食事摂取量データを扱う人必見!エネルギー調整のすべて
という質問をいただきました。
この方はよく勉強されていて、食事摂取量を扱うときには、生じている誤差を補正(調整)したエネルギー調整済値を使うべきということをご存知なんですね。
それではエネルギー調整済値をどのように使えばよいかというと、主な方法が3種類もあり、どの場面でどの方法を使うのか、迷うところだと思います。ところが、その考え方や使い分けに関して、まとめて示してある資料がどこにも見当たらないことに気づきました。そこで今回のnoteはちょっと専門的な話になるのですが、食事摂取量データを扱うときに知っておくとよい、エネルギー調整済値の使い方をまとめて解説します。
なお、この内容は、一度削除したnote記事「【食事摂取量データを扱う人必見!】エネルギー調整のすべて」の記事とほぼ同じです。以前のこの記事を購入くださった方は、そちらの記事を参考にしていただければと思います。
●食事摂取量には種類がある
「自己申告の食事調査法では申告誤差が含まれるため、エネルギー調整済値を扱いましょう」と聞いたことはあるでしょうか。この「申告誤差が生じる」という問題は、こちらのブログで説明しているところです。
対象者は食べたものを一部忘れてしまっていたり、正確に記録できていなかったりして、誤差が生じてしまうんですよね。そのため、食事摂取量のデータを扱うときには、生じている誤差を補正(調整)する必要があります。この調整のことを「エネルギー調整」といいます。主な方法が3種類あります。
●詳しい解説が見当たらない方法も!
3種類のエネルギー調整済値のうち、研究でもよく使われる 1) 密度法による調整済値(密度調整値)と 2) 残渣法による調整済値は、参考書(文献1)などにも記述があります。けれども、3) 推定エネルギー必要量を摂取したと仮定した場合の摂取量(正式な名前がないため、この記事内では「推定申告誤差調整値」とよびます)は、研究向きではないため(一部の研究で使われている例はあるものの)学術書には記述がありません。けれども、食事指導や自治体の食事調査といった栄養業務の場面では、この第3の方法は使いやすい方法です。そのため、日本人の食事摂取基準(文献2)では紹介されています。それに対して、調整していない摂取量は「粗摂取量(粗値)」といいます。つまり、食事調査を実施したら、それをもとにした4種類の摂取量が計算できるわけです。それぞれの特徴をよく理解したうえで、その都度最適な方法を選んでいただければと思います。
●エネルギー調整済値の算出方法と特徴
それでは、粗摂取量からそれぞれのエネルギー調整済値をどのように計算するか、方法を以下に示します。
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