見出し画像

組織マネジメントの進化とITとの関係

組織のマネジメントはITの進化とともに進化していく。ITは単なる仕事の効率化だけでなく、組織のあり方や構成、意思決定の方法にも影響を及ぼしています。これは言うまでもなくあたりまえのことなのですが、一方、従来の企業でこの変化に順応できていないところがまだまだ多く見られるため、敢えてこのテーマをもう一度振り返ってみたいと思います。


プレIT時代のマネジメント

会社や団体における組織マネジメントを行うにあたって、一般社員の成果を事細かく管理することは、パソコン等のIT機器が組織の個人に十分行き渡る2000年前後までは、かなり大変でした。

事務所の中でも対面で事細かく指導をしたり「報連相」を行ったりしないと、部下の仕事の進捗がわからなかったですし、そもそも事務所に来ていないと、どこで何をしているのかも分からなかったのです。1990年代の漫画、小説、ドラマでは、よく喫茶店でサボっている営業の姿が描かれました。

日本の事務職では、机を島型にくっつけて部門長を「誕生日席」に、部員をまとめて目の届くところに座らせることで効率化を図っていたりしました。ただ、目の届く範囲や直接指導できる範囲は、ITなしでは限られているため部員は5~6人未満で、組織階層も何層にも渡って深くなる「ピラミッド型組織構造」が取られていました。

最新のITを導入した働き方

しかし、ITが普及して、パソコンやスマホが一人一台支給され、クラウドが使われるようになると、事務職の部員は自宅やサテライトオフィスなど、どこにいても事務所と同じ環境で仕事をすることができ、上司や同僚といつでもチャット、メール、オンライン会議で連絡を取り合うことができるようになりました。

社外に出ている営業も、外出先からCRMツールに状況を入力することで商談の状況や成果がよりわかりやすくなりました。また、場合によってはGPSやWifiで場所を追跡されることも出てきました。

ITがマネジメントに及ぼした影響

ITの普及は働き方の変革だけでなく、会社や組織のマネジメントのあり方にも影響を及ぼしました。まず、売上、決算や商談の状況把握が容易になり、成果主義を導入しやすくなりました。

上司は部員の仕事ぶりもクラウド上の各種ツールをモニタすることで離れていても、逐一「報連相」を受けなくてもわかるようになりました。そのため、ひとりの上司が10人以上の部下の面倒を見るようなことも可能になり、「スパン・オブ・コントロール」が広がりました。

このように、ITの力によりマネジメントにかかる工数が昔と比べて劇的に減少するようになり、より多くの部下をマネジメントできるようになったことで、中間管理職の数を減らして「組織のフラット化」を行うことが可能になりました。

情報は、昔は管理職に情報が偏在することが多かったのが、ITの普及により一般社員への「情報の民主化」が起こりました。上司のマネジメントスタイルも「指導型」一辺倒から、情報やツールを持って自立した一般社員を脇から支える「コーチング型」に移行することができるようになりました。

また、これらを更に進めて「ティール組織」のような、マネージャを不在にしてすべての社員がフラットな関係で、様々な情報を手にしながら意思決定を行っていくような進化型組織を構成する組織も登場してきました。

組織やマネジメントが昔と変わっていないなら意識して変革する必要性がある

ここまで、ITの普及は従業員の単純な働き方改革だけではなく、組織やマネジメントのあり方も根本的に変えるくらいのインパクトがあることを見てきました。巷でここ20年くらいで出てきている組織論、マネジメント論はITの進化と無縁、独立ではなく、ITの普及を前提にした理論になっているものが多いです。

そして、ここで現在貴方が所属している組織やマネジメントのあり方を考えてみてください。もし、30年前と同じような組織構成やマネジメントが続いているようであれば、貴方の所属する組織はITによる変化を活かしきれていません。つまり競争力がない状態になっています。

ITの導入による真の効果は、働き方を変えるだけではなく、組織のあり方の変革、そして文化の変革が達成されることです。ここ10年で新しくできたスタートアップなどの新しい組織では、最新の組織マネジメントもすでに実践されています。このような最新マネジメントの事例もあわせて学んで実装していく必要があります。私自身も組織変革に携わる身としては、このことを忘れずに取り組んでいきます。

関連記事:


いいなと思ったら応援しよう!