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あとがきの あとがき

「戀するSkikiaとLittlebee」のあとがきの、あとがき。【其の一】

2023年春、高知県出身の日本の植物学者、牧野富太郎博士の生涯をモデルにしたオリジナルストーリーのドラマが始まった。朝ドラと呼ばれる全国にファンの多い某テレビ局の「連続テレビ小説」ドラマ枠で、タイトルは「らんまん」。「春爛漫」という言葉のイメージと重なり、百花繚乱、美しい花々や草木がドラマにさぞ登場し、ガーデニング好き、プランター好き、草花好きにはさぞ楽しめる番組になるのだろうと、自然志向派には嬉しい知らせだったはず。なにより牧野博士ファンなら待ち遠しいドラマ化だったに違いない。あとから知った話だが、「牧野博士の話を朝ドラに!署名活動運動」はドラマ化決定の数年前から地道に地元から全國に展開していたようで、民間の牧野博士ファンからの熱烈なシュプレヒコールにより実現したと言っても過言ではない。果たして関係者以外で、草花にさほど興味や知識がない人、普段から植物園などに足を向ける生活を送っていない人からしたら、それまで「牧野富太郎博士」のことについて、知っている人はどれだけいただろう?
私達の学生時代の教科書に出てきた有名な人物であっただろうか?・・・ 
(私達の年齢がいつなん?というのは置いといて)

関西に住んでいながら、実は高知は以外に遠い。本州とで瀬戸内海を挟み、大歩危小歩危を超える岡山発のJRの南風特急に乗るか、伊丹空港からの飛行機か、夜行に乗って朝着くバスか、ちょっとした小トリップ。
関空から台湾に向かう時間くらいかかる。
食べ物は美味しいし、南国土佐には龍馬もいる。
だけど「らんまん」が始まるまで、
高知県立牧野植物園に、いの一番に行く人は
どれくらいいただろうか???? 

そしてドラマ化が決定するや、牧野博士関係本の出版ラッシュ、YouTubeの牧野博士ネタ、SNSの富太郎ネタの洪水と化した2023年。そして実はドラマ化に伴って、波に乗りたいと便乗する一人でもある愛玉籽研究室の室長こと私は、遡ること昨年の春、牧野博士のドラマ化決定のニュースを聞いて、これは来るかも!!!と思っては、いた。

室長役を務める私は、屋号を「愛玉籽研究室」と名のり、2021年(もしかしたら日本で初の)愛玉子(オーギョーチ)絵本を出版、愛玉子をもっと知ってほしい!ただのスイーツの一つじゃない、いろんな物語が孕んでいるこんな面白い植物を知らなかったなんて!と、半ば焦るように本を作って、
だけど、そして、飛ぶようには売れなかった。

自費出版は、自腹で作って自己満足、あとは回収作業のように手売りをしながら、絵本だけでは物足りないリアルな「愛玉子ゼリー作り」のワークショップをぼちぼち始めた。牧野博士のことは、オーギョーチで切っても切れない縁があるので、自費出版の本にも書いていた。ワークショップでは、嬉しくて必ず日本の植物学者が台湾固有種である「オーギョーチ」の学名もつけてくれていたのだよと、話していた。

しかし、テレビドラマの影響はすごいものだとつくづく思う。
室長ごときが、毎日ワークショップをしたとしても、一向に認知度が上がらない「オーギョーチ」のことを、ドラマに登場したらとあっという間にトレンド入りだ。

ドラマに登場したのは8月下旬、台湾に詳しい作家の片倉氏の監修の元、日本のドラマ史上初の原住民ツォウ族の出演をはじめ、ツォウ族語の台詞の登場、台湾語の台詞の登場と初尽くしに見舞われ、台湾を憂う台湾ファンは涙して見たに違いない。少なくとも私は号泣した。(色んな意味で 笑)
「らんまん」史上最高の週平均視聴率を叩き出したのは、一定数いる台湾ファンが牽引したことに間違いないと思う。なぜなら私の周りの台湾好きは、それまで朝ドラを見ていなかったのに、その週だけは「台湾編」とばかりにみんな見ていたから。
 コアな台湾フリークからは、ドラマの微に入り細に入り、ここが、時代考証と違うのではとか、史実とはかなり違うとか、そういう意見に対して
その週の監修をされた片倉さんのオンラインサロンで回収作業をされていたのを、あとから拝見して、
なるほど、監修されるだけあってさすが永年台湾を隅々探求されているから言えるお話だなと、ドラマが10倍楽しめた。

かくして、室長史上初の「#オーギョーチ」祭りは1週間続き、
おかげさまで、いつになくワークショップは盛況。
私しか体験できないファールチップなドラマ裏話をネタにと若干饒舌になる室長の、「愛玉子」熱(愛玉愛と、人は言う)は今、ほとばしっているかもしれない。
そして、ドラマは終盤、週タイトルは「#ヤマモモ」から「#ツチトリモチ」とドラマは9月末までのラストスパート状態の中、最後が「#スエコザサ」なんだろうか?
実際の牧野博士はとっても長生きされたから、半年スパンで15分刻みの朝ドラでは足りなかろうと思いを馳せていたとき、

台湾から一通の公文書類が届いた。


台湾の行政院の組織には以前農業委員会という部署があったが、
この夏、農業委員会から農業部に格上げ、組織名が変更になった。
封書にも上書きで部署名が変更されていた。その農業部の苗栗區改良場の場長と博士から届いたのは、「著作授権同意書」だった。

これは、「愛玉子」(オーギョーチ)をもっと知ってもらうために、絵本を出し、ゼリー作りのワークショップを始め、ワークショップをするときにお話したいことを集めていたら台湾政府の農業部が作成した「愛玉の短編動画」を知り、ワークショップに使いたいので、なんとか字幕をつけさせてほしいと
勝手に許可を得られる前提でお願いし、とうとう台湾の愛玉博士にお会いして絵本を届け、動画の使用許可を正式に公文書でいただくまでの話である。

【その二】に続く。


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