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「至福のレストラン/三つ星トロワグロ」
先日、辻静雄さんの自伝的小説「美味礼賛」を読んだこともあり、この映画を観たくて、23日に上映を開始したので、早速24日に梅田まで観に行った。
この映画は4時間という長時間のドキュメンタリーで、途中2時間が経過した時点で10分の休憩が入る。大きく3つのパートに分かれていて、1つ目はトロワグロ本店のランチ提供に関する状況、2つ目が次男がシェフを務める支店でのディナー提供に関する状況、そして3つ目が本店でのディナー提供に関する状況となっている。それらパートの合間に、素材を提供している酪農家、ワイン醸造家、チーズ製造業者、野菜農家たちのそれぞれの生産へのこだわりの話をたっぷり聴くことができる。
ミシュラン3つ星を55年間維持しているトロワグロであるが、そこでの新作メニューの開発風景や従業員である料理人の教育等、手際よい料理のセッティング等、普段見ることのできないグランメゾンの内部が詳細に写しだされていて、感動的だった。料理人だけでなく、給仕する人たちの知識とサービスレベルの高さはさすが、ミシュラン3つ星レストランだと思わせる。
現在のシェフは4代目のセザール・トロワグロで、その父であるミッシェル・トロワグロは日本にも店を構えていたこともあり、日本に対する想いがかなりあるとこの映画の中で、お客の1一人に語っていた。また、ある料理に、その形状が真珠のネックレスに似ていたことから、「ミキモト」と名付けたという話もしていた。
この映画の中で印象的だったのは、まず提供される料理に日本の「しそ」をソースとして使われていたこと、そしてそれをそのまま日本語で使用していたことである。しそは日本のハーブだと説明されていた。「しそ」はフランス語で書くと「siso」なので、「シゾ」と言っていた(フランス語の子音は母音に囲まれると濁るため、ソがゾになる)。もう一つは、3代目のミッシェルがお客に自分の子供たちを説明する場面があるが、長男セザールが4代目シェフとして自分の跡を継いでくれて、次男も支店のシェフをし、長女もホテルの運営管理をして、全員ファミリービジネスに関わってくれていることに誇りと喜びを感じて、親として本当にうれしい様子だった。
ナレーションなし、インタビューなしで淡々と状況が進んでいくが、4時間があっという間に過ぎる素晴らしい映画だと思った。もう一回観ても良いかもしれない。