春陽苑インタビュー:いのちに寄り添い、最期の時まで全力で支えていきたい
介護版スキルシェアサービス「スケッター」を導入している介護施設へのインタビュー企画。
第1回の今回は、さいたま市で特養や老健、クリニックで透析施設を展開する
社会福祉法人むつみ会<春陽苑>をご紹介します。
特養の施設長として、多くのスタッフを束ねる八瀬さんにお話を伺いました。
Q春陽苑の事業内容について教えてください。
1996年の開設以来、「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」、2つの介護施設の運営を
中心に、通所リハビリやデイサービス、訪問介護などの「在宅サービス」にも積極的に取り組んでいます。
一方で医療面での充実も図り、2015年には、特養の施設内に「春陽苑にこにこクリニック」を開設。
全国でもめずらしい “透析もできる介護施設”として、各方面からお問い合わせをいただくようになりました。
社会福祉法人として私たちがめざすのは、社会の多様なニーズに応える「トータル・ケアリングステーション」です。介護と医療を起点に、保育や教育、地域への貢献も考えていきたい。
幅広い視点で「生きる喜び」を支えていきたいと考えています。
Q介護の現場で大切にしている点、また心がけていることは?
大きな理念としてあるのが、「一人ひとりに寄り添う」ということです。
どんなふうにここまで歩み、何を想い、これからどこに向かおうとしているのか…。
その方が生きてきた時間の流れに思いをはせ、魂の声に耳を傾ける…。
「寄り添う」というのは、ただそばにいる、ということではないんですね。
命を感じ、人生に伴走していくことなのです。
一方で、多くの方に応対する介護の現場では、ともすると“集団の中の一人“という感覚になってしまう。
理想のケアを実現するのは難しく、私自身も葛藤の毎日です。
大事な声を聞き逃してしまわないよう、
常に原点に立ち返って、一対一で向き合うことを心がけています。
Q具体的には、どんな実践をされていますか。
利用者さまの生活を支えることが私たちの役割ですが、日々の業務の中で大切にしているのは、
スタッフ間の連携とコミュニケーションです。
トップダウン型の医療と違って、福祉の現場はフラットな横のつながりで物事が動いていきます。
その方にとって何が最善の道なのかを考え、介護士、相談員、、管理栄養士やリハビリスタッフ、
ドクター、看護師と、すべての職種で話し合い、ケアの方針、方向を決めていきます。
それぞれの職種が持つ視点や主張があり、もちろんその中心には、当事者である利用者さま、ご家族の思いがあります。そうしたすべての要素を勘案しながら、あきらめずに話し合いを重ね、答えを見出していく。
チーム力が基盤にあってこそ、本当の意味での「寄り添う」ケアも実現できると考えています。
Q介護の仕事のやりがいは、どんなところに?
私たちのもとには、さまざまな困難を抱えた方がいらっしゃいます。
そして、それ以上に、輝く笑顔があります。
嚥下障害のある方が「食べる力」を回復し、地道なリハビリで生気を取り戻していく姿、
心身の変化を受け入れ、しなやかに生きるやわらかな笑顔も…。
そうした「いのちの輝き」に、いつも魅せられているのです。
「自分らしく生きる」ための拠りどころとなり、支えとなること。
それが、私たちにとって何よりの喜びであり、介護の仕事の誇りです。
Q「春陽苑」の魅力について教えてください。
「一人ひとりの幸せのために春陽苑にしかできないこと」という視点から発想し、行動すること。
それが社会福祉法人としての私たちの原点です。
介護と医療、ふたつの力を持つことが私たち春陽苑の特長ですが、「にこにこクリニック」開設のきっかけも、
「透析患者を受け入れてくれる介護施設はないのでしょうか?」という、一人の家族の切実な声でした。
当時、透析患者さんが入所でき、しかも施設内で透析ができる介護施設は、全国を探しても見つけられず、それならここで受け入れたい、と動き出すことになったのです。
ところが、特別養護老人ホームに透析設備のあるクリニックを作るということには前例がなく、
さまざまな制度的な壁が立ちはだかり、予想以上の困難を極めることに。
それでもあきらめることなく、あちこち調整しながらひとつずつ解決し、
2015年6月、3年がかりでようやく開設にこぎつけることができました。
開設後は全国から反響があり、大変注目されています。
また、最期まで寄り添いたいということが私たちの悲願でしたが、透析患者さんの受け入れはもちろん、
医療的な受け皿を持ったことで、看取り介護も、より万全の体制でできるようになりました。
かけがえのない人生に寄り添い、最期の旅立ちの時まで全力で支えていく。
それが私たちの願いであり、使命だと感じています。
Q職場としての春陽苑の特長は?
特養・老健・在宅サービス、クリニックと、さまざまな施設がありますので、
仕事に幅があり、選択肢も広がる点です。
現在のスタッフは250名ほど。女性の比率が高い私たちの仕事は、キャリアの継続ができるような仕組みがなければ成り立ちません。結婚、出産、子育て、さらには介護など、家庭の役割を担うことが多い女性は、ライフステージによって働き方を変えていかなければいけないこともあるからです。
例えば、夜勤ができなくても、勤務形態を変えて常勤で働いていただくことも可能ですし、シングルマザーも子育てと両立しながら常勤で活躍しています。
土日のお休みを希望する場合は在宅サービスに、夜勤を中心にという方には勤務時間の相談に応じることもできます。それぞれの希望や状況に合わせたサポート体制を整え、働きやすさに力を入れた柔軟な環境整備を第一に考えています。
仕事への意欲を高めるには、職場での人間関係など、精神面での充実も求められます。
周囲との相性が悪いというような場合は、能力を活かせる場への転換を考えるなど、
小さな問題の芽を見逃さず、さまざまな工夫をしています。
その意味では、職種や施設の選択肢が多いことは、ひとつの強みですね。
私たちも、一人ひとり、かけがえのない、大切な存在です。
あたたかな職場でありたいと思っていますし、実際に「人を大切にする場所だと感じて」
ここを選んだというスタッフもいるんですよ。
Q最後にスケッターでは、どんな方に期待していますか?
介護職未経験の方でも、能力を活かせる場はたくさんあります。
例えば、リラクゼーションマッサージ、フットケアなどは、血液循環をよくし、身体機能の維持に加え、
心のケアにも大切。こうしたスキルを持つ方には、ぜひ力を貸していただきたいです。
スケッターの最大の魅力は、様々な経歴とスキルを持つ多彩な人材が豊富なことです。介護業界の人手不足の問題解決につながるよう、ぜひ皆さまにご活用いただければと思います。本日はインタビューをお受けいただきありがとうございました。
「もっと春陽苑のことを知りたい!」という方へ
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