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車検の光軸検査に通るには?検査基準と調整方法

3級整備士の闇です!
第61回の今回は車検の光軸について書いていきたいと思います。

車検では大きく分けて8つの検査項目があり、それぞれに満たさなければいけない基準が設けられています。そして、車検の検査項目のひとつである「光軸」に問題があることが原因で通らないというドライバーも少なくありません。
では、車検の光軸検査に通るためにはどのように対処すれば良いのでしょうか。そこで今回は、光軸検査の検査基準と調整方法についてご紹介していきます。この記事を読めば、車検前にどのようなことをしておけば良いのかが分かるようになります。

〈車検の光軸の検査方法と基準〉

そもそも光軸とは、光が照らす方向のことを指しています。そして、道路運送車両法によって、ヘッドライトの光軸が定められています。具体的に、ハイビームは100メートル先、ロービームは40メートル先の障害物を確認できなければいけません。また、車検において光軸について細かく規定されています。その検査方法と基準についてご紹介します。

〈車検での光軸の検査方法〉

車のヘッドライトにはロービームとハイビームの2種類あり、車検において基準とされているのがロービームです。道路運送車両法によってどちらも細かく規定されており、ハイビームは100メートル先、ロービームは40メートル先の障害物を照らす必要があります。

そして、車検における光軸の検査方法は、前方10メートルを照らしたときの位置を測定します。これは、ロービームが前方の障害物を照らしやすいようにカットオフラインが左下がりだからです。その起点となっている部分を「エルボー点」と呼びます。

〈検査方法の変更でロービームが基準に〉

実は、以前の車検における光軸検査の基準となっていたのは、ロービームではなくハイビームでした。その検査方法は、ハイビームの状態にして車を1メートル付近の場所に止めて、一番明るくなっている部分に印をつけます。

次に、車を10メートル付近まで移動させて一番明るくなっている部分にチェックを入れます。この2つの印がどれくらいずれているかが検査基準です。つまり、ハイビームの光軸検査は、照らす方法が合ってさえいれば合格していました。

〈ロービームが基準になった理由〉

しかし、現在の検査基準となっているのはロービームであり、エルボー点の位置を合わせる必要があります。この経緯については、平成10年9月1日以降に生産された車がロービームを基準にしてヘッドライトが設計されるようになったからです。

そして、この背景にはハイビームでの走行が減少したことにあります。平成27年9月1日まではハイビーム検査が行われていましたが、新しい基準で設計された車の普及率が9割に達したことをきっかけに、光軸検査の基準はロービームに切り替わっています。

〈検査をハイビームで行う場合〉

現在、車検における光軸検査の基準はロービームとされています。ただし、車検を行っている検査場によっては、ハイビーム検査を行っているところも少なくありません。なぜなら、ロービーム用の検査機器を所有していないからです。

とはいっても、ハイビームでの検査が行われるわけではなく、ハイビームで光軸がずれていても車検に通ることもあります。車検は安全基準を満たしていることを確認するために行われるものなので、少しでも不安を感じたら交換するようにしましょう。

〈4灯ヘッドライトの場合の注意点〉

4灯ヘッドライトはハイビームを点灯させると同時にロービームも点灯するものがほとんどです。そのため、ロービームのエルボー点を測りたいのにも関わらず、検査機器がハイビームに惑わされて、正確な数値を出すことができません。

これを避けるために、4灯ヘッドライトの光軸を検査する場合、ハイビームをテープや新聞紙などで目隠しする必要があります。また、キレイに覆うことは不可能なので、ライトが灯いていることが確認できるくらいは問題ありません。

〈バイクの車検の光軸基準〉

車とは関係ありませんが、実はバイクに関してもヘッドライトは灯火装置の保安基準によって定められています。基本的には車の光軸と同じですが、バイクの車検に通る光軸基準は以下の通りです。バイクにも乗っている人はしっかりと把握しておきましょう。

  1. ヘッドライトに必要な光量は15,000カンデラ以上

  2. ヘッドライトの発行色は白が基本

  3. 2灯ヘッドライトは、ライトの中心を左右対称にする

  4. 2灯ヘッドライトは、ハイビーム(2個以下)、ロービーム(2個以下)の合計4個以下にする

  5. 平成10年3月31日以前製造のバイクは走行中に消灯できない仕組みにする

  6. 平成17年12月31日以前製造のバイクは白色または淡黄色に統一すれば基準に適合

〈なぜ車検で光軸の調整を行うのか〉

普段は何の問題もなく走行できていても、車検における光軸検査で通らないというドライバーもいます。では、なぜ車検で光軸の調整を行う必要があるのでしょうか。また、光軸がずれることで生じる危険性についても知っておかなければいけません。光軸がずれることで考えられるリスクについてご紹介します。

〈光軸はズレやすい〉

ヘッドライトの光軸は、車に振動が加わることでずれることがあります。たとえば、何かにぶつかたり段差に乗り上げるといった外からの衝撃を受けるときだけでなく、重い荷物を運んでいるときや、後部座席に乗っているときにも影響します。

平成18年以降に製造された車なら「レベライザー」によって光軸の調整が可能です。ただし、一時的な回避ではあるため、根本的な修正が必要なケースもあります。どうしても調整が難しければ、プロに依頼することをおすすめします。

〈光軸のズレによる危険〉

では、なぜ光の調整を行わなければいけないのでしょうか。たとえば、光軸が上にずれてしまうことで、ハイビームのようになります。対向車が眩しいと感じるのはもちろんのこと、前方や足元を十分に照らせないため、事故につながることもあります。

また、視界を不快にさせるような「グレア光」が発生してしまうかもしれません。後付けHIDやLEDのヘッドライトは従来のハロゲンよりも光量が多く、光軸もずれやすいという特徴があるため、交換時には注意が必要です。

〈車検に通る光軸の調整方法〉

車検において光軸の検査で落ちてしまうドライバーも少なくありません。光軸の調整は安全運転をしていくためにも必要不可欠ですが、どのように調整すれば良いのでしょうか。ここでは、車検に通るために試しておきたい光軸の調整方法についてご紹介します。

〈レベライザーを0にしてから光軸調整をする〉

平成18年以降に製造された車なら「レベライザー」を標準搭載しているものがほとんどです。同乗者や荷物などを感知して光軸を最大5まで調整する機能ですが、この設定をONにした状態で車検を受けると光軸検査で落ちることもあります。

そのため、車検に出すときはレベライザーを0に設定しておくことが正しい受け方です。また、レベライザーが故障していることが原因で車検に通らないことはほとんどありません。事前に設定を確認しておくことが大切です。

〈バルブ交換後に光軸を調整する〉

純正バルブから社外バルブに交換するだけで、光軸にずれが生じてしまうことも少なくありません。そのため、バルブの交換後は光軸を再調整するようにしましょう。光軸調整には、光軸を左右上下に動かす2つのネジを使用します。

極端に左右方向ばかり調整していれば上下がずれ、その逆のパターンも考えられます。そのため、光軸の調整には左右上下をバランスよく調整することが大切です。ネジの調整には専門工具が必要ですが、一般的な工具でも問題ありません。

〈ネジは少しずつ回す〉

光軸を調整するために使用するネジは、なかなか動かないこともあるかもしれません。また、奥まった場所にあるネジや工具とのかみ合わせが悪いといったこともあるでしょう。しかし、力強く回しすぎてしまうとネジが破損してしまうこともあります。

そのため、ネジは少しずつゆっくりと回すのがポイントです。何か損傷があれば、修理が必要になってくることもあります。仮に、ネジが固くなっていたり、変な動きをしたりする場合は、無理をしないで専門業者に依頼するようにしましょう。

〈LEDヘッドライトのカットライン調整〉

光軸を調整するためには、カットオフラインとエルボー点の位置を把握する必要があります。LEDヘッドライトはカットラインが出にくいため、まずは3メートルくらい離れた場所から純正を付けた状態で壁に光を当てます。

次にカットオフラインをエルボー点が判別できるように印をつけます。バルブを交換したら、再び同じ位置からヘッドライトを壁に当てて、先につけておいた印に合うように光軸を調整しておけば車検でも問題なく通るはずです。

〈車検の前にテスターで検査〉

どれだけ調整をしていても、途中で光軸がずれて車検に通らないこともあります。少しでも不安を解消しておきたいという人には「テスター」での予備検査を実施します。検査場と同じ検査項目で不具合箇所をチェックすることが可能です。

光軸検査だけでなく、他の検査項目も受けられるため、何が問題なのかを事前に把握することができます。もし検査基準を満たしていなくても、その場で調整することができるため、少しでも不安を感じているのであれば受けてみましょう。

〈まとめ〉

普段は何の問題を感じていなくても、車検において光軸の検査で落ちてしまうこともあります。光軸はちょっとした車の振動でずれることもあり、安全に運転するために支障を来してしまうこともあるため、しっかりと調整しておくことが大切です。

今回は車検の光軸について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!

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