MIRACLE fire #6
搬送
『家が燃えた、違う!オレの家が燃えてる!』
電話の向こうの同僚に伝えた。
部屋から出る前より自分の声は焦っていた。
何とか状況を説明し、会社を休むことを伝えて電話を切った。
そのとき既にマンションのエントランスには消防隊が到着していた。
消防隊は自分を見つけた途端に、駆け寄り問いかけた。
『部屋の中に、誰かいますか!』
誰もいないことを伝えた、4年近くまともに口をきいてない戸籍上妻となる女性は仕事に出ていた。
しかし、ある存在に気付いた、2匹の猫である。
『猫ちゃんは無理かもしれないです』
そう告げられ、赤と黒の部屋に猫を置き去りにした罪悪感を充分に感じることもできないまま、消防隊とともに駆けつけていた救急隊に連れられ、そのまま病院へ搬送された。
~to be continued~
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