正解が分からないときの、納得感の作り方とは?
昨今はビジネスをする上でも、キャリア形成をする上でも、変化が激しく、正解がない時代(正解が陳腐化する時代)とよく言われます。
そのような時代、状況において、良いビジネス、良いキャリアを築くにはどうしたら良いのか、という問いは多くのビジネスパーソンに共通するテーマなのではないかと思います。
そこで今回のQ&Aは以下です。
世界標準の経営理論(入山章栄著)で紹介されている、センスメイキング理論をもとに上記について考えていきます。
真実はいつも一つなのか
いつまでも子どもの名探偵の決め台詞。
これは真実なのでしょうか。
哲学的な議論の中で、実証主義と相対主義というものがあります。
chatGPTに聞いてみました。
どちらが正しい、ということではないですが、今回考えるセンスメイキング理論は、認識論的相対主義(relativism)の立場を取る考え方であり、私の解釈では、絶対的な正解をつきつめるのではなく、認識のパワー(極端な表現をすると思い込み)を活かすことが正解のない状況で納得感を生み出すには重要!という理論です。
センスメイキング理論
このセンスメイキング理論は、組織心理学者のカール・ワイクが生み出し、発展させてきた理論です。
このカール・ワイクが引き合いに出すセンスメイキングの事例として、ハンガリー軍が雪山で遭難した話があります。
このように、センスメイキング理論とは、本書によると、組織のメンバーや周囲のステークホルダーが事象の意味について納得(腹落ち)し、それを集約させるプロセスをとらえる理論と説明されています。
ある状況に対して、それが真実かどうかに限らず、ストーリー(地図があるから助かる)が共有されたときに納得感を生み出すという事です。
センスメイキング理論は、主に以下の3つの要素の循環によって捉えられます。
①環境の感知(scanning)
・新しい・予想外な・混乱的な・不確実な状況を感知するプロセス
(上記のような状況でなければ正解のなさに悩む必要がなく、本理論を適応する必要がない)
②解釈・意味づけ(interpretation)
上記のような状況は、多義性(=意味合いが多様になる)が顕著になる。すると人によって様々な解釈をすることになり、足並みがそろわない状況に陥りやすい(本書ではセブン&アイやソニーの事例が紹介されている)。
だからこそ、センスメイキング理論において組織の存在意義は、解釈の多義性を減らし、足並みを揃えることにあると考える(これを組織化という)。
そしてこの解釈を揃えるためには、徹底した事業環境分析ではなく、納得性のあるストーリーづくり、ストーリーテリングが重要であると考える。
③行動・行為(enactment)
多義的な世界では、「何となくの方向性」でまず行動を起こし、環境に働きかけることで、新しい情報を感知し、解釈を磨いていくことが重要である。だからこそ、徹底着てな事前の分析よりも、「行動」に重きを置いており、環境に行動をもって働きかけ(=イナクトメントし)、環境を解釈し続けることで、センスメイキング(納得、納得するストーリーを生み出す)ことができるということである
(まとめ)思い込めるストーリーをつくる
理論的な概論をかなり端折って記載しているので、分かりづらい部分もあるかもしれませんが(ぜひ本書を読んでみてください)、何が正解なのか突き詰め続けるより、思い込めたら勝ち!という考え方は現代において、物凄く重要だと思います。