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タイヤ交換は1本だけでも大丈夫?パンク時の適切な対応方法を解説
3級整備士の闇です!
第161回の今回は車のタイヤ交換は1本だけでも大丈夫について書いていきたいと思います。
〈1.1本だけのタイヤ交換はNG?全数交換が推奨される理由〉
結論からお伝えすると、パンクしたタイヤ1本だけを交換するという対応方法は、推奨されていません。基本的に、タイヤ交換は4本すべての交換(全数交換)が推奨されています。その理由として、主に2つあげられます。
・グリップ力に差が生まれて安定性が低下する
・駆動系に負担がかかり故障の原因になる
(1)車の安定性が大きく低下する
新しいタイヤは溝が深く強いグリップ力を発揮しますが、使用し続けると摩耗して溝が浅くなり、グリップ力が低下します。タイヤ交換を1本だけ行うと、新しいタイヤと古いタイヤが混在することにより、各タイヤのグリップ力に差が生じてしまうのです。
新しいタイヤと古いタイヤでは、外形にも差があります。こうした違いによって、走行中のバランスが崩れ安定性が失われてしまうことにより、車の安定性が大きく低下して思わぬ事故の危険性が増します。
(2)駆動系に負担がかかり故障の原因になる
四輪駆動車(4WD)などの車は、駆動系に4つのタイヤの回転差を調整するためのシステムが備えられています。1本だけタイヤを交換してしまうと、タイヤごとの回転数が均一ではなくなります。その結果、デフ(ディファレンシャルギア)やクラッチがその回転差を補おうと常に働き続けることで、システムが摩耗して故障のリスクが高まってしまうのです。
〈2.ケース別:タイヤ交換の推奨本数〉
冒頭で「タイヤ交換は全数交換が基本」とお伝えしましたが、使用している車の種類やパンクした状況によって、推奨される交換本数は変わります。ここでは、大きく3つのケースに分けてタイヤ交換のおすすめ本数を解説します。
(1)タイヤがまだ新品であれば1本だけの交換も可能
もしも4本のタイヤをすべて新品にしたばかりのタイミングで、タイヤがパンクしてしまったという場合は、1本だけ交換しても問題ありません。タイヤを交換するときは、同じブランド・型番のタイヤを選ぶことで、他のタイヤとのグリップ・回転数に差が生じなくなります。
ただし、このケースは使用期間・走行距離が非常に少ないという条件なので、ケースとしてはかなり限定的です。
(2)二輪駆動車(FF車・FR車)は最低2本のタイヤ交換を推奨
二輪駆動車を運転していてタイヤがパンクしてしまった場合、最低でも前輪の2本、あるいは後輪の2本を交換しましょう。二輪駆動車は、主に前輪駆動のフロントエンジン・フロントドライブ(FF)車とフロントエンジン・リアドライブ(FR)車とがあります。FF車の場合は前輪が、FR車の場合は後輪が車のコントロールに関わっているのが特徴です。
そのため、それぞれの場所に状態の良いタイヤを装着させておくことで、運転時の安定性を確保しやすくなります。
(3)四輪駆動車(4WD)は4本すべて交換が基本
四輪駆動車(4WD)のタイヤ交換は、基本的に4本すべて交換することが推奨されます。四輪駆動車は、駆動力が全てのタイヤに均等に伝わる仕組みになっています。1本だけ摩耗度合いが異なるタイヤが混在すると、駆動力のバランスが崩れ、車両の制御性が落ちる危険性があるのです。
またタイヤの摩耗度による回転数の違いは、デフやトランスミッションなどの駆動系に過度な負荷をかけ、故障の原因にもつながります。したがって、四輪のタイヤ交換は4本一組で行うことが、安全でかつ車両を長持ちさせるために重要です。
〈3.タイヤがパンクする主な原因〉
タイヤを1本だけ交換する主な理由は「パンク」です。パンクの原因はさまざまですが、大きく3つ考えられます。
・釘や破片・突起物を踏む
・サイドが縁石に当たる
・空気圧不足
(1)釘や破片などの突起物を踏む
道路上に落ちていた釘や破片などの突起物を踏むと、タイヤに穴が空き徐々に空気が抜けていきます(この現象を「スローパンクチャー」と呼びます)。突起物を踏んで生じるパンクは、タイヤの空気がある程度抜けるまで気づかないことが多いです。
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(2)サイドが縁石に当たる
タイヤの側面(サイドウォール)が縁石に当たることで、側面にキズがつきそこから空気が徐々に抜けていきます。あるいは、タイヤがえぐれて耐久性が下がり、バーストしてしまいます。縁石にぶつかってしまったら、必ず安全な場所に車を止めてタイヤの状態をチェックしましょう。
一見して損傷が見当たらない場合でも、タイヤ内部が損傷していることもあります。カー用品店や自動車整備工場で、点検してもらうことをおすすめします。
(3)空気圧が不足している
適切な空気圧を保つことは、タイヤの寿命を延ばすだけでなく、パンクを防ぐ効果もあります。空気圧が不足していると、タイヤが過度にたわんで側面のひび割れ・摩耗を引き起こしたり、内側のゴムが裂けたりしてパンクにつながってしまいます。
〈4.修理できるパンクと修理できないパンク〉
タイヤのパンクは、パンクの原因やタイヤの状況により、修理できるケースもあればできないケースもあります。それぞれのケースを見てみましょう。
(1)修理できるケース
釘や破片が刺さった場合のパンクは、トレッド面(地面に接している部分)であれば修理できるケースが多いです。他の条件として、「穴の大きさが6mm以内」「穴の数は2カ所まで」「穴と穴の間隔が40cm以上離れている」といった条件に該当する場合、修理可能と判断できます。
とはいえ、この条件に該当するとしても、修理できないケースもあるので、店舗や整備工場に相談してみてください。
(2)修理できないケース
タイヤのサイドウォールやショルダー部(トレッド面とサイドウォールの間の部分)に穴、ひび割れ、キズなどがある場合は、修理ではなく交換をおすすめします。タイヤの側面は走行中、常に変形を繰り返しながら車の重量を支えるタイヤにとって一番重要な部分です。
外見にキズが見られない場合でも、「ピンチカット」という現象が起きている場合は、タイヤを修理できません。ピンチカットは、タイヤ内部のワイヤーなどが断裂している状態を指します。
ピンチカットが起きたタイヤは、内部の空気漏れによってコブのようなものができます。この状態を放置すると、バーストの危険性もあるので、なるべく早く新品のタイヤに交換しましょう。
(3)修理後はこまめに空気圧をチェックしよう
タイヤを無事修理できたとしても、タイヤの強度自体は大きく低下しています。運転の負荷によって、同じ場所からまた空気が漏れてしまうかもしれません。運転前後など、定期的にタイヤの状態や空気圧をチェックしましょう。少しでもタイヤの見た目や空気圧に異常を感じたら、店舗や整備工場で点検するか、新品タイヤへの交換を検討してください。
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〈5.タイヤのパンク予防対策〉
タイヤのパンクリスクを少しでも減らすために、どのような予防策を立てればいいでしょうか?おすすめの方法を3つ紹介します。
(1)空気圧を定期的に確認する
タイヤの空気圧を適切に保つことは、パンクのリスクを下げるだけでなく、タイヤの性能の維持にも重要です。定期的にタイヤの空気圧をチェックする習慣を持つことで、パンクなどのトラブルを早期発見できます。
ガソリンスタンドやディーラー、整備工場などは無料で空気圧をチェックしてくれます。先ほど紹介したエアゲージを使用してもいいですが、自分での点検が不安な場合はプロにチェックをお願いしましょう。
(2)タイヤローテーションを行う
タイヤローテーションとは、タイヤの位置を周期的に交換することです。タイヤは車種や運転条件により異なりますが、一般的には5.000〜10,000km走行したら行うことが推奨されています。
ステアリングやブレーキでタイヤは徐々に摩耗していきますが、すべてのタイヤが均一で摩耗していくわけではありません。運転環境や車の駆動系によって、タイヤの摩耗に偏りが生じます。タイヤローテーションを行うことで、摩耗の偏りを減らして、パンクのリスクを均一に保てるのです。
(3)タイヤパンク保証に加入する
パンクの予防策ではありませんが、急なパンクのリスクに備えて「タイヤパンク保証」に加入するというのも、有効な対策です。タイヤパンク保証(パンク補償など、店舗によって名称は異なります)は、何らかのトラブルでタイヤがパンクした場合、タイヤの費用や交換費用などを負担してくれるサービスです。
タイヤの交換には、大きな費用がかかります。タイヤパンク保証によって、経済的な負担を大きく軽減できます。保証の内容は店舗や地域によって大きく異なる他、保証サービスを用意していない店舗もあります。タイヤの購入を検討している店舗に、タイヤパンク保証があるのか、事前に問い合わせてみましょう。
今回は車のタイヤ交換は1本だけでも大丈夫について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!