メカニズムデザインを学ぶ-2- 【ソロモン王のジレンマ】
みなさん、こんにちはこんばんは。S.Kと申します。
ソロモン王のジレンマ
前回に引き続き、メカニズムデザインの話をしていきます。
さてソロモン王のジレンマという話をご存知でしょうか?
ソロモン王の前で2人の女性がこどもの母親であると主張しています。
どちらか一方が本当の母親で、もう一方は嘘をついてる女性になります。ソロモン王はなんとかして、本当の母親にこどもを渡したいと考えています
Q. さて、ソロモン王どうしたか?
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A. こどもを剣で真っ二つに分けてそれぞれの女性にわけよ、と家臣に命じた(過激)
その命令を聞いた本当の母親は、嘘をついている女性にこどもを渡そうとしました。ソロモン王はこれを見て、本当の母親がどちらか見抜き、その渡そうとした女性を母親として認め、こどもを渡す判決を下しましたとさ。
前回述べましたが、メカニズムデザインとは
「何かしら達成したい目的があり、
それを達成する手段としてメカニズム(制度、仕組み)を考えましょう」
ということでした。今回のソロモン王のジレンマでは
目的:本当の母親にこどもを渡す
でした。ただし、どちらが本当の母親かわからないという状況です。この母親かどうかである情報を引き出すために
メカニズム:こどもを真っ二つにする(してみよう)
という設計をしたわけです。
わかりやすいように以下のようなゲーム的状況を作り出していると言えます。なお、この利得表では、B(偽の母親)は
「こどもが真っ二つにされること」を「こどもがAに渡されること」よりも望ましいとしています(つまりAに渡されるくらいならこどもを真っ二つにしちゃおうという、サイコパスじみた女性です)
このゲームにおいてナッシュ均衡がゲームとしてプレイされるとすれば、Aは「こどもを渡す」行動をとり、Bは「こどもを譲らない」行動をとることになります。つまり、本当の母親であるAに「こどもを渡す」行動を取らせることができ、結果、ソロモン王にとってAが本当の母親であることがわかったというわけです。
よかったよかった・・・とはいきません。
このメカニズムだと、仮にBがこの状況を把握しているとすれば、「こどもを渡す」行動をとってしまうのではないでしょうか?
なぜなら「こともを渡す」行動をとった女性にソロモン王は「こどもを渡す」と知っていれば、Bは「こどもを渡す」"ふり"をする動機、インセンティブが生じてしまいます。
そうなるとソロモン王は目的を達成することはできません。したがって別のメカニズムを設計する必要があります。
では、次回の記事でお会いしましょう。
参考文献
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