シャバクシャバ
娑婆は苦しみの場所。僕はよく、そんな風に諭される。生きているということは苦しみそのもの。人生皆苦という言葉もある。
仙人爺ちゃんに、よく人生の苦しみを愚痴る僕。
仙人爺ちゃんはタバコを吸いながら、得意げに『シャバクシャバ』という。
葡萄畑で立ち小便をしながら考える。
でも、なんでだろうか、なんとかならないのか?幸せはちょっとでいいけれど、苦しみを外科手術みたいにメスでちょちょいと取り除けないかと考える。
生きていること即ち、皆苦しみなんてのは寂しい気がするのだ。
でも、人間、他人と付き合いをすれば、生きていれば、すぐに、苦しみの素が生まれてくる。じゃあどうすればいいのだ?
きっと、アハハと笑えるようになっておくといい。流してしまえ、苦しみが向こうからやってくるなら、こちらで笑って流しやればいい。苦しみを苦しみと捉えたり、臭いものに蓋をすると、難しい。仙人爺ちゃんの家は汲み取り便所だ。そういう便所を使っているから、考え方が古いのだ。
最新式のウォシュレットのついた水洗便所のような男に、俺はなりたい。そう、思った。
気分は晴れやかになっていた。
なにがいいたいか。すこし意識して馬鹿になる努力をするといい。馬鹿キャラは結構強い。はじめは、加減が難しくともそのうちできるようになる。
王宮で、王に意見できる者は愚か者『フール』だけだという話しがあった。それと同じだ、変に利口ぶると良くない。愚か者、奴隷、貧民の狂気で今日も底抜けに明るく生きていくのだ。バカボンのパパになれ。
これは孤独への処方箋にもなる。せっかく一人なのだ、真面目になる必要はどこにもない。バカになろう。
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