ミルメークとわたし
「ミルメーク」はお好きだろうか。
給食でおなじみという方も多いだろう。
牛乳に混ぜて飲むと甘くておいしい、心ときめくアレだ。
以前勤めていた中学校では、月に一度(?)くらいミルメークが出た。
目の前に、瓶詰めの牛乳。プラスチックのふたをぱかっと開け、ミルメークの顆粒をザッと流し込む。そして再びフタをし、牛乳瓶をバーテンダーよろしく上下に振る。
(ちなみに、昭和の頃の紙製のめんこみたいなフタはもう使われていません。正直あれが少し苦手だったわたしは、プラふたの登場にガッツボーズです。)
そしてもう一度ぱかっとふたを開け、おもむろにグビッとやる。
これがなんとも美味しい。
ちなみに、バーテンのくだりをやらず、粉を入れて、牛乳瓶をさかさまに置いて、
それがすこしずつ溶けていくさまをツマミに、給食を掻きこむ男子もいた。
楽しみは後にとっておく派な。了解。
しかし。
今の勤務校にきて、はじめてのミルメークは、もう、粉ですらなかった。
なるほど、ここでは牛乳が紙パックだから、顆粒は仕込めないわけだ。
この、注射器みたいな容器から、ストロー穴をつうじてミルをメークするわけだな。と理解した私は、おもむろに注射を手に手術にかかる。
気分は大門未知子。わたし、失敗しないので。
すると、ミルメークは未知子をあざ笑うかのように、ストロー穴から溢れた。
わわっ、とあわてる。
後から先生たちに教えてもらったが、液体ミルメークは、まず牛乳を一口飲んで、
少し量を減らしてから注入するきまりなのだという。「校長先生、ご存じなかったんですか」…ええ、知りませんでした。
またひとつ賢くなっちゃったなぁ。次のオペが楽しみだ。
ちなみに、ミルメークはバナナ、いちご、ココア、メロンなど子どもが好みそうないろいろな味があるのに、なぜか給食に出るのは「コーヒー味」一択である。これはなぜなのか。謎である。