STAGE4 延期と不安と助かる命
今回の主な登場人物
私(もしくはkと表記。)
投稿主。小さな会社の専務的な役目。いきなり食あたりのような症状で4日寝込み、病院に精密検査に行ったら約10cmの巨大胸腺腫が見つかる。
メガネ先生
投稿主の腫瘍を担当した最初の外科医の先生。
前回のお話はこちら↓↓
前回母親と一緒に病院に行ってから、不安等もあったのかもしれませんが少しずつ症状が出てきました。
まずお酒が受けつけられなくなりました。
この病気の診断の後軽くお酒を飲む機会があったのですが、最初の一杯を飲み切ったところで「なんか調子が良くないな」って感覚になり、頭がぼーっとする感じが強くなりました。
次に、胸の違和感です。
特に寝ている時に圧迫感があり、呼吸がとてもしづらい感じが出てきました。そのせいか動いた時の体の疲れが倍疲れるようになりました。
午前中動いたら2時間くらい休まないと動けないって感じでしょうか?
「今までの体じゃないな」
と実感できるくらいには症状が出でいたと思います。
2月の最後の2日、前回行った大学病院と本館で検査を再度行う必要があり、29日にPETCTの予約を3月2日とし、その3日の日のPETCT検査の後、メガネ先生との面談がありました。
「計3日間検査お疲れ様でした。まずこちらを。」
と言われ前回の検査結果がずらりと貼り出されました。
メガネ先生
「kさんの今回の検査結果なんですが、心臓の音や動きは問題ありませんでした。まず心臓には異常がなかったです。」
「そして問題の腫瘍ですが、一番大きいところで約10cm、前回もお話ししましたが肋骨の裏、心臓の前に腫瘍があります。ここまでは前回の診察でもお話ししました。」
メガネ先生は続けます。
「画像で見るとkさんの腫瘍は十中八九がんです。まだ確定ではありませんが。そして心臓の静脈部分(画像を指しながら)にこの腫瘍が浸潤している状態。いわゆる癌が噛み付いている状態です。」
この診察で初めて「がん」という単語が出てきました。予想はしておりましたが、改めて言われると不思議な感覚でした。
やはり、自分が癌という事は「自分がステージ何なのか?」とは素直に思いました。
k 「先生、これってステージとかあるんですか?今までこんな事考えた事なかったんでステージなんぼって言われてもわかんないんですけど。。。」
メガネ先生 「そうですね。。がんってのは局所で発生して周りにどんどん広がり、血管や静脈まで広がったらそのまま全身に広がります。それが俗に言うステージ4。いわば末期状態です。kさんはステージ3。他の場所に癌が噛み付いている状態のことです。」
「今のkさんは先程お話しした通り、静脈に浸潤している状態です。しかし、幸いな事にまだ血流に乗って全身に回っていないんです!
kさん!まだ間に合うんですよ!手術できるんです!完治できるんです!」
メガネ先生は私の目をまっすぐ見て、真剣な眼差しで話をしてくれました。
今これを書きながら思ったことでもありますが、きっと先生自身もこうやって
“なんだか調子が悪いんだけど”のつもりで来院した患者さんに「ステージ4です。手術できません。」と言わざる得ない立場だからこそ、この一言を言われた患者さんを何人も見てきたからこそ、私にこの言葉をくれたんだと思います。
さらにメガネ先生は続けました。
「だからこそなんですが、今我々胸部外科のチームと会議をした結果、手術より先にこの腫瘍の正体が何なのかを突き止めたいので、まずは3月の中旬ごろに細胞の一部を摘出して検査をしたいと考えています。
それに腫瘍が大きいので手術の前に小さくした方が手術がより綺麗により確実に行えるのでまずは取った細胞を病理検査に出し、放射線、もしくは抗がん剤の使用するべきだとこちらでは考えております。」
メガネ先生はさらにこう続けました。
「やはりこの病気は稀です。その上kさんのように若い方でこれだけ大きい腫瘍は全国見てもほぼありません。我々胸部の専門医でも滅多に見ることがないのでおそらく学会とかに提出された資料とかを基にプログラムを組むしかありません。先程化学療法(抗がん剤と放射線)の案も出しましたが、現在の時点ではこれがぜったいに効果があるといった治療法がないのも正直です。放射線を当てても効果がなければ組織だけ弱ってしまい手術できなくなる可能性もある、抗がん剤治療にしても肺がんのように決まった薬剤がある訳ではないので、効果があるかわかるまで3ヶ月くらいかかります。効果がなければ次を模索する感じで長丁場になる可能性もあるという事を頭に入れておいて下さい。」
メガネ先生の話を聞く限り、要は悪く言えば行き当たりばったりという事になります。私もこの約半月の間病気の事を調べましたが、
「胸腺腫 約10cm」
で調べても情報がほぼありません。メガネ先生のいう通り、学会に出されたレポートのPDFなんかは発見できました。それでも60代とかだった覚えがあるので、そもそも30代胸腺腫の大きな腫瘍の情報がGoogleにはありませんでした。
医者でそのレベルなのか?
それを聞いて最初はそう思いました。それに輪を掛けて、
手術日が遅くなる、効くかわからない化学療法、病気の進行速度が速い。
と、この3つの不安が頭にありました。
「この病院でいいのか?」
と。
正直遅すぎると思いました。
約10ヶ月で大きくなった腫瘍を約一月ほったらかした上に決まった方針が
「検査のため細胞取ります」
のみ。あとはその後考えます。その間に悪化するのでは?率直に思いました。
k 「先生、最初は手術3月半ばって話じゃなかったんですか?発見してひと月経つのに流石にそれで方針決まらないってのはちょっと。。。こちらとしても不安ですね。」
メガネ先生 「そうですね。。kさんの場合、心臓を初め体の大切な血管だったり臓器がたくさんある場所の手術になるので、我々としても慎重に進めたいってのが本音です。なので正体を掴んで、対策した後に切除。これが我々の考えている最もkさんにとって有利な手術方針だと考えています。」
メガネ先生がまだ若い先生(多分年下)だという事もあり正直どこまで信用するべきなのか迷っていました。
「稀とか言うわりに先生若いじゃん。。」
「この間に全身に癌回るんじゃねえのかよ。。」
何より、この病院は地元の大きな病院ってだけの認識だったのであんまりいい風に思ってなかったのも事実でした。
20万分の1という超絶の確率の病気が家から車で10分のところで治せるとも思ってませんでした。
k 「先生、自分はまだここしか受診してないから、他にも色々話聞いてこようとは思ってます。」
メガネ先生
「セカンドオピニオンですね。全然大丈夫です!むしろ絶対にするべきだとは思います!ただ、この手術が出来る病院が県内では限られてくるので○大病院か△△病院、あとはがんセンターが出来るかどうかって感じです。。 この2つの病院だとどれだけ早くても初診で話聞く待機期間よりもうちで病理検査する方が時期的に早くなるので。。。どちらがいいかkさんがいいと思う方になるかと思います。」
えっ。。。
簡単に考えていたところがありました。
上記2つの病院はとんでもなくでかい病院です。1つは日本でもトップクラスと言われる程の病院です。おそらく周辺の県下の最後の砦みたいな病院でしょう。
もう1つは某政治家の財閥グループ傘下の病院です。とんでもなくデカいです。
たぶん日本国民なら1度はこの政治家の名前を聞いたことはあるでしょう。 僕のイメージだけなら日本の政治家で一番権力あるのはこの人だと思います。笑
(あー、そうだなぁ。。笑 安○さんじゃないです笑もう一度言います。“あー、そう”なんだろうなぁ笑)
とにかく、県内住んでる人ならこの文言だけで病院特定できるくらいの病院です。
数ある病院の中でそこしか選択肢がない。という事実、そして家の近くのこの病院がこの県下2病院と並ぶくらいの規模だという事を初めて知ったのでした。。。
今回はここまでです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
よければ、次回書いたやつも読んでくれたら嬉しいです。
K