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「日本のことばをうたう」制作ノート
日本のことばをうたう~近世箏曲から山田耕筰へ
中田 有香(ソプラノ) 謝 芳乃香(ピアノ)
森本侑花(箏唄)
2022年5月22日
文化パルク城陽 音楽練習室
■中田
鐘が鳴ります(山田耕筰)
からたちの花(山田耕筰)
赤とんぼ(山田耕筰)
■森本
近江八景(山登万和)
■中田
風に寄せてうたへる春のうた(山田耕筰)
Ⅰ青き臥所をわれ飾る Ⅱ君がため織る綾錦
Ⅲ光に顫ひ、日に舞へる Ⅳたたへよ、しらべよ、歌ひつれよ
〔休憩〕
■森本
千鳥の曲(吉沢検校)
■中田
小倉百人一首 より(信時 潔)
花の色は 久方の
幽韻(北原白秋)
Ⅰはなのいろは Ⅱわすらるる Ⅲあらざらむ
Ⅳたまのをよ Ⅴわがそでは
■森本
春の曲(吉沢検校)
~お話~
【制作ノート】 上念省三
本日は、お出になりにくいところをご来場いただき、誠にありがとうございます。何か刺激になったり、お楽しみいただけたりすれば、それ以上の喜びはございません。
この公演は、授業の中での雑談のような話から生まれてきたものです。私自身、若い演奏家と、日本歌曲のコンサートや、コンテンポラリーダンスや日本舞踊とクラシック音楽のコラボレーション公演などをごく小さな規模で企画していたものですから、本日出演している二人の学生の何かやりたいという熱意を受けて、相談、調整してきたものです。
二人の専攻する分野は、山田耕筰を中心とした日本歌曲、箏曲を軸とした創作と、共通点があるように見えて、詳しく話を聞いてみるとなかなか接点を見出すことが難しく、また修士課程二年目という多忙な時期に行なう公演ということであまり大きな負担にもならないようにと、まぁ簡単に言うと、気をつかいました。これが最後の機会ではないのだから、これをスタートにしましょうとも。
結果的に、和歌をうたうという、日本の文芸(文化・芸術)の根本のところを考えることができる曲を、第二部に集めることができて、私自身にも大いに刺激的な公演になっています。今日何か結論が出るという種類のテーマではありませんが、山田耕筰がニューヨークでインドの革命家に百人一首を再発見させられたように、二一世紀の私たちも、単に東西の比較というだけでなく、様々な角度から古典を再発見できるきっかけになればと思います。
これからも、意欲に満ちた二人の道のりを、よろしくお見守り下さい。
(舞台芸術評論・京都女子大学大学院非常勤講師)