事業計画の作り方 ~Part5 活用方法~
こんにちは。SKPです。
前回まで4回に分けて『事業計画の作り方』をご紹介しました。
しかし『事業計画』は作って終わり、ではありません。計画をたてた後、実際にどのようになったのか?を追跡していかなければ、結局『作っただけで意味のないもの』となってしまいます。
もちろん『作らないよりも作った方がいい』のですが、せっかく作った事業計画なので、しっかりと有効活用していきましょう。
PDCAサイクル
『PDCAサイクル』という言葉はビジネスでは有名ですね。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、継続的に品質を管理するための手法です。
事業計画においてもこの手法は活用できます。「事業計画の作成」がPlan。実際にそれを目標とし、事業に取り組むことがDo。それに対した結果の確認がCheck。変更すべき点を変更するのがActionです。
計画を作ったら年に一度だけ確認をする。つまり1年間の事業を通じて結果が出た時に、『実際と計画の差』を確認する、なんて人もいるかもしれませんが、それだけでは足りません。
できれば毎月。難しければ四半期ごと。最低でも半年に一度は、計画に対して現状はどうなっているのか、を確認した方が良いでしょう。
予算として外部公表している場合を除いて、事業計画は『正式にどこかに提出する』という部類のものではありません。そのため、一度作った事業計画を状況に応じて柔軟に変更(改善)しても問題はありません。
状況に合わせて柔軟に変更するためにも、「確認する頻度」つまりCheckの頻度はある程度確保した方が対策が打ちやすくなります。
毎月税理士さんから月次試算表の報告を受けている、月次試算表を毎月作成している、という場合は、その時に合わせて確認する、というのが一番適したタイミングかもしれません。
見たい・気にしたい部分を明確にする
と言っても、毎月『計画と実績の差』を詳細に分析するのは時間がかかりますし、手間です。
そのため、『ここだけは気にしないといけない』『ここだけは毎月注視したい』という部分を決めておきましょう。一般的に多いのは「売上高」や「原価・原価率」・「販売費および一般管理費の総額」・「利益」といったところでしょうか。
最低限、こういったところだけでも「パッと見でわかる」ようにしておけば、計画と大きく違った状況になった時に対策を早く考えることができます。
最も簡単なのはExcelなどでグラフ化をして視覚的に確認できるようにすることです。グラフにはいろいろな種類がありますが、見たいものが見やすいように作ることが大切です。参考に二つのグラフを紹介します。
まず一般的な売上の推移と原価率のグラフです。「当期・計画値」に加えて、「前年」も表示しておくと、より状況がわかりやすくなります。
このグラフでは、売上は概ね計画通りですが、最大の売上が見込める12月に計画の売上に達しないと、通期の達成が厳しくなる水準です。原価率も前年の後半にかけて上がっているため、計画達成には今から原価を抑える努力が必要というのが見て取れます。
続いて、少し毛色が異なりますが、『売上を1万円上げたら、利益はいくらになるの?』をグラフ化したものです。これは「販売員に状況を分かってもらいたい」という要望があって作成したものですが、個人的には分かりやすくて気に入っています。
実際に提示した際には、原価を除く経費の比率は計画よりも低いのですが、原価の比率が想定よりも高かったため「仕入の担当者が仕入状況の確認・見直しをする」という対策をされていました。
このように、『何が見たい』かを明確にして、パッと見るだけでいい、という状況にしておけば、状況の判断がしやすく、素早い対策・対応が可能となります。
数字の羅列だけでは「読み解く・判断が難しい」ものも、見たいものだけをグラフ化してしまえば分かりやすくなるので、是非試してみてください。
会計ソフトにも色々なグラフや表示機能がありますが、『見たいもの』を見る場合には、Excelなどで自作した方が分かりやすいですし、Excelで「進捗」を入力することが状況確認にもなりますのでお勧めです。
事業計画は作った年「単年」で終わるものではなく、翌年以降も継続してPDCAサイクルを続けていくことで有効に活用できます。『作りっぱなし』にならないようにだけ注意してくださいね。
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