微睡のカナタへ #2
目が覚めた時、窓越しに聞こえてくる雨の音が好きなのはなぜだろう。
しんしん、ぽつんぽつんと決して逆らえない重力の流れにそって、
空から地面へと迷う事なく降ってくる。
そこに意志がもしあるのだとしたら、すごく羨ましいと思うのだ。
きっと多くの人の日々は、選択と決断を強いられることの繰り返しで、
色んな悩みや葛藤がある。
そんな悩みなどなく、ただ落ちていくということだけに集中して、落下してきたそれは、やがて地面に染みこみ、この地球に溶け込むのだ。
一定のリズムを刻みながら、時には風や屋根といった障害には身を委ね、
落下していく。
そんな迷いのない世界の日がとても心地いい。