距離が短い〉
走行距離が短いことがまずあげられます。満充電でも東京から名古屋あたりまでがやっと、という車種が多いようです。
暑くてエアコンを使ったり、夜にライトをつけたり、雨でワイパーを使うなどして電気の使用量が増えれば増えるほど、航続距離に影響してきます。充電スタンドが整備されつつあるとはいえ、まだ全国すみずみにまで揃っているわけではありません。航続距離を伸ばすために、エアコンもステレオも我慢して走る、といった状況も起るかもしれません。最悪の場合は、ストップしてしまうことも考えられます。
長距離を利用する機会が多い場合は、やはりハイブリッド車やガソリン車をチョイスした方が無難でしょう。しかし、買い物や通勤で近所しか走り回らない、という利用方法であれば、選ぶ理由はあるかもしれません。
ただし、ハイブリッド車同様、蓄電池とモーターの価格が高く、必然的に電気自動車本体も高価となりますので、その点は購入の際のネックといえます。
今回はハイブリッド車と電気自動車について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!