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キッズキッチンレター11月号

でんぷんのひみつ
でんぷんというと、小学校のころの実験を思い出します。ジャガイモを切って、断面を観察し、ヨウ素液をかけたら青く染まる。でんぷんがないところでは、青く染まらない。化学物質というと目に見えないものが多い中、でんぷんは目に見える大きさで、しかもいつも食べているジャガイモから取り出せるのが不思議でした。
大人になって周りを見回してみれば、人間が利用するでんぷんは実に多岐にわたります。用途もさまざまです。
一般的にでんぷんと呼ばれている商品は大きく分けて2種類あります。純粋にでんぷん100%のものか、でんぷんがたくさん含まれているものかの2つです。でんぷん100%の物としては、片栗粉、葛、甘藷澱粉、タピオカ粉などで、水に溶かして加熱すると透明な粘り気のある糊にかわります。それに対してでんぷんの多いものは、米粉や小麦粉、もち粉、さつまいも粉などで、でんぷんを抽出するのではなく素材そのものを潰して利用する物です。これも水に溶かして加熱をすると糊になりますが、他の成分のせいで透明感はありません。
 食品としてのでんぷんの素晴らしいところは、繊維が多く食べにくかったり、毒があって食べられないものでも毒が水溶性であれば洗い流してでんぷんだけを抽出できることです。そのままでは食べ物にならないようなものも、でんぷんにすることによって食べることができるよになります。葛や蕨は根っこからでんぷんをとります。この根っこはそのままでは煮ても焼いても食べられる物ではありません。でも潰して、洗って、でんぷんだけを抽出することで食べ物になります。またキャッサバという芋の多くは、青酸化合物が入っており、これもそのままでは食べられません。しかしこの青酸化合物は水に溶けるため、潰して洗って、とすると食べられるようになります。(そのまま加熱するだけで食べられる毒のないキャッサバもあります)ヤシの幹や豆、芋、根っこ、植物のいろんな部分からでんぷんをとって食べられるようにしています。
改めて、でんぷんは人間の生きる知恵が詰まった食べ物だと思います。

料理教室でも、米や小麦、片栗粉、タピオカ粉、甘藷澱粉といろんなでんぷんにさわって、実際に利用してみました。
水に入れても白くて下に沈んでいる粉が、加熱をしていくと、ある瞬間にスッと色がなくなり透明になると「おおー!」と言う声が上がっていました。

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