
タイミングチェーンは10万kmで交換不要?タイミングベルトとの違いは?
3級整備士の闇です!
第99回の今回はタイミングチェーンについて書いていきたいと思います。
〈タイミングベルトとタイミングチェーンの役割〉
エンジンの「クランクシャフト(芯)」の回転を、エンジンヘッドにある「カムシャフト・バルブ」という吸排気に関わるパーツに伝えて同期するのがタイミングベルト&タイミングチェーンの役割です。
一般的な4ストロークエンジンにおいて、かなり重要な役割を担う部品となっています。
一般的なタイミングベルト式は「静かで、エンジンをバラすことなく外から交換できる」というのが特徴でした。但し、約10万kmを目安に交換する必要がありました。(とある外車だと、ライフはさらに短いという報告も)
しかし、最近は「タイミングチェーン式」が増加傾向?? それは技術の進歩によるものでした。
〈タイミングチェーン式が増えてきた理由〉
旧車の時代にも、タイミングチェーン式は存在しましたが、「エンジン内部にある」点や「伸びやすい」「静粛性が劣る」等の技術的な課題がありました。
エンジン本体をバラして調整するのは、工賃が多く発生する作業だったのです。
そこでゴムベルト式を採用。
外部に設置しても静かで、エンジンをバラすことなく交換可能。テンショナーなども外部から交換・調整が可能です。
しかしゴム素材は「経年劣化」が避けられません。エンジンに直接関わる部分なので、切れると一大事となります。
その他、強度・油分に弱い・スペース等の問題もありました。
基本的には交換すれば良いのですが、エンジンの省スペース化も進んでおり「最近の車は、エンジンスペースの隙間が狭すぎてエンジンを降ろして交換しないと・・・」「更にエンジンルームが狭いので、降ろすのも大変」という状態になってしまいました。
そこで、新たな技術進歩を遂げたタイミングチェーンが活躍します。
高性能タイミングチェーンは品質向上&コマを細かく小さくし、さらには2~3重を巻いて駆動することも。
伸びにくく、エンジン内部に入り、ベルトに必要だったスペースを削ることが可能になりました。
〈タイミングチェーンは本当に30万km持つのか??〉
日本車のみならず、世界的にもタイミングチェーン式への移行は進んでいます。
「本当に30万km走ったうえで、確認しても問題なかった」という声も多いです。
(一般的な走行でも回転数上昇しやすい軽自動車では寿命が異なる場合も)
上記は勿論「オイル交換」をしっかり行ったケースです。
では30万kmを遥かに超える・・・それ以上の過走行車で走る場合は??という疑問に関しては「エンジンのオーバーホール時の交換」となるでしょう。
チェーン交換が前提とされていない場合、単体で交換を行えば高くつきます。
しかし、30万km以上走ったなら、エンジン内部チェックと洗浄を行い、他の消耗品交換(ピストンリング、ガスケット、シール類、その他)を行う時期と重なることも多いでしょう。
その点でもタイミングチェーン式は効率が良いのかもしれません。
タイミングベルトからタイミングチェーンへ・・・・多くのエンジンが移行しつつあります。交換という負担が減る・・・という点と同時に「ユーザー自身のメンテナンス」が欠かせないということになりました。
しかし、ベルト交換の機会が減るということは、整備士によるチェックがその時入らないとも言えます。
定期的な交換部品が減ったということは、同時にユーザーの自己による車両管理が重要になったともいえるでしょう。こまめなメンテナンスは欠かさず、安全なカーライフを楽しみましょう!
今回はタイミングチェーンについて話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!