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観光とアート--「関西学生アートマネジメント会議」2008年3月
(写真は、林幸治郎氏 ちんどん通信社リーダー / 東西屋 代表取締役社長)
3月3日(月)、神戸大学で開催された「関西学生アートマネジメント会議」に参加した。全体の模様は、神戸新聞に簡潔に紹介されているので、ご参照ください。
http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0000860604.shtml (現在はリンク切れ)
なお、写真中央に写っているのは、ぼくです。まわりは、神戸大や静岡芸工大の学生の皆さん。
まず基調講演は、神戸ビエンナーレ2007についての発表と、高知城で「天守物語」を上演したことについての発表で、共にボランティアスタッフとして参加した学生によるものだったので、内側からの見方が主。もう少し問題点や課題についての言及がほしかったかな、と思ったけれど、時間不足もあったか。
それを元に、4つのグループに分かれてディスカッション(その時に写されたのが神戸新聞の写真)を行うというのが午前中のプログラム。
司会進行の神戸大の学生が非常にうまく仕切って(仕切り過ぎかも)、淡々と進んでいった。
午後は、ドイツのフィリップ・ボーマン氏による講演「理念と現実 ゲルリッツ大学 文化とマネジメント専攻課程のプロフィール」。
同大学のOBで今は講師であるボーマン氏によると、東西ドイツ統一後、ドイツの芸術文化に対する助成が激減し、それに対応するためにアートマネジメントの重要性が増大したとのこと。日本の昨今の状況は、どうなんだろう?
同大学の「文化とマネジメント専攻」(この「と」が重要であると、通訳・解説の藤野一夫・神戸大学教授のコメント)は、経済学部に所属することが特徴的であること。同専攻のカリキュラムの解説が具体的で面白く、中でも海外での学習が組み込まれていること、リガからスペインまでEU各国の大学との連携があることなど、非常に興味深かった。
続いて、この日のメインイベント(?)、「ちんどん概論」。全国的にも有名で、全日本ちんどんコンクール7回優勝のちんどん通信社(http://www.tozaiya.co.jp/)。主宰の林幸治郎氏によるちんどん屋の歴史の講演と、演奏。幕末にさかのぼって、広告業の嚆矢としての位置づけから、時代の流れに従っての変遷と没落を、ジンタや演歌などの時代ごとの音楽の風潮を示す演奏を交えながら、実に感動的にお話ししてくれた。
音楽業界にはヒエラルキーがありまして、頂点がNHK交響楽団と致しますと、次が立派なダンスホールやクラブのオーケストラ、劇場の専属バンド、そしてそれほど立派でないホールやクラブのバンドで、次第にみすぼらしくなって、とうとうストリップ小屋のバンドというのが、これ以上、下がないという。ところが、ストリップ小屋のバンドマンが窓から外を見ておりますと、ちんどん屋がやってきた。「俺もアソコまでは落ちぶれちゃぁいねェ・・・」(笑)。
というような具合の、実にシニカルでペーソス漂うお話。
ところが、そいつもいつの間にかまたまた落ちぶれてちんどん屋稼業に。すると、これまで経験したことのないようなことがある。ちんどん屋で通りを練り歩いていると、ごくたまに、「おっ、いいクラリネットだね」とか言って、ご祝儀をくれたり、演奏が終わると拍手をいただけることがある。こんなことは、ストリップ小屋でもダンスホールでも、かつてなかったことですよ。
とまた、自虐ネタながら上げたり下げたり、実に感動的なお話で。
最後は取って置きの、「赤城の山も今宵限り…」を、笠も刀も忘れたと笑わせながら、特製の人形を使って大熱演。この人形については、ちょっとマル秘。
そして続いて実地研修で、六甲本通商店街へ。ここでの本番の練り歩きを、学生たちがついて歩くのだから、壮観。
朝の9:30から夕方5時過ぎまで、非常に盛りだくさんな、充実した一日だった。