スタッドレスタイヤとは？冬用タイヤの種類やノーマルタイヤとの違いを解説
3級整備士の闇です！
第110回の今回はスタットレスタイヤについて書いていきたいと思います。
〈スタッドレスタイヤとは？〉
スタッドレスタイヤは、冬用タイヤの一つで冬季の各種路面に強いという特徴を持っています。また、「ウィンタータイヤ」「スパイクタイヤ」「オールシーズンタイヤ」も冬に対応したタイヤです。ここでは、冬用タイヤの特徴や活躍するシーンを紹介しますので、冬用タイヤ選びに悩まれている方はぜひ参考にしてください。
・スタッドレスタイヤ
日本において、冬用タイヤの代名詞とも言えるのが「スタッドレスタイヤ」です。低温下でも硬くなりにくいゴムを使用しており、新雪路や圧雪路だけでなく凍結路面でもグリップ力を発揮します。
また、雪解けの際に道路にもダメージを与えないという優れた特徴を持っており環境にも優しいと言えるでしょう。ただし、雪や氷のないドライ路面での走行安定性やウェット路面での排水性能は他の冬タイヤの方が優れていと言えます。
・ウィンタータイヤ
主に欧州や北米で使用されている「ウィンタータイヤ」は、高速走行に対応した冬用のタイヤです。
スタッドレスタイヤよりもドライ路面やウェット路面での走行安定性が高いことから、平均走行スピードが速い地域で選ばれる傾向にあります。反面、凍結路面での性能は低いため、日本での需要はあまり高くありません。
・スパイクタイヤ
以前、日本でも主流だったスパイクタイヤは、一部地域を除き現在使用を禁止されています。タイヤの接地面にスタッドと呼ばれる金属製のピンが埋め込まれており、高い摩擦力を発揮することから、特に滑りやすい凍結路面で活躍するタイヤです。
しかし、路面が出ている状態で走行をするとアスファルトが傷み、粉塵が発生してしまうことから、日本では使用できません。代わりにスタッドのないスタッドレスタイヤが普及するようになりました。
・オールシーズンタイヤ
オールシーズンタイヤは、ドライ路面やウェット路面でノーマルタイヤと同等の性能がありつつ雪道にも対応したオールマイティなタイヤです。
舗装路面での走行安定性が高いため夏でも快適にドライブできますが、凍結路は得意としていません。降雪の頻度が少ない地域や、凍結の可能性が低い地域にお住まいの方に適していると言えるでしょう。
・マッド&スノータイヤ
マッド&スノータイヤ(M＋Sタイヤ)はオールシーズンタイヤの一種で、マッドはぬかるみ、スノーは雪を表しています。
SUVで使用される傾向にあり、冬の積雪路面でもノーマルタイヤよりグリップ力を得られることが強みです。ただし、凍結路面を苦手とする点はオールシーズンタイヤと同様であるため、この特徴を押さえておく必要があるでしょう。
〈スタッドレスタイヤの仕組みや選び方〉
スタッドレスタイヤの強みとして冬のあらゆる路面に対応できる点が挙げられますが、なぜグリップ力が得られるのでしょうか。日本においてスパイクタイヤは一部地域を除き使用できないため、特に危険とされる凍結路面にどう対応しているのか気になるところです。ここでは、スタッドレスタイヤが冬の路面で車を止める仕組みと、選び方について解説します。仕組みが分かると、スタッドレスタイヤを選びやすくなるでしょう。
・スタッドレスタイヤが車を止める仕組みとは？
スタッドレスタイヤは、さまざまな路面に対応できるよう工夫されており、積雪路面と凍結路面において車を止める仕組みも異なります。
積雪路面では、スタッドレスタイヤのトレッド（接地面）に刻まれた深い溝が、大きなブロック状を形成しているため雪を効率的に掴むことができるのです。また、ブロック表面にも細かな切り込み（サイプ）を入れることで摩擦抵抗を生み出す範囲を広げています。
凍結路面においては、サイプが氷上の水膜を吸水することで接地面を路面に密着させることが可能です。また、やわらかいゴム質により氷上の凹凸にしっかりと密着し、グリップ力が得られやすい仕組みとなっています。
・種類の選び方
スタッドレスタイヤを選ぶ上で考慮すべきなのは、メーカーや種類によって性能が異なる点です。積雪・凍結路面での性能を重視した商品、ドライ路面やウェット路面での性能を高めた商品もあります。
選び方の一つとして、「ボディタイプ」から選ぶのがおすすめです。スタッドレスタイヤの中には、SUV用や軽自動車用など最適なボディタイプごとに分類されているものもあります。次に「地域性」を考慮した上で、無理のない価格の商品を選びましょう。豪雪地帯や路面凍結の恐れがある地域で使用する場合は、グリップ力を発揮するタイヤが最適です。
スタッドレスタイヤは通常路面で夏用タイヤより摩耗しやすいため、雪が降る頻度が少なかったり車の使用頻度が少なかったりする場合は、ライフ性能を重視すると良いでしょう。
〈スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いとは？〉
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いはどこにあるのでしょうか。それぞれ使用を想定している路面に違いがあることは事実であり、長所と短所を把握しておくことが大切です。ここでは、双方のタイヤが想定している路面の種類と、寿命の違いや見分け方について解説します。
・スタッドレスタイヤは冬の路面で力を発揮する
これまで解説してきた通り、スタッドレスタイヤは冬の各種路面で性能を発揮するよう設計されています。
冬の路面には積雪路面や凍結路面の他に、雪が踏み固められた圧雪路面や雪の溶け出したシャーベット状の路面がありますが、スタッドレスタイヤはこのような路面にも対応できるように設計されているため、他のタイヤよりも対応範囲が広いと言えるでしょう。
・ノーマルタイヤは乾燥・湿潤路面で力を発揮する
ノーマルタイヤは冬の路面に対応していませんが、乾燥したドライ路面や湿潤状態のウェット路面で強いグリップ力を発揮するタイヤです。それ以外にも、走行安定性や耐摩耗性、乗り心地と静粛性に優れており、スタッドレスタイヤよりも通常路面を快適かつ安全に走行できます。
また、各メーカーからさまざまな特徴を持ったタイヤが販売されており、エコ性能に力を入れた商品もあれば、スポーツ走行に適した商品もあります。海外製を含めると数え切れないほどの種類があるため、選択肢は豊富です。
・スタッドレスタイヤは寿命の判断がシビア
スタッドレスタイヤは低温下でもゴムが固くならないよう設計されており、ゴムの柔軟性が積雪路面や凍結路面での性能に直結します。つまり、劣化して固くなると性能が発揮できないのです。そのため、年数経過や紫外線、オゾンなどの影響で硬化した場合、判断はノーマルタイヤよりもシビアと言えます。
また、タイヤの摩耗に関しても、ノーマルタイヤより早く交換時期が訪れます。スタッドレスタイヤは残り溝が50%摩耗すると、性能が格段に低下するのです。そのため、溝にはプラットホームと呼ばれる突起があり、その突起の高さとブロック面の高さが同じになったら冬用タイヤとしての使用が認められていないため、交換する必要があります。
・スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの見分け方
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤはタイヤの接地面を比べてみると、その違いがよく分かります。スタッドレスタイヤの溝は深く、ブロックが角張っており、またブロック上の小さな切り込みから判別可能です。
もっとも分かりやすい見分け方は、タイヤのサイドウォール（側面）を確認することです。サイドウォールに「STUDLESS」の刻印があるかどうかをチェックすると、すぐに見分けられます。
〈スタッドレスタイヤを使用する上でのポイント〉
冬の路面に強いスタッドレスタイヤであっても、装着していれば必ずしも事故が起こらない訳ではありません。使用する上でどのような点に配慮すべきか知りたい方もおられるでしょう。ここでは、スタッドレスタイヤを使用する上で覚えておきたい「運転方法」「慣らし走行」「タイヤチェーンを装着した方が良いケース」について解説します。
・スタッドレスタイヤを過信しない
スタッドレスタイヤは雪道や凍結路面でグリップ力が得られるよう、さまざまな工夫がされていますが、雪道は元々滑りやすい路面を走行していることを意識しなければなりません。たとえスタッドレスタイヤであっても、通常の路面のように止まったり曲がったりする事は難しくなります。
状況に応じてしっかりとスピードを落とすこと、車間距離を多めに取ることも大事です。車のアクセル・ブレーキ・ハンドル操作を慎重に行うことが重要です。路面状況を推測しつつ、運転に集中する必要があります。
・新品タイヤへ交換した際は慣らし走行を行う
新品のスタッドレスタイヤを履いた際は、慣らし走行をすることが大切です。慣らし走行とは、速度上限を設定し、ある程度距離を走ることでタイヤ表面を一皮むくことを言います。スタッドレスタイヤにおいては、60km/hを上限に200km以上走行することが慣らし走行を完了させる目安です。
慣らし走行を行わないと、スタッドレスタイヤが持つ本来の性能を発揮し難くなります。また、雪道では摩擦力が低く通常路面で実施する必要があるため、雪が降る前に完了できるよう早めにスタッドレスタイヤへ交換することが大切です。
・スタッドレスタイヤとチェーンは併用がおすすめ
スタッドレスタイヤでも走行できない道路があることをご存じでしょうか。豪雪などにより、道路にチェーン規制がしかれた場合はスタッドレスタイヤであってもチェーンを装着する必要があります。
チェーンを付けると、凍結路面においても高いグリップ力が得られるため、登れない坂道や凍結している可能性が高い場合に装着するのもおすすめです。状況に応じて併用できるよう準備しておくと、安心して冬を乗り切れるでしょう。
〈スタッドレスタイヤの購入方法〉
スタッドレスタイヤを購入したことがない場合、どのような購入方法があるのか知りたい方もおられるでしょう。実店舗での購入だけでなくオンラインショップでも購入する方法があり、購入の際はホイール付きを選ぶのがおすすめです。
ここでは、スタッドレスタイヤがどこで買えるのかと、ホイール付きでの購入がなぜおすすめなのかについて解説します。
・タイヤを扱うお店やオンラインショップで購入
スタッドレスタイヤは主にカー用品店や、タイヤ専門店で購入できます。これらのお店ではタイヤの種類を多く取りそろえており、扱うサイズも豊富です。また、比較的リーズナブルな価格設定となっており、タイヤの交換技術が高いため安心して任せられるでしょう。
他にも、インターネット上のオンラインショップからスタッドレスタイヤを購入する事が可能です。多くの種類から選べる反面、店舗での購入と違いどのタイヤにしたら良いのか迷った際に相談できないため、知識が必要な購入方法と言えます。また、オンラインショップによっては、タイヤ交換を別途依頼する必要がある場合があります。
・スタッドレスタイヤはホイール付きでの購入がおすすめ
スタッドレスタイヤへ交換する際、ホイール付きでの購入がおすすめです。ホイール付きで購入すると、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへスムーズに履替えることができ、シーズンごとにかかる工賃が安く済む場合があります。
タイヤのみだと、ノーマルタイヤをホイールから外しスタッドレスタイヤへ取り付ける組み替え作業が発生するため、工賃が高くつきます。ホイール付きでの購入は初期費用が多くかかりますが、将来的に維持費を抑えられるメリットがあります。
〈まとめ〉
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと違い、柔らかい素材でできているため低温下でも路面にしっかり密着し、氷雪路面でも高いグリップ力が得られるタイヤです。
冬季の走行を得意としているタイヤであり、降雪地帯にお住まいの方にとって必需品となっています。
今回は車のスタッドレスタイヤについて話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!
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