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正解が分からないときの、納得感の作り方とは?

昨今はビジネスをする上でも、キャリア形成をする上でも、変化が激しく、正解がない時代(正解が陳腐化する時代)とよく言われます。

そのような時代、状況において、良いビジネス、良いキャリアを築くにはどうしたら良いのか、という問いは多くのビジネスパーソンに共通するテーマなのではないかと思います。

そこで今回のQ&Aは以下です。

Q.正解が分からないときの、納得感の作り方とは?
A.センスメイキング理論("思い込み"で納得感を生み出す)

世界標準の経営理論(入山章栄著)で紹介されている、センスメイキング理論をもとに上記について考えていきます。

真実はいつも一つなのか

いつまでも子どもの名探偵の決め台詞。
これは真実なのでしょうか。

哲学的な議論の中で、実証主義と相対主義というものがあります。

chatGPTに聞いてみました。

<実証主義>
基本原理: 経験と科学的方法に基づく知識の追求を重視します。
知識の源泉: 観察、実験、論理的な分析を通じて得られる客観的事実。
立場: 絶対的な真実や客観的な知識が存在すると考えます。
<相対主義>
・基本原理: 真実や値は文化や個人の視点に依存し、絶対的ではないとする立場です。
・知識の源泉: 文化的、個人的な経験や信念。
・立場: 真実や値は文化やコンテキストによって異なり、普遍的な基準は存在しないと考えます。

簡単に言うと、実証主義は客観的で科学的な知識の追求を重視し、相対主義は文化や個人の視点に基づく多様な真実を認める立場です。

chatGPT4

どちらが正しい、ということではないですが、今回考えるセンスメイキング理論は、認識論的相対主義(relativism)の立場を取る考え方であり、私の解釈では、絶対的な正解をつきつめるのではなく、認識のパワー(極端な表現をすると思い込み)を活かすことが正解のない状況で納得感を生み出すには重要!という理論です。

センスメイキング理論

このセンスメイキング理論は、組織心理学者のカール・ワイクが生み出し、発展させてきた理論です。

このカール・ワイクが引き合いに出すセンスメイキングの事例として、ハンガリー軍が雪山で遭難した話があります。

ハンガリー軍のセンスメイキングの事例は、アルプス山脈での遭難事故に関連しています。この事例では、ハンガリー軍の偵察部隊がアルプスの雪山で猛吹雪に見舞われて遭難しました。彼らは吹雪の中で何もできず、テントの中で死の恐怖に怯えていました。その時、偶然にも隊員の一人がポケットから地図を見つけ、彼らは地図を見て落ち着きを取り戻し、「これで帰れるはずだ」と下山を決意しました。その後、彼らはテントを飛び出し、猛吹雪の中で地図を頼りにおおまかな方向を見極めながら進んで行きました。
しかし、そこで戻ってきた隊員が握りしめていた地図を取り上げた上官は、驚いた。彼らの見ていた地図はアルプス山脈の地図ではなく、ピレネー山脈の地図だったのである。

(引用)雪山で遭難した軍隊はなぜ生還できたのか

このように、センスメイキング理論とは、本書によると、組織のメンバーや周囲のステークホルダーが事象の意味について納得(腹落ち)し、それを集約させるプロセスをとらえる理論と説明されています。

ある状況に対して、それが真実かどうかに限らず、ストーリー(地図があるから助かる)が共有されたときに納得感を生み出すという事です。

センスメイキング理論は、主に以下の3つの要素の循環によって捉えられます。

①環境の感知(scanning)
・新しい・予想外な・混乱的な・不確実な状況を感知するプロセス
(上記のような状況でなければ正解のなさに悩む必要がなく、本理論を適応する必要がない)

②解釈・意味づけ(interpretation)
上記のような状況は、多義性(=意味合いが多様になる)が顕著になる。すると人によって様々な解釈をすることになり、足並みがそろわない状況に陥りやすい(本書ではセブン&アイやソニーの事例が紹介されている)。
だからこそ、センスメイキング理論において組織の存在意義は、解釈の多義性を減らし、足並みを揃えることにあると考える(これを組織化という)
そしてこの解釈を揃えるためには、徹底した事業環境分析ではなく、納得性のあるストーリーづくり、ストーリーテリングが重要であると考える。

③行動・行為(enactment)
多義的な世界では、「何となくの方向性」でまず行動を起こし、環境に働きかけることで、新しい情報を感知し、解釈を磨いていくことが重要である。だからこそ、徹底着てな事前の分析よりも、「行動」に重きを置いており、環境に行動をもって働きかけ(=イナクトメントし)、環境を解釈し続けることで、センスメイキング(納得、納得するストーリーを生み出す)ことができるということである

(まとめ)思い込めるストーリーをつくる

理論的な概論をかなり端折って記載しているので、分かりづらい部分もあるかもしれませんが(ぜひ本書を読んでみてください)、何が正解なのか突き詰め続けるより、思い込めたら勝ち!という考え方は現代において、物凄く重要だと思います。

大きな意志・方向性を持ち、それを信じて進むことで、客観的に見れば起きえないはずのことを起こす力が、人にはあるというのがセンスメイキングのもう一つの大きな命題である。これをセルフ・フィリング(自己成就)という。

世界標準の経営理論(入山章栄著)


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