キッズキッチンレター8月号
幼いころ、年が明けたら大豆が届くシーズンでした。味噌作りのためです。共同購入をしていたそうで、どーん!と自分の背丈の半分ぐらいの袋が届きます。そして親がいない時にもらいにくる人があれば、一升枡を使って大豆を渡していました。自分の頭ぐらいある大きな枡に豆を入れて、板ですりきって、そして袋に入れたのを覚えています。
豆を炊きを見ているのも子どもの仕事で、土曜日に水に浸けて、日曜日の朝からとろ火にかけます。最初は泡が浮いてくるのでそれをとって、あとは豆が乾かないようにじっくり煮ます。昼過ぎた頃には煮えてくるので、一家総出で豆を潰し、味噌を仕込みました。
土曜日の晩はもう一つ仕事があって、糀を母の実家の近所まで買いに行くのです。1年に1度だけ行く糀屋さんは、寒い外と違って湿気がもうもうと立ち、生暖かいところ。糀のいい匂いがしました。紙の袋に1枚ずつ入れてもらって、持って帰ります。2月になるまでに仕込んでおいて、そして、
夏はそろそろ味噌の口開けをするころ。気温が30度を超える日が1ヶ月すぎたら、味噌を開きます。昔は9月半ば、10月ぐらいまでおいておきましたが、今は8月には一度確かめた方がいいでしょう。2月初めに仕込んだスタジオの味噌も、いい感じに色がついてきました。うっかり袋に入れたまま、おいておいたらそれもいい感じに発酵していました。(余談、この袋での発酵ですが、たくさん仕込む時は使えません。発酵が進んだら泡がいっぱい出て吹いてしまうことがあり、ビニールだと破裂することがあります。出来上がり500gぐらいの小さなものならこれでも良いのかもしれません)
いちごのようないい香りがして、茶色い色になったらそろそろ冷蔵庫に入れる時期です。昔は味噌が出来上がった時期から気温が下がっていたので必要ありませんでしたが、現在は良い発酵具合のところで冷蔵庫に入れてしまうのをお勧めします。
発酵が進んで古くなってきた夏の味噌はどうするかというと、なめ味噌にします。なめ味噌は砂糖や梅干し、何かを入れて、そのまま食べられるようにした味噌のことです。土用干しの頃に梅も干すので、形の悪い梅を味噌に入れてしまって夏用の梅味噌に。クズ野菜を切って、なめ味噌と混ぜておいて、ご飯のお供にしたりもしました。夏の土用の頃、秋(枝豆)〜真冬(黒豆と味噌の仕込み)が私にとっての大豆の季節です。枝豆も大豆ですが、夏に食べることはなく、黒豆の枝豆だったため秋の味覚でした。