キリストと空海の約束
■ブラックマリア信仰
ブラックマリア信仰をご存知だろうか。
黒いマリア像を崇める信仰のことで、ヨーロッパ南部やラテン語圏の国々を中心に見られる信仰だ。中でも有名なのが、スペイン・モンセラットにある聖マリア修道院で祀られる黒いマリア像。今もその黒いマリア像を礼拝しようと、世界中の人々が列をなしている聖地だ。
そのブラックマリア信仰がブラジルにもある。聖母マリアを祀ったものとしては世界最大規模と言われるアパレシーダ聖母大聖堂のブラックマリアだ。
ブラジルのブラックマリア信仰のいきさつを簡単に説明すると、ある日、村の漁師が川に魚を採りに行った。しかし、全く魚は捕れず、困り果てていたとき、網にかかるものがあった。引き上げてみると、それは首のない聖母像だったという。もう一打、網を打つと、その聖母像にぴったりの首が上がった。その後、魚がどんどん穫れたのである。そして、その聖母像は漁師によって祀られたが、それから奇跡が続々と起った。このため、ブラジル中から多くの参拝者が訪れる大聖地に発展したのだ。
和歌山に住む70歳を過ぎたある女性
さて、和歌山にある女性の方がおられる。今回の主人公はこの方だ。小柄ながら、品の良さそうな雰囲気が溢れ、またその佇まいの中には威厳をも感じる凛とした女性だ。 齢70歳を超えているが、とてもそんな年齢には見えない。
名は弘子さんという。そんな弘子さんは小さな頃から一風変わった子で、周りの人から不思議がられていたようだった。そもそも生まれたいきさつが不思議だった。弘子さんの父親は、習ってもいないのにお経が読めるような子で、醍醐寺で修行し、修験道の山は行き尽くしたような方だった。
ある日、その父親の夢枕に空海が現れた。
そしてこう言ったのだという。
「お前に子どもを授けよう」
父親はその夢枕のことを妻に伝えたが、
妻は半信半疑だった。
そしてそれから三ヶ月ほど経ったある日、子が宿ったことが分かった。そしていよいよ出産という頃に、父親の姉が「今度生まれてくる子どもの名前を決めてきたよ」とやって来た。父も妻も、姉にそんなことを頼んだ覚えもないのだが、知り合いの名付けの方に聞いて決めてきたという。
その名が「弘子」だった。
そう、弘法大師空海の文字を一文字使った名前だったのだ。
それで妻も夫の 空海の話を信じたのだった。さて、そんな弘子さんには不思議話がたくさんあるのだが、ここで紹介するのはブラックマリアの話だ。
ブラジルで祀られるブラックマリアのあるアパレシーダ聖母大聖堂では「奇跡のオイル」と呼ばれるオイルがあった。そして、そのアパレシーダ聖母大聖堂の神職の方が、あるブラジル人の方にこう言ったという。
「キリストからの使命です。
このオイルを日本に伝えなさい」。
そしてその猶予は五年だと。
使命を帯びたブラジル人の名を仮にGabriel(ガブリエル)としよう。ガブリエルはすぐに日本に訪問し、日本に住むブラジル人のツテを頼って、オイルを伝えるべき日本人を探した。
■5年の月日がたったある日
ブラックマリア信仰で知られるアパレシーダ聖母大聖堂の神職の方に「キリストからの使命です。このオイルを日本に伝えなさい」と言われたガブリエル。その使命を果たす期限を五年と定められ、いよいよその五年目となった。
ガブリエルは、普段は仕事をしているため、オイルを伝えるべき日本人を探すための日本の滞在期間は数週間。それを毎年繰り返していたのだが、結局全く見つからず今回が最後の機会となった。
先述の弘子さんだが、和歌山に住まれており、数年前からそのガブリエルに話は友人から聞いていた。しかし、別段気にもとめず「そんなこともあるのね」という感じで軽く聞いていた。そしてガブリエルの五回目の日本訪問の際、弘子さんは、ある友人から「ガブリエルに会ってみる?」と言われた。
当時、弘子さんは、地元和歌山で瞑想教室を開いており、割合多くの人が参加されていた。そんなこともあり顔も広く、不思議な力を持つ女性であるとして界隈ではよく知られた存在だった。
弘子さんも「まぁせっかくなので」と、ガブリエルと会うためのスケジュール調整をした。しかし、ガブリエルはブラジルに帰る前日の数時間しか時間が取れないという。ちょうどその日は弘子さんに用事があったため「では無理ですね」ということになった。
だがしばらくすると、なぜか弘子さんの予定が空いた。そこですぐにガブリエルに連絡してみた。すると今度はガブリエルのスケジュールが埋まってしまったという。
仕方ないね、ということになったのだが、またまたガブリエルのスケジュールが変更となり、やはり時間が取れるということになった。という事で奇跡的に時間が合い、二人は会うことになった。
■いよいよ対面
ガブリエルの方から「お宅に伺いたい」と言われたため弘子さんは自宅で待っていた。しばらくして予定の時間となりガブリエルが弘子さんの自宅へとやってきた。そして、弘子さんの顔を見るなり、震えている。
弘子さんこそが、そのオイルを伝えるべき人だったと分かったのか?
しかしガブリエルは、聖堂院の神職からこう言付かっていた。
「お互い証拠を見せ合うように」と。
ガブリエルから家宝を見せてくれと言われた弘子さんは「家宝?」と思ったが「すぐにこれだ!」と思い家の奥へ入っていった。そして持ってきたのが「空海が描かれた掛け軸」だった。
それを見たガブリエルは、頭を地につけて泣いている。
しばらくして落ち着いて今度はガブリエルがあるもの見せてくれた。それは、キリストが写った礼拝堂の写真だった。そのキリストは、弘子さんの夢にいつも現れていたキリストの姿だった。お互い証拠が確認でき、ガブリエルは翌日ブラジルへ帰国。そして翌年、ガブリエルはそのオイルを持って日本へとやってき、オイルは弘子さんへと託されたのだった。
この弘子さんとは三年ほど前に知り合ったのだが、とっても穏やで魅力的な方だ。いろいろな不思議体験話を聞いていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。
臨死体験で11次元まで上昇した話なども、とてもおもしろいのだが、それはまた改めて紹介したい。
■番外編
弘子さんは結局そのオイルをどうしかたというと、ある人を通じて広めていった。そのある人は、いわば「神の代弁者」とも言える能力をもったお方だった。その方が常に言っておられることはこんな言葉だった。
聖書の神を超えない限り、この世界は救えない。仏陀の知を超えない限り、人間は開放されない。
その御方の名前を仮にSさんとしておこう。
弘子さんはSさんの存在を知っていたものの、当時はそうたやすく会える人ではなかった。そのSさんの能力を利用しようと近寄ってくる輩が大勢いたからだ。
だが、オイルを手にした弘子さんは、どうしてもそのSさんに会わねばと思ったので、人づてにSさんにコンタクトを取ってみた。
すると、すんなり「お会いしましょう」ということになり、面会の約束が取れた。
弘子さんがSさんの事務所に到着するなりSさんはこう言った。
「お待ちしていました」
Sさん曰く、空海から「自分の育てた人がもうする訪れる」そう聞いていたので待っていたのだと。ただ、男性だろうと思い込んでいたので、女性だったとこには驚きました、ということだった。