車の排気量とは?調べ方や排気量の大きい車のメリット・デメリットを解説
3級整備士の闇です!
第103回の今回は車の排気量について書いていきたいと思います。
〈車の排気量の役割とは?〉
車のスペックを確認する際に、「排気量」という項目を目にしたことがある方は多いでしょう。排気量は運転性能だけでなく維持費の違いも生んでいます。きちんと理解していれば、自分に合った車選びができるでしょう。まずは、排気量の役割について解説します。
〈エンジンパワーとしての役割〉
排気量とは、ピストン運動により燃料を燃やしてエネルギーを生み出すシリンダー内の容積のことです。シリンダー内では、空気と燃料を混ぜ合わせて圧縮・爆発させることでエネルギーを生み出します。
シリンダー内の容積によって使用する空気と燃料の量が異なり、これが排気量の力の差です。容積が大きければ空気や燃料を多く吸引・排出でき、得られるエネルギーも増えます。
〈車のカテゴリーとしての役割〉
排気量を大きくするためには、エンジン内部のシリンダー容積を増やす必要があるため、エンジンそのものも大きくなります。エンジンの大きな車はパワーがある車ということになり、それに比例して車体も大きくなるのが一般的です。
車をカテゴリー分けする場合にもこの排気量が使われます。例えば、道路運送車両法においては、車の大きさと共に排気量の規定があり、それにより「軽自動車」「小型自動車」「普通自動車」に分類しています。なお、これは道路交通法の分類とは違うため注意が必要です。
分類
総排気量
大きさ
ナンバープレート
軽自動車
660cc以下
長さ3.4m以下
幅1.48m以下
高さ2.0m以下
黄色のナンバープレート
小型自動車
2,000cc以下
(ディーゼルは除く)
長さ4.7m以下
幅1.7m以下
高さ2.0m以下
白のナンバープレート
分類番号は5か7
普通自動車
上記以上
上記以上
〈自動車税としての役割〉
毎年支払う自動車税(種別割)も、排気量によって税額が違います。
道路運送車両法の分類
総排気量
新車登録が2019年9月30日以前の乗用車にかか自動車税新車登録が2019年10月1日以降の乗用車にかかる
自動車税
軽自動車
660㏄
1万0,800円
1万0,800円
小型自動車
1,000㏄以下
2万9,500円
2万5,000円
1,000㏄超~1,500㏄
3万4,500円
3万500円
1,500㏄超~2,000㏄
3万9,500円
3万6,000円
普通自動車
2,000㏄超~2,500㏄
4万5,000円
4万3,500円
2,500㏄超~3,000㏄
5万1,000円
5万円
3,000㏄超~3,500㏄
5万8,000円
5万7,000円
3,500㏄超~4,000㏄
6万6,500円
6万5,500円
4,000㏄超~4,500㏄
7万6,500円
7万5,500円
4,500㏄超~6,000㏄
8万8,000円
8万7,000円
6,000㏄超~
11万1,000円
11万円
〈排気量の調べ方〉
車を購入する際はもちろん、今自分が乗っている車についても排気量をきちんと把握しておくことは重要です。ここでは排気量を調べる方法を2つご紹介します。現在所有している車の排気量を知らないのであれば、ぜひ確認してみましょう。
〈諸元表からチェックする〉
1つ目は車の諸元表から確認する方法です。諸元表はある製品に関する性能や性質・仕様などを表にまとめたもので、自動車はもちろんさまざまな工業製品に使用されています。
諸元表には、車名や型式・排気量などの基本情報だけでなく、燃料・走行・制動などに関わる装置の性能や仕様も記載されています。これらの情報は、自動車メーカーの公式サイトなどでも確認できるでしょう。
〈車検証からチェックする〉
2つ目は車検証を確認する方法です。正式な名前は「自動車検査証」ですが、一般的には車検証と呼ばれています。これは、車の所有者が誰であるか、車がきちんと車検を通っているかを明らかにする公文書です。
車検証には、車のメーカーや分類・所有者の名前・重量などに加え、排気量が明記されています。車検証は運転時に携行が義務付けられているため、すぐに確認できるでしょう。
〈排気量が大きい車に見られるメリット〉
排気量が大きければエネルギー量も増えるということがわかっても、実際に運転するうえで何が変わるのか理解できていない方もいるでしょう。ここからは、排気量の大きな車にはどんなメリットがあるのか、排気量の違いが走行性能にどう影響するのか解説します。
〈馬力が強い〉
車の走りを表現するときに「馬力」という言葉を使います。これは「最高出力」のことです。車の最高速度は最高出力である「馬力」で決まります。一方、最高出力はトルクと回転数を乗じて算出したものです。排気量が大きければトルクも増大するため、最高出力である「馬力」も強くなるといえます。
トルクとは、エンジンが発生させる回転力のことです。この回転力が強ければ、加速性能が高まります。そのため、排気量の大きな車は「スムーズな加速ができる」というのがメリットです。
〈エンジン音が小さい〉
排気量が大きくなればトルクが増大する仕組みです。トルクが大きくなれば、少ない回転数で加速できます。そのため、アクセルを踏み込んでもエンジン音が小さく、振動も少なくなるのが特徴です。
とくに乗車人数や荷物が多いときの加速や、高速道路での合流時にはその静かさを実感できるでしょう。また、エンジンのパワーが強いため、エアコンをつけても走りに影響を与えません。静かでスムーズに加速できるという点が、排気量が大きな車の持つ最も大きなメリットといえるでしょう。
〈排気量が大きい車の特徴的デメリット〉
排気量が大きければ高い走行性能が期待できるわけですから、同じ価格なら排気量が大きいほどよいと考えるかもしれません。しかし、車を購入する際には、購入費用だけでなく維持費についても計算することが必要です。排気量の大きな車にとっての最大のデメリットといえる維持費について解説します。
〈ガソリン代がかかる〉
排気量が大きい車は、ガソリンをエネルギーに変えるシリンダー内の容積が大きいということです。大きなエネルギーを生み出すことで力強い走りができるわけですが、それだけガソリンも多く消費するということになります。
実際、排気量が大きく車体も大きな車は、総じて燃費がよくありません。例えば、排気量3,000ccの車では1Lあたり10km程度しか進めないのがほとんどのようです。とはいえ、最近はハイブリッド車など燃料効率の高い車も開発されています。燃費を考えるなら排気量だけではなく、エンジンの種類やメーカーなども確認することが必要でしょう。
〈税金が高い〉
排気量が大きくなるほど自動車税も増えます。これは燃費といった車の性能とは全く関係がありません。単に排気量がどれくらいかということで税額が決まるのが特徴です。
例えばSUV車の場合、排気量は2,000㏄から6,000㏄までかなり幅があります。2,000㏄の車を新車で購入した場合の自動車税は3万6,000円です。しかし、6,000㏄のものを購入すると8万7,000円で実に2倍以上になります。自動車税は毎年支払うものですから、この差を維持費には組み込んでおかなければなりません。
〈排気量が大きい車が向いている人〉
排気量の大きな車はどのような人に向いているのでしょうか。人によっては、排気量の大きさがカーライフをさらに快適にしてくれます。使い方によっては排気量の大きな車のほうが燃費もよいという場合もあります。ぜひ、自分のライフスタイルと照らし合わせながら確認してみましょう。
〈乗車人数が多いファミリー層〉
家族が多く一緒によく出かけるという家庭には、排気量の大きな車がおすすめです。排気量が大きい車はパワーがあるため、大人数が乗って重たくなっても楽に運転できます。
小さな排気量で重たい車を動かそうとすると、多くのエネルギーを必要とするため、かえって燃料をたくさん使います。また、加速や勾配のたびにストレスを感じることとなるでしょう。
〈アウトドアやドライブが好きな人〉
高速道路を使った長距離運転やアウトドアレジャーにも、排気量の大きな車が最適です。合流時や追い越しでの加速がスムーズなので、ロングドライブも楽にこなせます。
また、上り坂でもアクセルを強く踏み込む必要がなくエンジン音も小さいため、運転ストレスが軽減されるのがメリットです。心にも体にも余裕のある走りができるため、到着地で思いきり楽しむことができるでしょう。
〈豪雪地帯に住んでいる人〉
豪雪地帯に住んでいる人は、雪の降り積もった道路を運転することも想定して車を選ばなければなりません。そのような環境では、やはりパワーのある車がよいでしょう。排気量の大きな車であれば悪路にも対応でき、運転ストレスを軽減してくれます。
また、雪の降り積もった道では車高が高く安定した車のほうが視界もよく、運転しやすいといえるでしょう。このようなタイプの車であれば、排気量も大きくなる傾向にあります。
〈排気量が小さい車が向いている人〉
反対に排気量の小さな車のほうが向いている人もいます。排気量の大きな車が持つパワーが十分に発揮される環境にないのであれば、宝の持ち腐れになってしまいます。また、そのパワーや大きさが運転ストレスをかえって大きくしてしまう場合もあるでしょう。大切なのは自分の運転環境をきちんと分析し、自分に合った車を見つけることです。
〈運転が得意でない人〉
運転が得意でない人に最適な車は、コンパクトで小回りのきく車です。このタイプの車は排気量も小さくなります。
排気量が大きな車は車体も大きいため、車庫入れやカーブのたびに大きなストレスを感じてしまうことでしょう。こすったり傷をつけたり、脱輪したりすることさえあるかもしれません。小さな車で運転に自信をつけてから大きな車へとステップアップしましょう。
〈街乗りでしか利用しない人〉
都市部に住んでいて、ちょっとした買い物など近場への移動にしか車を利用しないという場合には、排気量の小さい車でも十分でしょう。運転距離も短く、速度もあまり出せない道では大きなパワーを必要としないからです。とはいえ、坂道の多い街やかなりの積載物を運ぶという方なら都市部であっても力のある車の方がよいかもしれません。
〈維持費を安く抑えたい人〉
排気量の大きな車は、ガソリン代と自動車税が高くなります。そのため、購入時には維持費を頭に入れて計算することが大切です。
長距離移動する機会がほとんどなく、独身や夫婦2人だけなど乗車人数も少ないのであれば、維持費を抑えられる小さな車のほうが適しています。いくら車両本体価格が安くても、長期的な維持費を加味すると、結局は高い買い物になってしまうこともあるでしょう。
今回は車の排気量について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!
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