行旅死亡人のご火葬のお話
「行旅死亡人」という言葉を聞いたことはありますか?
あまり聞き馴染みのない言葉だと思いますが、行旅死亡人とは、
身寄りが判明せず、引き取り手のいない故人様のことを言います。
昔とは少し在り方が変わってきているようですが、
行旅死亡人として亡くなる方も、一定数いらっしゃいます。
今回は、そんな行旅死亡人のご火葬についてのお話です!
行旅死亡人とは?
例えば、故人様の生活圏ではないエリアで、身分証などを何も持たずに亡くなった場合、警察がご遺体を引き取り身元を調査します。
この時、調査をしても故人様ご自身の身元が分からない場合は、故人様をご家族やご親族に引き渡すことができず、「行旅死亡人」として扱われます。
行旅死亡人として亡くなった場合、ご家族に代わって故人様が死亡した土地の自治体が故人様の火葬を行います。
最近では、高齢者の孤独死も増えてきていますが、そういう場合でも身元が判明しなければ行旅死亡人になり、
旅先などに限らず、病死や事故死、自殺などどんな形でも、身元が判明しない場合は行旅死亡人として扱われます。
そうした行旅死亡人として扱われる死亡事例は、年間で600~700件に上ると言われています。
行旅死亡人に対する自治体の役割
前述した通り、行旅死亡人が発見された場合、故人様が発見された土地の自治体がその後の対応をします。
自治体による火葬は、故人様の所持金が見つからない限りは公費で立て替えるため、通常はお葬式などは特に執り行わず、火葬のみを速やかに執り行い、
ご遺骨もしばらくその自治体が保管します。
そして、故人様が発見された場所や、おおよその年齢・特徴、所持品等を、国が発行する官報に公告します。
火葬後に一定期間保管されたご遺骨は、その後合葬され、無縁仏として無縁墓地に埋葬されるのが一般的です。
※ご遺骨の保管期間は自治体によって異なります。
もしご遺骨の引き取り手が見つかった場合は、そのまま引き渡されます。
行旅死亡人に遺産がある場合
故人様が亡くなる際、所持金がある場合があります。
例えば、身元が判明しない孤独死の場合など、身元は分からなくても、部屋の金庫の中に現金が入っていることもあります。
行旅死亡人として扱わる場合、火葬や埋葬にかかる費用は、原則として所持品の金品で賄われます。
金額が足りない場合でも、見つかった金品は全額使われ、足りない分を自治体が立て替えます。
所持金等が発見されなかった場合や足りない場合は、自治体の公費で賄われますが、その後引き取り手が現れた場合は引き取り手に請求されます。
ただ、引き取り手が費用の支払いを拒否することもあるそうです。
引き取り手そが見つからない場合や支払いを拒否された場合、最終的に都道府県が費用を負担します。
多額の遺産が見つかったら?
亡くなられた際、一緒に多額の遺産が見つかる場合もあります。
行旅死亡人として扱われる故人様の場合、
法定相続人に当たる人物がいないということになり、遺産は受け取り手が存在しません。
この場合、家庭裁判所が相続財産管理人という、
故人様の遺産を管理する人を選出します。
通常は地域の弁護士が担当するそうです。
相続財産管理人は、官報で公告し相続人や相続債権者を探しますが、
期間中に発見できなければ、最終的に遺産は国庫に帰属されます。
もし行旅死亡人として扱われた人を探す場合は、
国の「官報」から探すことができます。
※官報は過去30日分は無料で閲覧できますが、
それ以前は有料プランを申し込むか図書館などで調べるしかありません。
行旅死亡人という扱いは、様々な条件で誰にでも起こりうることです。
ご自身が今まで生きた時間、最期に誰だか分からないなんて、なんだか悲しい気がしてしまいます。
いつ何時起こるとも限らない不慮の事故に備え、
普段から周囲とコミュニケーションを取ったり、マメに連絡するようにしましょう。
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