最新技術トレンド 2018 - Gartner Hype Cycle 2018
毎年恒例のGartner Hype Cycle
この時期になると米国のリサーチ会社であるGartnerがテクノロジーのHype Cycleを発表する。この"Hype Cycle"は特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図である。 聞きなれない用語と思うがガートナー社が作った用語なので無理もない。IT業界の前線にいるビジネスマンが次のビジネスチャンスはどこにあるのか？などを考える上で非常に深い意味を持っている。必ずしも当たる訳ではないが参考にはなるのでこれまでチェックして来なかった方はぜひ一度読んで見てほしい。
さて、このHype Cycle、５つの段階が設定されている。黎明期、流行期、幻滅期、回復期、安定期の５つである。黎明期は関心が高まっている時期である。流行期は世間の注目が大きくなり過度な期待が集まる時期である。幻滅期は過度な期待に応えられずに失望される時期である。回復期はメディアや世間の関心は低いものの着実に利点を学習し、適用されていく時期である。安定期は広範に宣伝され受け入れられる時期である。
最近、事あるごとに"人工知能"は幻滅期に入ったと揶揄されるが、このHype Cycleを意識して言われているのだと思われる。しかし、Hype Cycle 2018を見る限り、第三次人工知能ブームの火付け役となったDeep Neural Nets (Deep Learning)は依然として流行期のピークにあり、またDeep Learningの利用が欠かせない技術が黎明期、流行期へ多くリストされていることから現状の人工知能のできることへの幻滅はあれどDeep Learningが幻滅されているとは考えにくい。
Gartner's Hype Cycle for Emerging Technologies, 2018 Credit: Source: Gartner
Gartner が注目する2018年のトレンド
今年の注目トレンドは下記の５つである。
・AIの民主化
・デジタル化されたエコシステム
・DIY バイオハッキング
・透過的な没入体験
・ユビキタス・インフラストラクチャ
AIの民主化はまさに"AI for everyone"、私がcomemoで何度か書いた今年の大きなトレンドである。そして、Topに記載されているAI PaaSはまさに弊社が手がける事業である（素直に嬉しい）。次に、デジタライズドエコシステムのTopに記載されているのはブロックチェーン技術である。ブロックチェーンを使うことによりこれまで解決が難しかった問題へのアプローチとして難民支援を紹介した。また、つい先日は世界銀行のブロックチェーン債を紹介している。ブロックチェーン技術の実用も今年のトレンドである。
次のDIY バイオハッキングは聞きなれない言葉かもしれないが、米国では数年前から話題になっている。体に無線タグを埋め込む実証実験はだいぶ前から進められているし、自宅のお風呂場でできる遺伝子編集実験キット（CRSPR-Cas9）なども人気がある。以下、透過的没入体験、ユビキタス・インフラストラクチャーである。今まさに発展している技術もあれば、近い将来のトレンドとなりそうな技術が列挙されており、一通りは関心を持っておくのが良いだろう。
最後に
GartnerのHype Cycleを簡単に紹介したが、全てのリポートを読みたい方は下記のリンクから確認されたい。もちろん必ずしも書かれた通りにはならないし外れることも多い。5年は幻滅期にあるとされていた技術が翌年回復期に入ったり、流行が予想より早く去ったりなどである。それでも、3年後、5年後、10年後の未来を予測する上では必ず押さえておくのが良い。それにしても、もう少し早い時期に出せないものだろうか。気づけば2018年も後半に入り残すところ4ヶ月少々である。
おまけ
昨年、自宅の風呂場でできるCRSPR-Cas9 DIYキット（遺伝子編集実験用）をThe ODINというDIY Bioで有名な会社から購入したものの、youtubeで実際にやっているところを見る限りあまりに地味で、しかも編集前と編集後の遺伝子を見比べるためには別の道具が必要ということがわかったため自宅で眠っている。もしも学術機関などでご興味をお持ちの方がおられたら、購入金額程度でお譲りしたいと考えているので、ご連絡いただけたらありがたい。 email: ichihara[at]gmail.com
http://www.the-odin.com/diy-crispr-kit/
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