最近の記事

選挙に行かないよりは、投票先を気軽に決めよう、というお話

 どうも、学生たちと話していると「正解がある」という前提から脱却するのは難しいことだと実感することが多々ある。わざわざグループワークで議論をしてもらっていて、授業が終わった後に「で、この問題の正解はなんだったんでしょう」と聞きにこられたりすると、ガクッとなるわけである。もちろん、大学の授業でディスカッションしてもらうようなテーマであれば大抵、絶対的な間違いというのはある。統計的に見れば錯誤だとわかる事実認識、物理的、技術的限界がある解決策、そしてもちろんどのような倫理基準から

    • なぜ「うまずして何が女性でしょうか」発言が問題なのか?

       これは個別の失言をどうこうしようという話ではなく、何をどうすると差別的な発言になるのか、という分析のための原稿である。その上で、明らかに「社会的責任の大きな立場」にある上川外相の事例を検討してみたい。報道によれば以下のような経緯である。 1)メタファー(隠喩)の問題 これに対して、「発言の切り取りで煽情的な報道を行なっている。発言は問題視すべきものではない」という議論がある。  確かに、ここでの「うむ」が(自民党が推薦する知事候補をその会場の女性たちで応援することによっ

      • ゼレンスキーは「簡易軍服」を着ているか?

         まずは、Military という修飾語が服を示す単語(Uniform, Fatigue, Attire 等々)につく時、それはどういう意味の領域で使われているか、ということが問題になる。  一般的には、この回答は二種類ありうる。つまり(1)法的な機能が問題になっているのか、(2)装いやデザイン面が言及されているか、ということである。  軍服(Military Uniform)であることには、国際法上極めて重要な意味がある。  「撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ

        • 週刊文春記事「“おひとりさまの教祖”上野千鶴子(74)が入籍していた」について雑感

           文春の報道全文を読んだわけではないので、細かい点は知らんのですが…。上野千鶴子氏の「結婚」報道を受けて「上野に唆されて非婚を選んだ人かわいそう」みたいな反応が見られる。でも、別に上野はアイドルやロックスターなわけではないので「上野さんおひとり様するんだって。きゃー、私もおひとり様する〜」みたいに消費されることが望ましいわけではなくて、非婚を選ぶことの意味とかメリットデメリットとか、彼女の本だけでなくいろんな情報を参考にしつつ熟慮して選ぶべきだし、敢えて「法律上の結婚を選ばな

        • 選挙に行かないよりは、投票先を気軽に決めよう、というお話

        • なぜ「うまずして何が女性でしょうか」発言が問題なのか?

        • ゼレンスキーは「簡易軍服」を着ているか?

        • 週刊文春記事「“おひとりさまの教祖”上野千鶴子(74)が入籍していた」について雑感

          同性婚とインセストから現代の結婚に求められるものを考える

           同性婚の法制化を求める声が大きくなっている。それに対して反発が広がり、「そもそも結婚は生殖(あるいは出産)のためにあるのであり、出産しないカップルに結婚による法的利益を提供する必要はない」とか「同性婚を許容するなら兄弟姉妹の結婚も許されるべきではないか」といった議論も飛び出した。後者に関しては特に、牽強付会と言っても構わないと思われるが、なぜそのような錯誤が生じるのかも含めて、もう一度「婚姻」と「再生産(子どもをつくること)」の関係を考え直してもいいかもしれない。本稿で述べ

          同性婚とインセストから現代の結婚に求められるものを考える

          ボストンコモンのリス

          ボストンコモンのリス