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仙台という正しい街
仙台に帰省してきている。帰ってくるのは半年ぶりだけど、冬の仙台は一年ぶりなので気温の感覚が掴めず、必要以上に厚着してきてしまった。
実家も祖母の家も訪問予定だけど、いずれも古い家なのでハウスダストが気になり、泊まるのは厳しい。なのでビジネスホテルをとった。中心部なのでこのあと飲みに行こうかな。
地方出身の人は、地元にたいして複雑な思いを抱く人が多い気がする。わたしもそうで、愛憎渦巻く気持ちをもっている。
コンパクトで住みやすいな〜と思う気持ち。でもここで仕事を見つけるのはきついな〜という気持ち。美術館とかがほとんどないのしんどいな〜と思う気持ち。アニメ系のショップはたくさんあるからオタク的にはいいよなという気持ち。観光スポットないんだよなと思う気持ち。気候がちょうどいいんだよなという気持ち。ほどよく都会でほどよく自然があって気楽だなという気持ち。子どもできても絶対にここで子育てはしたくない気持ち。地方にしては1時間半で都内に出れて便利だなと思う気持ち。地方行政どうにかしろよと思う気持ち。隣県に行くのにも1時間半かかるよなという気持ち。アーティストのライブツアーがあると仙台もだいたいきてくれるんだよなという気持ち。良くも悪くも保守的な人が多いんだよなという気持ち。
だけど、みんななんだかんだでここに住んでいる。実家家族も、父方親戚も母方親戚も、地元を離れた人はほぼいない。出身高校は変わり者が多かったので同級生は大半は地元を離れて海外や都内にいるが、大学の中で仙台出身だった人はだいたい仙台かその周辺に残ったり、Uターンしてきたりしている。
だからまあ自分が異端なのだ。大学卒業まで地元にいたのに、この街を飛び出した自分が。
でも、異端なのに生まれてから24年間、そして最初の結婚からの数年間、この街でどうにか生きた。今思えば、合わない土地でよく頑張ったということにしておきたい。
ここに残る友人も家族も大切だ。仙台という街に対して愛はある。でも愛だけではどうしようもない。
地元に対する複雑な気持ちって、泥沼に陥った恋愛感情に近いのかもしれない。