死亡事故も起こっています! ドライアイスに気を付けましょう!
冷凍の食品などを買ったりお取り寄せしたりするとついてくる
ドライアイス。
学校の授業などで勉強したこともあってある程度知識がある方も
多いと思いますが、本当に危険と思っている方は
案外多くないのかもしれません。
葬儀屋では、故人様のお身体保全のために、
ご逝去後にはできるだけ早くお体にドライアイスを当てますが、
ドライアイスの取り扱いには、常に十分に配慮しており
また、お棺に納棺後のご安置や搬送でも換気に気を付けています。
今回は、気を付けないと本当に危ないドライアイスのお話です!
ドライアイスの特性
ドライアイスとは二酸化炭素の個体で、-78.5℃で固体から気体に昇華し
1kgのドライアイスは、約500ℓ の気体に膨張します。
二酸化炭素の気体は無臭・無色で、空気の約1.5倍の重さがあるため、
拡散しても低い場所へ流れてたまる特性があります。
ドライアイスを常温に出した時に見られる白煙は、空気中の水分が
温度低下により水や氷の粒になったものです。
科学の授業のようですが、このようなドライアイスの特徴から
以下の危険性に注意が必要です。
素手で持ったり皮膚に直接触れることによって凍結、低温火傷をする。
ペットボトルや瓶などの密閉容器内で気化して破裂する。
溜まった二酸化炭素を大量に吸い込むことにより二酸化炭素中毒になる。
◆ 人体への影響
二酸化炭素濃度が高い場合には、呼気への二酸化炭素への排出が阻害され
中毒症状があらわれて生命に危機が及びます。
二酸化炭素中毒は酸素濃度が十分にある場所でも生じるほど、
高濃度の二酸化炭素は有毒性が高いのです。
また、症状を自覚してから意識消失までの時間が短いことも危険です!
体調の変化を自覚してから安全な場所に移動する時間がない事も多く、
意識を消失して発見が遅れると、死に至る事もあります。
二酸化炭素は、濃度10%でも意識消失の恐れがあるそうです。
頭痛やめまい、吐き気、呼吸困難などの症状が現れ、
30%以上の濃度では、吸い込んで即時に意識を失うほどの危険性が
あるそうです。
実際にあったドライアイスでの事故事例
ここ数年の間にも、ご葬儀に関わるドライアイスでの悲しい事故が
何件か起こっています。
ニュースにもなっていて知っている方もいるかと思いますが、
幾つかの実際にあった事故事例をお伝えします。
○ 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めたお棺の小窓を開けた
そばで意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。
○ 自宅において、ドライアイスを敷き詰めたお棺内に顔を入れた
状態で発見され、死亡が確認された。
○ 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めたお棺内に顔を入れた
状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。
ここ数年だけでも、このような悲しい死亡事故が起こっています。
ドライアイスを入れたお棺には、二酸化炭素が充満しています。
ご安置中のご面会などで、そんなお棺の中に顔を入れたり、
顔を近づけた状態で長時間いると、二酸化炭素中毒を起こす危険性が
あります。
また、お棺に納棺せずにご自宅にご安置している場合なども、
ドライアイスを当てた状態で同じ部屋で添い寝をしていたご家族が
亡くなってしまうという事故もありました。
二酸化炭素は低い場所に滞留するので、横に添い寝をしてしまうと
高い濃度の二酸化炭素を吸ってしまう可能性があり、非常に危険です。
国民生活センターの二酸化炭素濃度テスト
国民生活センターが、棺内の二酸化炭素濃度が高くなった状態からお棺の
蓋を開けた際の二酸化炭素濃度の推移を調べたそうです。
テストでは、敷布団を敷いたお棺にダミー人形を入れ、脱脂綿で包んだ
ドライアイスを4個、合計10kg設置し、お棺内部の二酸化炭素濃度の推移を
気体検知管により測定しています。
室温20℃、湿度50%に設定した室内で行われたこのテストでは、
二酸化炭素濃度は、テスト開始直後から急激に上昇し、20分後には
「ほとんど即時に意識消失」するレベルの濃度30%を超えたそうです。
その後も二酸化炭素は上昇を続け、4時間後には90%前後でほぼ一定に
なったそうです。
この結果からも、ドライアイスの入ったお棺に顔を入れる・近づける行為は
とても危険だということが分かるかと思います。
ご自宅にご安置する際の注意点
お棺の中に顔を入れない
長時間そばにいない
ご安置している部屋の換気を行う
お棺のそばで1人にならない
少しでも気分が悪くなったらその場からすぐ離れる
添い寝をしない
前述の事故事例でも分かる通り、葬儀社などでのご安置中の
ご面会時も危険はあります。
ほとんどの葬儀社では、注意事項をお伝えしたり、離れた位置で
付き添っている場合が多いですが、
故人様との大切なご面会の機会、ご家族様だけにと気を遣って
その場から離れる葬儀社も少なくありません。
ぜひご自身のことも大切にしながら、故人様との時間を過ごして
くださいね。
ドライアイスでの悲しい事故のニュースもあり、業界全体でも
注意喚起を強化する動きが出ているので、
今回はドライアイスの危険性についてお伝えしました!
そうは言っても、故人様のお身体を腐敗から守るため、
ドライアイスで冷やすことはとっても大切なことです。
技術が進化し、ドライアイスより安全でエコな冷却素材が出てくるかも
しれませんが、今のところはなかなか代替品は難しいのが現実。
大切な方を亡くされて、少しでもそばに居たい、近くで見たい触れたい
という気持ちは当然だと思いますが、
故人様が悲しまないよう、遺された方々はご自身の事にも気を配りながら
最期の時間を過ごしていただきたいなと思います。