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車検に必要な整備は整備士の資格のない無資格の人でもできるの?

3級整備士の闇です!
第57回の今回は整備士の資格のない無資格の人にもできるかについて書いていきたいと思います。

車検の前に行う車の整備は自動車整備士でなければやれないと思われがちですが、実際には業者に頼んでも主要な部位の整備以外は無資格の人が行う場合もあるとされています。

オイル交換やタイヤ交換などは無資格の人でも整備できます。そのため、自分で検査場に車を持ち込んで車検を受けるユーザー車検を行う場合も、事前の簡単な整備を自分ですることは可能です。

では、どのような整備なら無資格の人でもできるか詳しく見ていきますので参考にしてみてください。

〈無車検・無保険は法律違反で罰則が科される〉

車検を受けていない車もしくは車検の有効期限が切れた状態の車は「無車検車」と呼ばれます。

無車検車で公道を走行すると道路運送車両法違反となります。30万円以下の罰金もしくは6ヶ月以下の懲役が科せられます。違反点数は6点で、少なくとも30日間の免許停止処分となります。

また、自賠責保険も法律で加入が義務付けられている強制保険です。車の購入時と車検のタイミングで加入、更新していきます。

自賠責保険の未加入、もしくは有効期限が切れた車で公道を走行すると自動車損害賠償法違反となります。50万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役が科せられます。違反点数は6点で、同じく最低30日間の免許停止処分です。

自賠責保険は車検時に更新されるので、車検を受けなければ自賠責保険の期限も切れているというケースがほとんどです。

いわゆる「無車検無保険運行」の場合は80万円以下の罰金もしくは1年6ヶ月以下の懲役に科せられます。違反点数は12点で、90日間の免許停止処分が下されることになります。

〈車の整備は資格者の整備士が行う〉

車の整備は一般的に資格のある自動車整備士が行います。

自動車整備士は、車の不具合がないかを確認し、必要に応じて部品の分解や組み立て、整備などを行い、故障部位を修理する仕事です。国家資格であり、試験に合格して資格が取得できます。

自動車整備士は1級から3級までと特殊整備士の4つの種類に分けられています。1級がもっとも専門的な知識と技能が備わった整備士です。2級は車全般の整備が可能、3級は車の基本的な整備しか認められていません。

あまり馴染みがないですが特殊整備士は電気装置や車体、タイヤなどの専門知識に特に長けている整備士のことです。

自動車整備士になるには、高校卒業後に自動車整備専門学校に入学します。卒業すれば2級の受験資格を得ます。2級取得後の3年の実務実績により1級の受験資格が与えられます。

また、専門学校に入らなくても1年以上の実務経験により3級の受験資格、3年以上の実務経験により2級の受験資格を得ることも可能です。

〈車検のための整備は無資格でも可能〉

車検のために事前に業者では車の整備を行うのが普通です。

車の整備は自動車整備士の資格を有する人しかできないと思われがちですが、実際はそうではありません。無資格のスタッフでもできる整備があります。

それは、エンジオイルの交換やタイヤ交換などです。また、外装である板金塗装も無資格のスタッフが手伝いで作業に入ることもあります。

一方で、ブレーキなどの足回りやエンジンなど車を快適に、そして安全に走行させるための主要部位の整備は、車の知識や技術力、さらに経験が必要となってきます。経験が浅く、専門知識や技術に乏しい無資格のスタッフが作業を行うと整備不良になるだけではなく、故障や事故を招くことにもつながるからです。

〈無資格で働きながら自動車整備士の資格も取得できる〉

自動車整備士の資格を取得していない、いわゆる無資格の人でも整備工場などで整備の仕事に携わることは可能です。ただし、タイヤ交換など無資格だとできる整備内容も限られてきます。

自動車整備専門の学校を卒業しなくても整備工場などで働きながら、実務経験を1年以上積めば3級自動車整備士の受験資格を得ることはできます。専門学校に通うだけの経済的な余裕がない、働きながら学びたいとなど、実務経験を積みながら自動車整備士資格取得を目指すという人も多いです。

〈ユーザー車検なら費用が抑えられる〉

車検を受ける際は、車検業者に依頼をする人が多いですが、自分で陸運局へ車を持ち込み検査を受けるユーザー車検という方法もあります。

車検業者に頼むと、代行手数料や部品交換費用などがかかりますが、ユーザー車検なら自分で手続きするので費用が安く済むでしょう。難しそうだと敬遠されがちですが、実際にやっている人も結構います。

ユーザー車検に必要な書類をまずは調べて用意し、陸運局の予約システムにネットからアクセスしユーザー車検の予約を入れます。できれば事前に車検で検査される箇所を自分で点検し、業者に法定点検だけでも頼んでメンテナンスしておくと安心です。

〈無資格でもできる車検で必要な整備とは〉

ユーザー車検を受ける前に、自分で車検の項目に合わせて車を整備しておきましょう。無資格の人でもできる簡単な整備があります。

例えば、ブレーキランプやヘッドライトなどの灯火の点検、タイヤに溝が残っているか、ガラスに傷やヒビなどが入っていないか、メーター周りの警告灯が点灯していないかなどのチェックです。目視すればわかるので車にあまり詳しくない人でもできます。

具体的に車のどの部分をどうチェックすればよいかご紹介しますので、実践してみてください。

〈灯火装置の点検〉

車検では灯火装置に不備がないかをチェックされます。そのため、車に備わっている灯火装置が全てきちんと点灯するか、カバーが割れていないかなどを確認してください。

灯火装置は、ヘッドライトやバックランプ、ブレーキランプや、テールランプなどがあります。またナンバー灯やウィンカー、車幅灯などは忘れやすいので気を付けましょう。

もし消えているようなら電球を交換しなければなりません。交換は車種にもよりますが簡単にできるものもあるのでカー用品店などで電球を購入し、車の取扱説明書を見ながら行ってください。

電球をカバーするレンズに破損がみられると、光が外に漏れてしまいます。この場合はレンズの交換も必要となります。ただし、レンズにヒビが入っている程度で光が漏れていないなら交換しなくても問題ありません。

保安基準を満たさないクリアレンズを装着している場合は、車検に通らず再検査となるので、保管基準を満たすレンズに交換する必要があります。

〈タイヤのチェック〉


タイヤは溝が残りどの位の高さか、亀裂やひび割れがないかを目視します。溝に関しては一番すり減りがひどい部分でも1.6㎜以上は残量がなければ車検は通りません。

溝が1.6㎜を満たさず、タイヤがひどく劣化し、ひび割れなどが見られたら新しいタイヤと交換しなければなりません。

そして、車体からタイヤが10mm以上出ている場合は、不正改造車となります。正規のタイヤに交換しなければ車検を通せません。

〈ガラスのチェック〉

車のフロントガラスや側面ガラス、リアガラスにヒビや傷がないか確認しましょう。損傷がある場合は補修や交換の必要があります。

フロントガラスや側面ガラスにシールは貼っている場合も剥がしてください。ただし、車検後に貼る車検の有効期限が書いてある検査標章、点検ステッカーなどは貼ってあっても問題ありません。

さらに、フロントガラスと側面ガラスに着色フィルムが貼られてあるのも、不正改造車と見なされるので剥がしてください。リアガラスや運転席よりも後方の側面ガラスは着色フィルムが貼ってあっても問題ないでしょう。

また最近はドライブレコーダーを取り付けている人が増えてきていますが、取り付け場所によっては注意が必要です。法律で定められている「フロントガラスの上部から20%以内の場所」もしくは「ルームミラーの裏側」にない場合は取り外す必要があります。

〈内装のチェック〉

車の内装関係もチェックしてください。シートベルトの取り付け具合を確認します。

ヘッドレストは運転席、助手席とも装着しておく必要があります。市販のヘッドレストモニターを装着している場合は、車検の保安基準不適合となるものが多いので確認し、純正品に戻しておくと安心です。

カーテンに関しては、フロントガラスや運転席、助手席以外のものは問題ありません。運転席などについている場合は、外しておかないと車検で指摘されます。

また、リアガラスなどにネオン管を設置していても、保安基準には違反しません。しかし、強い光を放つ場合は不合格になる可能性もあるので外したほうが良いでしょう。

棚やラックなどを自作で装着している場合も、保安基準外であれば指摘されるので注意が必要です。

〈メータ-周りのチェック〉

運転席のメーター周りのチェックも必要です。

2017年2月よりメーター内のインジケーターランプ、いわゆる警告灯が点灯もしくて点滅している車は車検を受けることができないと決められています。

警告灯の色には意味があるので覚えておきましょう。

  • 赤色=危険

  • 黄色=要注意

  • 緑色=安全

まず前方エアバックは赤色の警告灯が点灯している場合は、エアバックの作動に関して不具合が生じていることを示しています。その場合、いざという時にエアバックが正常に作動しません。同様にサイドエアバックの警告灯も備わっており、赤色の警告灯が点灯していると万一の際に作動しない可能性があります。

ブレーキランプはサイドブレーキを作動させている際に点灯する赤色の警告灯です。サイドブレーキを解除すれば警告灯は消えますが、解除しても警告灯が点灯していればブレーキオイルが規定量以下になっている可能性があります。そうなってしまうとブレーキパッドの摩耗やオイル漏れなどが考えられ、ブレーキが効かなくなる可能性もあるので危険です。

他にもメーター周りの警告灯が点灯している状態が続けば、何らかの異常が起きている可能性があるので、整備工場などで見てもらってください。

〈ワイパーやウィンドウォッシャーの動作確認〉


ワイパーを動かして正常に作動するかどうか、こすれる音がひどいならワイパーゴムが劣化しているので交換が必要です。

また、ウィンドウウォッシャー液はきちんと噴射されるか、液がなくなっていないかを確認してください。ウォッシャー液がない場合は、カー用品店などで購入できます。補給の仕方も車の取扱説明書などを見れば、さほど難しくないので自分でやれる人もいるでしょう。

ウォッシャー液の吹き出しが弱い場合は、車検時に指摘される可能性があります。ノズルに汚れが詰まっている可能性が考えられるので、まずは先端がとがったもので汚れを除去してください。それでも改善されない場合は、整備工場で一度見てもらうことをおすすめします。

〈マフラーの排気漏れ〉

マフラーから排気漏れをしていないか、まずは目で見て確認します。停車した状態でアクセルを踏み、空ぶかしをして排気音に異音がしないかも聞いてみましょう。

また、エンジンをかけたときの音が以前より大きいと感じたら排気漏れしている可能性もあります。長期間車に乗らなかったり降雪地帯や沿岸部で使用している場合はマフラーが錆びて穴があき、排気漏れしやすくなります。

もし小さな穴があいている程度なら、「耐熱ねんどパテ」で穴を塞げば補修することが可能です。マフラーを温めてからパテで穴を埋め、できればヒートガンというドライヤーのような工具で温めて固めます。半日置いて完全に固まれば完成です。穴を埋めてすぐにエンジンをかけて走行すると、パテが取れてしまうので注意してください。

穴が直径5cm以上と大きい場合は、溶接やマフラー交換の必要が出てきます。専門技術が必要となるので整備工場などに依頼したほうが無難です。

〈ドライブシャフトブーツの確認〉

ドライブシャフトはエンジンの動力を各タイヤに伝える部品です。

車の走行中は足回りの部品、サスペンションの動きに合わせてドライブシャフトは動きます。滑らかに動かすために潤滑油であるグリースが入っています。走行時にグリースが外に飛び出ないようにゴム製のジャバラ状の部品が装着されており、これがドライブシャフトブーツです。

ドライブシャフトブーツは、前輪駆動車は前輪内側と車体の中央側に付いています。後輪駆動者は後輪内側と車体中央側に付いています。このドライブシャフトブーツが裂けたり、破れていないかを確認しましょう。

やり方としては、ハンドルをいっぱいまで切って下をのぞきこめば見えます。左右にあるので、両方をきちんと見ておいてください。

裂けてしまうと中のグリースが飛び出してホイールが汚れているのがわかります。そうなると潤滑不足になり、走行中に異音がすることがあります。異常がなければ車検でも問題ありません。

損傷が見られた場合、ドライブシャフトブーツを交換が必要となりますので、整備工場などに依頼し修理をしてもらいましょう。

〈ステアリングラックブーツの確認〉

ハンドルからの動力をタイヤに伝えるためにある棒状の部品がステアリングです。そのステアリングにごみなどが入らないように付けてある、ゴム製のジャバラ状のカバーがステアリングブーツです。

ハンドルをいっぱいに切り、前輪の隙間から車体の下、真ん中付近を除きこむと目視できます。ステアリングブーツに裂け目や傷があるかを確認してください。左右の前輪と連動しているので、ハンドルを左右に切って両方を忘れないように確認する必要があります。

ステアリングブーツに異常がなければ良いですが、破れていると車検には通りません。そのため、破れた箇所の補修もしくはステアリングブーツそのものの交換が必要となります。その際は整備工場に整備を頼みましょう。

〈整備に自信がない人は業者に依頼するのがよい〉

自分でユーザー車検前に必要な点検を行い、不備が見られても整備しなければ車検に通らない可能性が高いでしょう。しかし、マフラーの穴の補修や、ドライブシャフトブーツ、ステアリングブーツの交換となると自分でやるにはかなりハードルが高いと感じる人も多いはずです。

「車の整備関係の仕事についていた」「車が好きで自分でカスタマイズする」という人ならやり方を覚えれば自分でメンテナンスできるかもしれません。

しかし、特に車の構造などの知識がないメカに弱い人だと無理に自分でやれば余計に不良となり、故障にもつながります。自分の手に負えないときは無理に自力で整備しようとせずに、整備工場に持ち込んだほうが却って安くつきますし、安心です。

〈車検の前に予備検査場(テスター屋さん)を利用〉

ユーザー車検を行う陸運局周辺には、「テスター屋さん」と呼ばれる予備試験場があるところが多いです。

予備試験場は、陸運局で行われるユーザー車検と同じ内容に検査を事前に行ってくれる民間の検査場のことです。検査の手続きに書類は不要で、検査費用を支払うことになります。色々なコースがありますが、全コース料金は4000円前後と割とリーズナブルです。

必要な箇所だけを選んで検査してもらうこともできますが、その際は費用がもう少し安くなります。そのため、車検の前に受けておくと、本番で再検査になるリスクも低くなるのでおすすめです。

予備試験場では、前輪タイヤの横滑り具合を見るサイドスリップ検査やブレーキ検査、スピードメーター検査やヘッドライトの光軸検査、排気ガスの数値を測定する排気ガス検査などが行われます。

予備試験場は、全ての陸運局の近隣にあるわけではないので、確認してみてください。中には業者専門で一般の車持ち込みを禁止しているところあるので、注意しましょう。

〈まとめ〉

①車検に必要な車の整備は、できる整備内容は限られますが無資格の人でもできます。

②車検を業者に依頼すると代行手数料がかかります。

③自分で陸運局に車を持ち込むユーザー車検にすれば費用は抑えられます。

④主要な部品交換が必要なら無理をしないで業者に依頼しましょう。

⑤事前に低予算で車検と同じ検査ができる予備試験場を利用するのもおすすめです。

今回は整備士の資格のない無資格の人にもできるかについて話させていただきました
ぜひまた見に来てください!


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