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1-3「瓦解」

僕の中で強い形を持っていた世界の形が瓦解する
その瞬間その景色は
清々しく
美しく
とても気持ちのいいものであるのだ

端から崩れ落ちていった世界の隙間から
何もない空間が覗く
世界の瓦解と空間の侵食が進み
僕の足元まで近づいた頃に
僕は想う
何を想うかではない
頭を抱える
何もできない

「お前は間違えてる」
「僕はここから逃げ出したいのだ」
「壊すことは逃げることとは違う」
「見えなければいいのだ」
「だからダメなんだよ」
「ダメなのは知ってるよ、どうすればいんだよ」

目が覚めてそこはいつもの部屋で
隣には今好きな人がいて
手を握ると柔らかい強さで握り返される
小さな音でプツプツと確認を取る
プツ…プツプツ…プツ…。

不規則な信号が鳴り止む頃には
世界の瓦解は小気味いいバランスで
停止する

もう誰もいないところへ行きたい
崩れてもなおそこにいる人達は
僕に優しい

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