そばにいたい。。
私は、乳がんの方や女性特有の疾患に罹患されている方も多く伴走させて頂きました。
今回は、
乳がん末期の奥さまとご主人の2人暮らし。
奥さまの訪問に2年ほど携わせて頂いたお話しです。
(乳がんにもいろんなステージがあります。
今回は、その一部のパターンのお話しです)
この方は、数年前に胸に変化があったことに気づきましたが、ご主人やご両親に長年内緒にして病院にも行けずそのままにされていたそうです。
ご自分でも「もしかして。。。」って思われたそうですが。。。
徐々に進行していき肉芽が上がり、まるで花がさいてるかのように皮膚が開いてる状態。
もちろん、このような状態ですので、病巣部が服に擦れて出血しますが、
ご自分でこっそりガーゼなどで処置をされていたそうです
それでも、病院には行けず不安な日々を過ごされていました。
(訪問時、その時の理由をお聴きすると「一人で行くのが不安で怖くて」と仰っていました。)
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ある日、ご両親とご主人で温泉旅行に行くことに。。
この時、初めてご両親、ご主人が奥さまの現状を知ることになったそうです。
旅行の後、初めて受診されて、がん告知・余命宣告されての在宅医療が開始となりました。
なぜ、ここまでの状況で
一緒に住んでるご主人が気づかなかったの?って思いましたが。。。
ご本人より
「ずっーと大きめの洋服で隠していました。時折、バレた?って思う時があったけど、うまく隠してウソをついていたんです。
そして、内緒にしていたのは、主人のことを愛しているから。。今の状況を知ったら嫌われるかもしれない、そばからいなくなってしまうかもしれない。ずっーと側にいたいって気持ちもあって。。。でも、1人で抱えこんでると不安が募るばかり、胸のことをどうやって伝えたらいいのか分からず、なかなか自分のことを伝えることが出来ず、1人で悩んでいました。そしたら、こんなことになっちゃって。。。今となっては、もっと早くに病院に行っていたらと思います。少しでも長く一緒に入れたのに。。。」と涙ながらに話されました。
正直、この方のようなケースは何件も携わってきました。
この方が仰る通り、女性としての大切な一部のことをパートナーや大切な方に、また、お子さまがいらっしゃる方、ご自分が治療しながら介護されている方など、なかなか自分の気持ちを伝えられずお一人で抱え込んで不安や恐怖な日々を過ごされ、どれほど辛いことだろうと思います。
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いよいよ、訪問開始。
ご本人は、ご主人やサポート体制のスタッフにも、ご自分の気持ちをなかなか話されず、腫瘍が身体の中でも大きくなって心臓や肺を圧迫して苦しい状態にも関わらず、我慢されて家事をこなされていました。
ご主人は、気付けなかった自分を責め続ける日々。
私は、残された2人の大切な時間!このままでは。。という気持ちはありましたがどうすることも出来ず、
ただ、個々の想いを個々にお聴きすることしかできませんでした。
訪問の度、2人が出会った頃の話や以前されていた仕事のこと、旦那さまのグチなど話されていました。
そんなある日、
ご本人より「わたし、いつ死ぬかわかりません。もしかすると明日かもしれなし。。。でも、主人は、私が死んだら1人でなんでもしないといけないので。。。今から、困らないようにと教えながら少しずつやってもらっているんです」と
いつの間にか、自分のお気持ちを伝えられるようになっていたようです。
理由をお聞きすると、
「自分らしさ」って何なんだろう?と考え、「限られた人生を2人で笑顔で過ごしたい!」と、その想いをご主人に勇気を出して伝え、その後からお互いが本心で話されるようになったと。。
そして
お互いが本心で向き合い、支え合いながら過ごされていました。
徐々にエンドステージに入り
ご主人より急変のご連絡があり、ご主人が見守られる中、旅立たれました。
その後、数日経ってご主人のご様子に伺うと
「前日に、妻の大好きなうなぎを2人で食べて、本当、今までのことを長時間話しました。
まさか、その次の日に逝くとは思いませんでしたが。。。残りの時間を本心で向き合うことができて本当によかったです。家事を全くしなかった僕が出来るようになりましたからねー。ありがとうございました」と笑顔で話されました。
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最後に。。。
「人は、誰かが側にいて伴走してくれる人がいると、亡くなる瞬間まで成長し続けます。
1人で抱え込まず、周りに助けを求めることを躊躇わなければ、手を差し伸べてくれる伴走者の方は、必ずすぐ近くにいます。」
どうか
1人で抱え込まないでください。
かなり長文になりましたが。。。
最後までお読みくださりありがとうございました(^^♪