覚醒の話40 甘水(かんすい)は先ずつく 能力ある人は要注意(906文字)
以下、PHP文庫 中国古典百言百話 6『老子・荘子』守屋 洋著より引用。
直木(ちょくぼく)は先ず伐(き)られ、甘水(かんすい)は先ず竭(つ)く
「直木」はまっすぐな木。良い木材がとれるのでまっ先に伐り倒されてしまう。同じように、おいしい水の出る井戸も、まっ先に飲み尽くされてしまう。
人間もそれと同じこと。なまじ能力があると、その能力のゆえに使いつぶされてしまうのだという。~~
(引用以上)
このあたりの事情は、私にはよくわかります。
別に「自分は能力がある優秀な人間だ」と、自慢するつもりなどないが、以前の会社で働いていた頃、同じようなことがあったので、納得するところが多いということです。
ある法人で、三十代半ばの私は事務課の中間管理職でした。
経理業務中心で、総務関係もやっていましたが、他の部署の事業課の課長が退職を迎えたことで、そちらの仕事もやるようになり、毎日、超過勤務状態で、ホントに忙しい日々を過ごしていた時期がありました。
元来、真面目の性格なので、それなりにできることは精一杯やっていました。
しかし、私は仕事上の様々なストレスから暴飲暴食を繰り返し、結果、体調を壊してしまいました。
やがて上下の人間関係にも苦慮するようになり、精神的にも耐えられない状態となって、管理職を辞めたのでした。
「自分は仕事ができる」
というような自負をお持ちの方は、そのあたりのことも考慮して、上手に対応して自分の人生を守るようにしないと、私のように苦難の多い人生を歩まざるを得なくなるかも知れません。
まあ私の場合は、その後の紆余曲折の人生を歩んできたおかげで、色々と貴重な体験もでき、そのことで深い洞察や覚醒ができたと思っているので、かえって良かったのだと思うようになっていますが、他人には勧められるものでありません。
老子に『曲なれば則ち全し』というのがあります。
要するに人生は、直情径行に生きるのではなく、時に曲がりつつ、時に臨機応変に、上手に順応しながら生きた方が良いですよ、ということでしょう。
そうでなければ、その人間が本来やるべき大切な使命を全うせずに、安易に人生を終えてしまう可能性も考えられるからです。