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時間の余裕を生み出す!オンボーディングの作り方 with Notion


新人教育の仕組みを作ったら負担が激減

人間は成長するまでに時間がかかる

クライアントに対してシステム導入の仕事をしていたときのこと。案件数が増えてきたので、後輩が入ってきた。私が業務に詳しいということで教育担当になったのだが、これがなかなか大変だった。

そもそも今の業務で手一杯なのに、新人教育まで任されたら、キャパオーバーするじゃあないか。

しかも丸投げである。全国のマネジメント経験者なら首がもげるほど頷いてくれるだろう。

最初は資料など何もなかったので、1on1をしながらシステムの説明をし、課題を与え、フィードバックもしていた。しかし、さすがに忙しすぎたので、3人目の後輩が来るまでにスキル習得のためのカリキュラムを作成することに。

すると数日に1回のフィードバックで、案件をサポートできるぐらいまで成長してくれるようになった。期間にして2週間程度だろうか。

本記事ではそのときの経験やコツをシェアしていく。

【オンボーディングで実現したいこと】
・業務に必要な知識やスキルの習得
・パフォーマンスの早期発揮
・安心感や自信の醸成

オンボーディングとは?OJTとの違い

オンボーディングとは「(乗り物に)乗る」を意味するon-boardに由来し、新しい環境に飛び込むことを指す。新入社員が会社規則や業務スキルを理解して早く活躍できるようにする取り組み全般のことだ。

Googleの社内調査によると、入社初日にしっかりと受け入れ態勢を整え、準備されていると、次の3カ月以内のパフォーマンスが30%上がると言われている。

似た用語にOJT(On the Job Training)があるが、これは業務スキルの習得を目指す取り組みで、上司や先輩社員が中心となって行う。一方、オンボーディングはスキルだけでなく、会社のカルチャーやチームメンバーとの交流も含まれるので、概念としてはOJT<オンボーディングになる。


オンボーディングのコツ

オンボーディングのコツ

今回はスキル習得に特化した内容をメインでお伝えする。なぜなら、多くの人の関心事が「業務についていけるのか?」だと思うからだ。

資料は全部作らない

資料をすべて自分で作成してはならない。特に一般的な知識であればなおさらだ。先人たちが残した優れた記事や動画がネットの海に漂っている。何をどの順番で学習するかは示すべきだが、中身まで作る必要はない。車輪の再発明になるだけだ。

特にツールの操作方法であれば、開発会社側がマニュアルやチュートリアルを用意している。自作すると、思い通りの資料が出来て満足できるが、継続的にアップデートすることを考えると、外部にやってもらった方が絶対に良い。

機能別ではなくタスク別

ツールの機能説明ではなく、業務全体の流れやコツなどを伝えるべきだ。実際の業務の流れを踏襲すると使いやすいものになる。

例えば、ユーザーに対してメール配信するケースを考えてみよう。その場合、メール文面を作成→配信予約→データ計測と分析(開封率など)といった流れで解説することになる。

単なるツールの機能説明だけだと、実務に活かせなくなってしまう。機能単体でタスクが完了することはほとんど無いからだ。業務の目的と全体の流れ、経験者のみが語れるコツなどを盛り込んでいこう。

教育ではなくトレーニング

人はコンピューターのように何かをインストールして終わりということはない。1度教えて出来るなら苦労はしない。

トレーニングだと思って、反復練習させよう。考えなくてもできることが増えるほど、より難しい部分に目を向ける余裕が出てくる。本人の自信につながる。

このとき、タイムも一緒に計測する。習熟度を計測するためだ。これまでの経験上、だいたい5~6回程度繰り返すとタイムが底打ちすることが多かった。アウトプットのクオリティも上がる。

アウトプットをチェック

成果物に対するフィードバックに時間を割こう。インプット(一般的な知識)は自習させるべきだ。

私の仕事はシステム導入やDXなので、システムだけでなくビジネス理解も必要になる。しかし、すべてを教える時間はない。

なので、参考資料を読んでもらった上で、レポートを書かせていた。きちんと理解できていることが確認できたら、実務を模擬した課題を与える。

これにより、私の仕事は課題を渡すことと、フィードバックだけになる。後輩は放ったらかしにならないし、自分にも余裕ができる。


オンボーディング制作の流れ

オンボーディング制作の流れ

目標・目的の設定

オンボーディングの各コンテンツが達成するべきゴールを明確にしよう。コンテンツ制作時に内容がブレなくなる。よくある目標・目的は以下のようなものだろう。

  • 業務に必要な知識やスキルの習得

  • 組織文化や社内ルールの理解

  • 早期にパフォーマンスを発揮する

  • 安心感や自信の醸成

環境の構築

効率的なオンボーディングのための環境を整える。新メンバーがオンボーディングプログラムを乗り越える上で必要なサポートを準備しよう。例えば…

  • 気軽に質問できるメンター制度

  • 進捗を報告するチャットグループ

  • 先輩社員の経験に基づいたアドバイスをコンテンツに盛り込む

などなど…

コンテンツの作成

必要なコンテンツを制作していこう。コツは業務の全体像をフローチャートなどで示しておくこと。新入社員は近視眼的になってしまいがちだ。「あなたがこれから学ぶタスクは業務全体のココだよ」というのを最初に教えておくと理解が捗る。

フローチャートを作成するツールは、FigJamdraw.ioを使っている。無料で利用できるし、他のアプリとの連携も容易だからだ。

オンボーディングの実施

ここまで来たら後はやるだけだ。期間は一般的に3〜6ヶ月が理想的とされている。なぜなら、多くの新入社員が入社後数ヶ月以内に継続か退職かを決める傾向にあるからだ。

評価と改善

最後にアウトプットの質や質問内容を加味してカリキュラムを修正していこう。改善内容は、本人から感想を直接ヒアリングしても良いが、アウトプットの内容を見ていれば、どこで躓いているのかは分かると思う。

新入社員ではなく、仕組みを改善していこう。


オンボーディング資料の作り方

オンボーディング資料の作り方

0. 予習課題の用意

必要な前提知識は、あらかじめ予習してもらおう。ネットで検索すればいくらでも情報が出てくる時代だ。YouTubeの動画や記事で予習させ、レポートを書いてもらうと、自分が作成する資料はいきなり本題から入ることができる。

1. 資料の枠組みを作成

オンボーディング資料の作り方はプレゼン資料の作成と同じだ。詳細を詰める前に、まずは箇条書きで要点をまとめていく。職種によって異なるが、以下の項目が入っていると抜け漏れがなくなる。

  1. 業務の目的:何のためにやるのかを明示

  2. 業務の全体像:フローチャートで明快に

  3. 緊急報告先:判断に迷った時の質問先

  4. 業務を行うタイミング・場所

  5. 業務の進め方

2. コンテンツ資料を制作

箇条書きでまとめた要点をテキスト、画像、動画で肉付けしていく。基本的には修正しやすいテキスト形式で作成するのがベター。ただし抽象的な内容だったり、説明より見た方が早い場合は、画像や動画を追加しよう。

例えば、ツールの操作説明は説明より見た方が早い業務の典型だ。しかし、大量の画面スクショが必要になるので、工数がかなりかかってしまう。

そんなときはtangoというツールが便利。画面をポチポチ操作をしていくだけで、スクショ画像と操作説明付きのマニュアルを作成してくれる優れモノだ。画像100枚分のマニュアルを1時間以内で作成できたときは感動ものなので、ぜひ使ってみて欲しい。

tango|操作内容がそのままキャプチャされるマニュアル作成ツール
tango|操作内容がそのままキャプチャされるマニュアル作成ツール

動画で説明したい場合は、Clipcampがシンプルで使いやすい。多くのツールはブラウザ上でしか録画できなかったり、有料だったりするのだが、Clipcampはネイティブアプリも録画することができる(Excelなど)。


オンボーディング制作のチュートリアルを公開中

オンボーディング制作用テンプレート
Notionで作ったオンボーディング用テンプレート

オリジナルのオンボーディングを制作しながら、Notionの操作方法も学べるチュートリアルを用意した。4つの講座を用意しているので、読み進めながら手を動かすことで、独自のオンボーディングが制作できる。

反復用のタイムトラッキング機能も用意したので、5~6回繰り返すと仕組みが理解できるようになるだろう。自由自在に扱えるようになれば、自分でコンテンツや機能を拡充していけるようになる。

どんな仕組みか気になる方はぜひ覗いてみて欲しい。


自分だけのオンボーディングを制作しよう

元来、何かを教えるのが嫌いではないので、余裕があるときは押し売りのように後輩を捕まえては何かを教えたりしていた(迷惑)

しかしそれは余裕があるときにやるべきであって、余裕がなくても教育できる仕組みは必要だ。

今は便利なAIやサービスが増えているので、ぜひNotionなどのツールを導入してみて欲しい。きっと仕事への余裕につながるはずだ。


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