大動脈解離 #2 ACUのベッドの上から
大動脈解離の手術後、ACU(大動脈治療専用ユニット)での入院生活が始まった。
ベッドに寝たきりで 管だらけの体は寝返りもできない。
左右はカーテンに仕切られており部屋の全体像は分からない、見える範囲に時計も無いので時間も分からない。
人の気配的には同じような症状で入院している患者さんが数人いるのだろう。
この部屋では看護師さん達が常に動いている。
患者さんとの会話もあれば、朝礼や治療の打ち合わせ、休みの予定や昼食の雑談もあり。
入れ替わり立ち替わりの24時間戦えますか?状態。いつも誰かが動いて話している。お手数をお掛けして申し訳ない、ありがとうございます。
揉めている声が聞こえてきた。
インドネシア人の患者さんがいるらしく、日本語も英語も通じない。患者さんのインドネシア語は看護師さんには通じないので会話ができない。
そんな状態でインドネシアの方は勝手に管を抜いてしまうらしく、看護師さんが手を焼いている様子。
共通言語が無い患者さんへ 医療行為をどう説明するのか?
難易度の高いミッション、ここはスマホの翻訳アプリを使うのかな?と思っていたら、
「イケナイ!ダイジナクダ、ヌカナイ!」
(カタコトー!?)
まさかのコント風カタコト日本語。予想外の展開にツッコミを入れたいところだが、今の私にはそんな気力も体力もない。
「ダメヨ! コレ、ヌ カ ナ イ !」
きっと ジェスチャーも交えて真摯に伝えようとしているのだ。
コミュニケーションは正しい単語や文法の羅列よりも、伝えようとする強い意志が大切と聞いたことがある。知りませんけど。
このカタコトによる説得はしばらく続いた。
そういえば「クダ」
私を繋いでいる様々な管たち。
・鼻に酸素チューブ1本
・胸に心電図系が4本
・首になにかの管1本
・腹部に排液バッグ付きドレーン2本
・両腕に点滴系1本ずつの2本
・指先にパルスオキシメーター1本
・尿道カテーテル1本
合計12本!
早く全部抜けるといいな…
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