2024年2月の映画鑑賞記録
2/7 STOP MAKING SENSE 4K
アメリカにかつて居たバンド「トーキンズ・ヘッズ」のライブ映画。トーキングヘッズの事はほとんど知らないのだけど、そのフロントパーソンであるデヴィッド・バーンの事は知っている。なぜなら21年公開の『アメリカン・ユートピア』を作った人だから。めちゃくちゃスタイリッシュに整理されたパフォーマンスアートとしてのライブ映画で、当時めちゃくちゃ感激した大好きな映画。その映画を作った人の若い頃の作品なのだから、つまらんはずが無いという事で観に行った。
アメリカンユートピアは、インテリジェンスの塊のような作品で、洒脱である事に命かけてるようなところがあったけど、それと比較すると今作は、よりフィジカルに寄った表現をしていて、違ったアプローチになっていたのが意外だった。多分こっちの方がデヴィッドバーンの本質なのだろうなと思った。 時代背景や色んな文脈を紐解けばもっと見えてくるものがあるのだろうけど、俺はここまで。音楽はめちゃくちゃ楽しく、客入り寂しいIMAXシアターの客席の中で、遠慮なく身体揺らして見られたし、ひとまずトーキングヘッズの良さに触れられてよかった。
2/12 Here
SNSで誰かが話題にしてたのを見て興味持った作品。 アイデンティティを見失いそうになってる1人の男が1人の女との出会いを通して何かを見つけ出していく、みたいな物語。 良さが分かるようなわからんような、もうひとつ俺にはピンとこなかった。 女が苔の研究者であるという設定と、スープを作って配って回る主人公はめちゃくちゃ良いなと思った。
2/14 夜明けのすべて
パニック障害と戦う男と、PMSを抱える女が仕事を通じて出会って心を通わせていくという物語。 これ、本当によかった!人物描写がとても丁寧で、普通なら省略されてしまうような細かい所作をきめ細やかに描いていたのがとても強く印象に残った。端役も含めてみな愛らしく、それぞれの人生を想像できるような描かれ方をしていたように思う。
主人公の2人の関係性があまりによく、途中からは『どうかラブストーリーに回収しないでくれ』と願いながら見ていたので、しっかり守ってくれて安心した。
クライマックス、プラネタリウムのシーンで語られる言葉がとても美しくて、予定外に泣いてしまった。またタイミングが来たら観たい映画。めちゃくちゃ良いです。
2/17 ボーはおそれている
監督の前作「ミッドサマー」がめちゃくちゃ気に入ったので、心待ちにしていた待望の新作。
感想としては…どこから語ればいいのか分からない、本当に変な映画。 3時間という長尺を乗り越えて見終えた率直な感想は「つまらん」だったけど、時間をおいてこの映画の事を考えてみると、ところどころ色んな良いシーンの事を思い出してきて、「あれ?そんなに悪くなかったような気がする」という気にたしかになってくる。場面場面のインパクトが強すぎる。ジャンル分けも不明。人によっては3時間棒に振る可能性もあるけど、映画好きなら観て損はないと思います。『愛すべき作品』というやつです。
2/23 落下の解剖学
上映トラブルがあって楽しかった。プツプツ映像が止まっては再開するというのを開始早々起こり、体感15分ほど過ぎたところで完全に止まり、スタッフによる調整が入ってなんとか再開。映画やライブや展示会とか、生の現場で起こるアクシデントによって作品自体の記憶や愛着が強まったりするから、たまに起こるといいよね。会場内を包む謎の連帯感も面白い。
映画自体は、ミステリーと見せかけて法廷バトルものに見せかけてジェンダー論争で…。色々詰め込んだみた結果、俺としてはなんだか全体的に『コレじゃない』感として着地した(合わなかった)。あと、なんとなく去年の『TAR』を思い出したのは俺だけじゃない気がする。
2/25 瞳をとじて
話題になっていたので観てみた。
巨匠の久しぶりの新作という事だったけど、俺は監督の名前(ビクトル•エリセ)も知らなかったし、過去作も未見。
映画は3時間あるのだけど、『ボーはおそれている』と同じ3時間でも、どうしてこんなにも違うんだと思う、美しい映画だった。この監督は本当に映画が好きで、映画を信頼しているんだろうな。映画観た後でアートワークを改めて眺めてみて、それを強く感じた。
2/27 梟-フクロウ-
韓国の時代劇。盲目の鍼師がひょんな事で王宮で勤める事になり、そこで国を揺るがす謀略に巻き込まれるというサスペンス。 史実に基づいたフィクションという事らしいのだが、主人公の持つとある特性が、とても映画らしい。サスペンスだけではない、ギャグ要素や心の葛藤が抜かりなく描かれていて、最後まで目を離せず完走した。地味だけどしっかり作られた良作。
2/28 マダム・ウェブ
マーベルの最新作にして、スパイダーマンの新たなシリーズ展開の第1作目。 『マーベル初のミステリー』というようなコピーが掲げられていたが、やるべき事も、倒すべき敵も見てる側からすれば全部わかってるので、どのあたりがミステリーなのか全然わからなかった。
結果としてなにを見せたいのかもボヤけていて、いまいちスッキリしない仕上がりになっていたように思う。ダコタジョンソンは美しい。
次に期待したいけど、観るかなあ
2/29 ミツバチのささやき
『瞳をとじて』の監督の初期作が、リバイバルしていたので見てみた。 瞳をとじてと同様に、映画について語られる映画でもあったと思う。 評価の高い作品ではあるようなのだけど、いまいち俺の感性には合わなかったなあというところにとどまった。