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Unlearningって難しいと気がついた話

自分はいろいろなことに興味があって情報収集をしているつもりだったので、生涯学習においてUnlearningが課題であることを読んだ時に他人事のように思っていたのですが、自分がきちんとUnlearningできていない領域を見つけて衝撃を受けました、という話。
すごくお恥ずかしい話なのですが。


自分がUnlearnできていなかった話

私はここ数年iPhoneやiPad、Macを多用するAppleユーザーです。紙のデジタル化を粛々と進めており、デジタル機器便利だなーと思ってました。
物理的なスペースを取らない!

最近新しいiPadの発表があったと思います。
アクセサリを調べると、好んで使っていたSmart Keyboard Folioがないんです。
Magic Keyboardはあるのですが、タッチバッドが邪魔なのと、なんたって重い。

これキーボード使いにくいなあ、しばらく買うの控えよう。

しかしそこで気がついたわけです。
あれ?iPadにキーボードって必要なんだっけ。
Apple Pencilで手書き文字をテキストに変換してくれる機能がなかったっけ。

今まで手書き文字のテキスト化機能をあまり使ったことがなかったので、せっかくですのでいろいろ試してみました。
そうしたらいろんなアプリケーションで使えるじゃないですか!

  • メモ

  • Notion

  • Goodnote

  • Day One

  • Instapaper

  • O'Reilly

仕事で使う時は認識ミスがイライラしますが、プライベートで使うなら全然十分だし、楽しい。
キーボードがなくてもいいのでカバー選択の自由度が上がります。

いまさら!?みたいな話でお恥ずかしいのですが、自分がiPad & Apple Pencilでできることを "Learn" していなかった。

ではなんで "Learn" しなかったんだろう、と不思議に思ったんですよね。こんなに面白い機能なら自分が試していてもおかしくない。
機能そのものがあることは以前から知っていた。

そこでやっと自分が無意識にPCと電話との役割分担と技術的な制約をそのままタブレットとスマートフォンに適用してものを見ていることに気がつきました。

PCにはキーボードだ!
iPad含めたタブレットはPCのようなものだ!
だからiPadの文字のインプットはキーボードだ!

電話とは通話するものだ!
スマートフォンは電話回線を使ってインターネットにつながるものだ!
だからインプットのインターフェースが快適でないしそれで仕方ないのだ!

つまりPCと電話の役割を "Unlearn" できていなかったのだと気がつきました。

よく考えたらスマートフォンとタブレットの機能的な境目はすでに曖昧です。
昔は電子機器側がインプットを受け付ける方法に大きな制約があったためにPCと電話の役割分担に落ち着いていたわけで、技術の進歩があった現在は音声や手書きと言ったたくさんのインプット方法があるわけです。

こう考えるとUnlearnできないってのは致命的ですね。
そこに学習すべき領域があることも認識できないのです。

ITの世界でもやっぱりある!

ITの領域にいて学ぶべきことはたくさんあって、それは非常にわかりやすいんです。
アジャイル、BizDevSecOps、マイクロサービス、Observabilityと、日々新しいキーワードが生まれています。

こういう名前がついているものは "Learn" を忘れることはあまりないんです。

よく考えてみたら染み付いた考え方ってのが危ないんです。
最近気が付いたのがこれ。

コンピューティングリソースは高い!
節約しなければ!
節約のために運用回避を!手作業で!

現在これはあまり当てはまらなくなっていませんか。

なんでこんなことを "Unlearn" の文脈で書いているかと言うと、アーキテクチャレビューなどで設計思想の話をしているときに、「コンピューティングリソースの節約が染み付いているな」と感じることが多いからです。

コンピューティングリソースより人の方を節約しなくていいの?

これは2015年 (平成27年) の資料で、ディスクスペースの価格の推移です。

平成27年版 情報通信白書より

文章に書いてある通り、

市販のHDDのGBあたり単価に換算すると、1985年から30年間で約100万分の1まで下がっている

平成27年版 情報通信白書より

CPUやメモリも、性能あたりの価格で言うと相当安くなっているはず。

対してこの後人件費は上昇するだろうと個人的に見込んでいます。
平均給与とかではなく、能力あたりの人件費です。

根拠は少子高齢化です。
まずは年齢ごとの人口の推移を見てみましょう。
下にグラフがありますが、みていただきたいのは棒グラフの赤い部分、15〜64歳の人口の推移です。
数字に着目すると、1995年から右肩下がりですね。

平成29年版 情報通信白書より

つまり、就職する (できる) 人口が減っているよね、と言うことがわかります。

さてこの状態で企業間で人を取り合うことを考えます。
企業にも人気がありますよね。以下は2025年卒の就職希望企業ランキングです。

2025年卒の就職希望企業ランキング

このようにそうそうたる企業が採用枠を少子高齢化に合わせて削減してくれるとは思いません。なんなら業績に合わせて枠を増やすでしょう。

この状況で、例えばランキング500位の会社が、今までと同じくらい優秀な人材を確保し続けられるとすると、それはどう言う条件がありますか。

ここからは試験のようにスコアリングできる話ではないので思考実験の域を出ない話をします。

年代ごとの優秀さの分布に変動がないと仮定した場合、優秀な人材の数は減りますよね。
人の優秀さでスコアリングして高い順に並べられるとした場合、1位の人の優秀さは時と共に変動しなくとも、1000位の人の優秀さは1995年と2024年では大きく違うはずです。

これを正とすると、皆さんの会社が今までと同じだけ優秀な人材を確保するためには、会社のブランドを超えた魅力がないといけません。
それはお給料の金額や待遇、やりがいのある仕事、会社の雰囲気、働きやすさ、フルリモート、などなど。
採用して馬車馬のように働け!と言うだけではダメになってきていて、人材の働きやすさに投資をする必要が出ています。
今後もこの傾向は続くでしょう。

と言うことを考えると、コンピューティングリソースを節約するよりも、人手を節約し、同じだけの仕事をより少人数でできる方を選んだ方が、会社としての存続可能性が上がる、かもしれません。






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