「転職の決意」
仕事に向かう電車の中で、ふと思った。このまま一生、毎日同じように通勤して、同じデスクに向かい、ただ目の前の業務をこなしていくだけなのかと。新しい何かを生み出すわけでもなく、変化のない日々に、私はすっかり疲れていた。そんな気持ちを抱えながら、どうしたら良いのかもわからないまま時が過ぎていった。
そんなある日、母が体調を崩したとの知らせが届いた。実家は自営業で、母がいないと仕事が回らない。突然、私がその仕事を補わなければならなくなった。母の仕事は事務系全般、特に会計業務が中心だったが、私には全くの未知の世界。簿記なんて一度も勉強したことがなかったし、何から手をつけて良いのかもさっぱりだった。それでも、母が意識のない状態で、私と父が手探りで進めるしかなかった。
母は少しずつ回復してきたけれど、今のうちに母のやってきたことを学んでおきたい。私にとって、これが自分の働き方を見つめ直すチャンスだとも感じていた。心の底では、新しいことに挑戦したい、もっと自由に働きたいという思いが強くなっていたんだ。
私の理想は、飼っている猫と一緒にのんびりしながら、場所にとらわれずに働くこと。リモートワークで、楽しく、そして誰かの役に立つ仕事ができたらいいなと考えていた。自分にとって楽しいことをやりながら、生活を成り立たせる――そんな働き方に憧れていた。
でも、そんな理想を抱きながらも、心の中には大きな不安があった。私は昔から周りを見てサポートする立場に立つことが多かった。部活では副部長、委員会では副委員長と、いつもトップを支える役割。でも、自分で決断することや自信を持って前に出ることが苦手だった。だからこそ、今の仕事を辞めて新しい道に進むのは怖かった。
それでも、少しずつ動き始めた。無料の相談会に参加したり、1日1記事書いてみたり、ChatGPTを使ってプログラミングを学び始めたり。小さな挑戦を積み重ねて、少しずつ新しいスキルを身につけていった。だけど、現実は甘くない。まだ収入には結びついていないし、お金の問題が頭を離れない。
何かを始めるたびに、調べないと気が済まない性格の私。でも、正しい情報を得られるかどうかもわからない。結局、何が正しいのかがわからなくなってしまい、また不安が大きくなる。お金がないと生活も困難になるし、そう考え始めると何もできなくなってしまう。だから、なかなか一歩を踏み出せないんだ。
でも、わかっているんだ。もう一歩踏み出さなければ、理想の働き方にはたどり着けないってことを。今の自分を変えたいという気持ちは強いし、挑戦し続けている。いつか、この不安を乗り越えて、理想の働き方を手に入れるために、今日も小さな挑戦を続けている。
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