「オマエらはゴミだ！」と叫ぶ部長 〜パワハラが支配する職場で〜

◇「オマエらはゴミだ！クズだ！」

その声が響くたびに、私たちは「また始まった…」と肩をすくめるしかなかった。

絶対的なボス気取りのA部長。
この人『オレは1000点、お前らは30点だ！』と点数までつけてくる。

何かミスをしたわけじゃない。
はなからダメ人間と決めつけて、怒りの標的にしてくる。

そのくせ自分は
「アレ、ソレ、コレ」ばかりの指示で何をいってるのかまったく分からない。

「おい、お前！ アレしとけ！」

「…あ、あれって何ですか？」　恐る恐る聞くと。

「バカかお前！ アレやっとけって言っただろ！」

「…○○のことですか？」　もう頭の中はフル回転！
　たぶん、コレだろうと思って言ってみると。

「ソレじゃねぇ！」と逆鱗に触れまた怒りだす。

とにかく「アレ、コレ、ソレ」のオンパレードだ。

冗談みたいな話しだけど、毎回こんな調子のA部長。

その場では誰も笑えなかったが、本人がいない場所では格好のネタ話しになっていた。

「また、アレしとけ〜って言ってたぞ〜」
「マジか？　で、アレってなんのこと？」
「さあな？　適当でいいんじゃね？」とまあ、こんな感じ。

話しをA部長に戻します。

いったい「アレ」がなんなのか？
分からないまま戸惑ってると、さらに怒鳴られる。

「だから！ オマエらはクズなんだ！」

こんな毎日が続けば、誰だって心をすり減らしてしまう。

◇同僚が鬱に…

A部長の暴言に、ついに耐えられなくなった同僚がいた。

ある日、彼は出社しなくなった。

「自律神経をやられて、会社に来れなくなってしまった…」

社内にも噂が広がり、役員からA部長に指導が入ったが、
当の本人にまったく自覚がない！

しかも教育の一環だという主張が通ってしまった。
そもそも役員たちもパワハラをさんざやってきた過去がある。

グルなのだ。
A部長を守る方に会社は動きだす。

そして同僚のご家族が、労働基準監督署に相談に行ったと聞いたが、
現実は甘くなかった。

そこで言われたのは、

「パワハラの証拠を集めてください。」という指導だけ。

録音データや、具体的な証拠がなければ動けないと言われたのだ。

◇泣き寝入りするしかなかった時代

当時、会社には パワハラを通報できるホットライン など存在しなかった。

SNSも普及してなく、情報を拡散して味方を増やすこともできなかった。

そして何より、 「上司に逆らったら報復される」 という風土が社内には根付いていた。

上司の機嫌を損ねれば、居場所がなくなる。

むしろ 「パワハラの対象」や「評価を下げる」 といった陰湿な仕打ちを受ける可能性すらあった。

だから、誰も声を上げられなかった。

みんな「しょうがない」「この会社だから」と我慢してしまっていた。
もちろん、同僚のご家族も。

◇もう我慢する時代じゃない！

当時はどうすることもできなかったけど、今は違う。

✅ パワハラ相談窓口が設置されている企業も増えている。
✅ SNSを使えば、会社の外にも助けを求められる。
✅ 労基署だけでなく、弁護士や労働問題に詳しい第三者機関にも相談できる。

もし、いま 「おかしい」 と感じる職場にいるなら、

ひとりで抱え込まないでほしい。

今の時代には、 あなたの声が届く場所がある。

自分の未来を守るために。

◇ブラック企業に染まる日常

朝、会社に向かう足が重い。
通勤電車や車の中で、今日も上司に怒鳴られるのかと憂鬱になる。
仕事から帰ってきても、家で気が休まることはない。
明日のことを考え、眠れない夜が続く。

そんな毎日を繰り返すうちに、「ここで耐えなきゃダメなんだ」「どこの職場も同じだろう」と思い込み、感覚がマヒしていく。

そうやって気づかないうちに、心も体もすり減っていく。
だからこそ、マヒする前に『おかしい』と感じてほしい。

◇その会社が全てじゃない

自分の人生は 「上司の機嫌」 によって左右されるものじゃない。

一度きりの人生。
自分の未来のために、会社の外へと目をむけ、一歩踏み出す勇気を持ってほしい。
「人生を握るのは、会社だけじゃない。自分自身だから！」

ブラック企業に33年勤めた体験談から、いま現場で苦しんでる人の生きるヒントになればと思います。