手段であるはずの「作業効率のデーター取り」が目的化してしまっていた頃のこと
先述の通り、倉庫内作業の効率アップは倉庫業者にとっては死活問題であり、非常に重要な関心事となります。それは、作業効率が会社の業績に大きくかかわってくるからです。
★★〇月〇日の本社会議室での部門長会議にて★★
本社重役A:「B君!わが社の業績ダウンは物流費の高騰に原因があると思
う。早急に改善してくれたまえ!」
物流部門の長B:「わかりました。早速業務の見直し、改善を行い物流費の
削減に取り組みます!(汗)」
本社重役A:「本当か?では、では3ヶ月後にこの場で結果を報告してくださ
い」
Bは早速倉庫に戻り、経費の分析を行います。
結果、人件費が昨年より大幅にアップしていることがわかりました。
物量は昨年と変わりません。作業人員や時間給も変わっていません。
「どこかの部署、どこかの行程の作業効率が落ちているに違いない」
「どこの部署だろう?見た目ではわからないし、皆まじめに作業してくれて
いる」
「そうだ!誰かが言っていた「部署別の作業データー(作業量/作業時間)」をと取ってみよう、そうすればどこに問題があるかわかるはずだ!」
そうしてBは翌日から部署別作業データーを取り始めた。
データーの取り方は「作業日報方式」だ。
各作業員に自分が今日行った作業の一日分の作業量と作業時間を記入させるやり方だ。その作業日報をBが毎日エクセルに入力する。
作業日報は「作業項目」別の「作業時間」なので、作業員のCさんは何時から何時まではピッキング作業を行い、その物量はどれだけだったか。
その後何時から何時までは棚入れ作業を行い、その物量はどれだけだったか。又何時から何時まではピッキング作業に戻ったということを作業日報に記入し、一日の最後にそれを提出してからの退勤となる。
この作業日報の記入というやつは結構手間がかかる。手間がかかるのは大事なデーターを取るためだから仕方がないとした。Bが毎日エクセルに入力する手間も何人分もあり大変だった。Bの負担が大きくなる。そこでエクセルへの入力作業は各部署の現場リーダーに任せることにした。
現場リーダーDの残業時間は必然的に増えた。Dは何のために作業日報をつけるのかも詳しくは聞かされていない。
各作業員は作業日報記入時間も時給が発生するので、特に嫌がることもなくまじめに記入してくれる。
但し、作業の変わり目ごとに日報を記入することになるので、そのたびに作業のリズムが崩れる。リズムが崩れるのは作業効率にとって大きなロスとなる、さらに困ったことに、相当な確率で各作業員は日報記入のタイミングでトイレタイムをとる。(さらにはトイレで雑談が始まる)
そこまで手間暇(=コスト)をかけたかいあって、3ヶ月後には立派なデーターが出来た。
3ヶ月後
★★△月△日の本社会議室での第二回部門長会議にて★★
本社重役A:「ではB君、前回の宿題の件を発表してくれたまえ」
倉庫の責任者B:「はい!ええ~、この3ヶ月間でこれこれこれのデーターを
取り、集計したところ、わが倉庫では現状入荷検品に~時
間、ピングに~時間、出荷作業に~時間、…・かかってい
ることがわかりました!」
本社重役A:「で?」
出席者全員:「・・・・」
チーン。
今日では作業データーを取るのも機械化され集計時間も不要になっています。とはいえ、データーは取るだけでは意味がありませんよね。
データーを取る目的を決め、それに対して出てきたデーターをどう活用するか。どう業務や作業を改善するのか?それをみんなで考える。最悪なのは苦労してデーターを取り、分析はするがその後何もアクションしないことですね。
<登場人物>
本社の重役A: 物流現場のことはほぼわからない。
倉庫の責任者B:現場で起こっている細かいことまではわからない。
ましてや作業員のトイレタイムまでは把握できない。
作業員C: 自分のトイレの回数が増えていることには気付いていな
い。自分はいつも通りまじめに働いている。
現場リーダーD:日報のエクセル入力はめんどくさいし、残業が増えたので
面白くない。
皆さん、各登場人物に何とか言ってやって下さい。
(乱文御免)
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