ガソリン車の完全廃止はありえない?現在の状況や今後を想像してみよう
3級整備士の闇です!
第156回の今回はガソリン車の完全廃止ありえないについて書いていきたいと思います。
〈ガソリン車の廃止はありえない?〉
・日本政府は生産終了を目指している
2021年1月に日本政府は、2035年までに電動車100%の新車販売を目指すことを発表しました。
電動車(EV)とは、ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池自動車などです。全て電動車となることから、ガソリン車の新車販売はないと捉えられます。
この決定の背景にあるのは、国際的な地球温暖化対策を目指して採択されたパリ協定です。長期的な努力目標として、国際社会としてカーボンニュートラルの実現を目指すことになりました。
日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、それに伴うグリーン成長戦略を策定しています。目標実現に向けた項目のひとつが、ガソリン車の規制と電動化です。
・世界各国の対応も進んでいる
2021年に英国グラスゴーで開かれたCOP26では、パリ協定の目標実現に向けて、2040年までにゼロエミッション車への移行加速を目指す共同声明が発表されました。ゼロエミッション車とは、大気汚染物質・温室効果ガスなどを含む排気ガスがゼロの車両です。
ガソリン車廃止については、英国では2030年、米国カリフォルニア州では2035年までをめどとする方針が発表されています。他にも、フランス・カナダ・中国なども方針を打ち出している状況です。
〈ありえないとは言い切れないガソリン車の廃止〉
・ガソリン車に乗りづらくなることが考えられる
現時点ではガソリン車を所有する人は多いものの、ハイブリッド車や電気自動車などの選択肢が増えたことを理由に、ガソリンスタンドの店舗数は減少が進んでいます。
総務省消防庁はガソリンスタンドの数だけでなく、ガソリンの販売量も減少傾向にあることから、この先も減少していくのではないかとの見込みを発表しました。
加えて、初年度登録から一定期間経過した車は、自動車税や自動車重量税が重課されています。このようなことから、人によってはガソリン車への乗りづらさを感じるでしょう。
・2050年にはガソリン車の完全廃止もありえる
政府が発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、2050年に「製造」「利用」「廃棄」など車のライフサイクル全段階で二酸化炭素排出ゼロを目指すとしています。
この目標を果たすには、ガソリン車の完全廃止は不可欠です。安定的かつ安価なカーボンニュートラル電力が必要など課題も残っていることから、2050年までに目標を達成できるかどうかは分かりません。
・ガソリン車の廃止には課題が残っている
海外では、日本よりも先にガソリン車の廃止、電動化への動きを見せています。英国は2017年7月、ガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止することを発表しました。
しかし、価格面の課題解決が必要なため、単に廃止するわけにもいきません。現状では、ガソリン車と電動車を比べると100万円以上の価格差があります。
目標である2040年までに技術が進歩する可能性はあるものの、現時点で普及しているガソリン車クラスの価格まで下がるのはハードルが高いといえるでしょう。
〈ガソリン車廃止に伴い需要増加が期待される車とは?〉
・ハイブリッド
ハイブリッド車とは、ガソリンエンジンと電気など、複数の動力源として動く自動車です。
ガソリン車に比べ排気ガスが少なく、燃費が良い特徴があります。モーターのみの低速走行時には、エンジン音が発生しません。プラグインハイブリッド車とは、外部からバッテリーの充電が可能な車です。
メリットとデメリットについては、下記表を参照してください。長距離を運転する機会が多い方におすすめです。
メリット
デメリット
・燃費性能に優れている
・エコカー減税に対応している
・静粛性に優れている
・車体価格が高い
・駆動用バッテリーの交換費用が高額
・室内空間が狭い傾向にある
・電気自動車(BEV)
電気自動車(BEV)とは、電気(モーター+バッテリー)を動力源として動く自動車です。ガソリンエンジンは使用しないため、排気ガスは出ません。ガソリン車にある給油口の代わりに、電気を車に送る充電口があります。
主なメリットとデメリットは、下記の通りです。環境性能や静粛性への関心が高い方に向いている車といえます。モーターゆえのスムーズな加速力が魅力です。
メリット
デメリット
・環境に優しい
・静粛性が高い
・ランニングコストが安い
・蓄電池として利用できる
・充電スタンドが少ない
・充電時間が長い
・車体価格が高い
〈ガソリン車が廃止されたときに考えられるメリットとは?〉
・災害時の蓄電池を社会実装できる
ハイブリッド車や電気自動車は、ガソリン車にはない大容量のバッテリーを搭載しています。バッテリーに蓄えられた電気は走行用としてだけでなく、外部電源としての利用も可能です。
災害などが起こって家庭に電気が届かない場合、V2H(Vehicle to Home)と呼ばれる機器を使うことで、バッテリーの電気を自宅へと供給できます。
このような非常用電源として使うだけでなく、キャンプ場での電源確保、仕事先で夜間作業現場を照らす照明の電源などさまざまなシーンで活用できるのが魅力です。
・高度技術によって利便性が向上する
電気自動車はエンジンを使うことなく、電気の力で走行できるため、ガソリンエンジンの始動音やアイドリング音、エンジンからの振動もありません。
音・振動がない分室内は静粛性が高く、乗員同士の声も聞きやすいことから、友人や家族とのロングドライブもより楽しめるでしょう。
モーターは回転の始まりから大きなトルクを発揮できる特徴を持つため、アクセルペダルを踏んだその瞬間から力強い加速を味わえるのが魅力です。
電気の力で走行する特徴を生かし、自動走行技術の普及も予測されます。交通渋滞の解消、事故件数ゼロなど、達成が難しい目標にも近づけるでしょう。
〈ガソリン車が廃止されたら軽自動車はどうなる?〉
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