見出し画像

ジュール・ヴェルヌのあの世からの手紙


前書き

皆さんはジュール・ヴェルヌという人物を知っていますか?
SFの父、開祖の一人と呼ばれています。wikiによると、ヴェルヌの作品の多くは、子供用の物語として書き直されたり、映画やアニメのような映像作品の原作になったりと、現代においても広い人気を誇っているそうです。たとえば東京ディズニーシーのテーマポート「ミステリアスアイランド」が、ヴェルヌ作品を取り入れているとのことです。

1828年2月8日生 - 1905年3月24日没
1878年当時

その彼が死後、1994年に送ってきた手紙を今回は紹介します。こうした死後の世界とのやりとりであるITC研究が盛んになり、パリで国際会議を開こうとしている年のことでした。

ジュール・ヴェルヌの手紙

この数行を書くにあたり、感情が込み上げています。というのも、今しがた聞いたところでは、これらの言葉は私の故郷フランス、そしてパリでの会議の際に発表されることが予定されているからです。もし記憶が正しければ、私は最後にパリにいたのは1896年から97年の冬で、あなた方の時間の計算によれば、ほぼ100年前のことです。

まず自己紹介をさせてください。私の名前はジュール・ヴェルヌです。おそらく私の名前はあなたにも知られていると思います。なぜなら、私が生きていた頃から、すでにそれなりに名声があったからです。実のところ、奇妙に思われるかもしれませんが、私は完全に死んでいるにもかかわらず、あなたと同じくらい、あるいはそれ以上に生きているのです。

私は左耳が聞こえず、ほとんど盲目で、心臓に問題があり、胃も不調、さらにリウマチに悩まされ、急性の痛風と糖尿病も抱えていましたが、1905年3月24日に私の地上の人生が終わると、まるで警告もなく、状況を正確に説明できないまま、自宅であるロングヴィル大通り6番地から、全く見知らぬ場所へと運ばれたことに驚かされました。

私は突然、驚くべきことに体のどこにも痛みがないことに気づき、さらに失明していた目が完全に回復していることに気づきました。そして、目の前に広がる光景がはっきりと見えたのです。それは、まるでラージャたちの壮麗な邸宅を思わせる豪華な宮殿で、壁は砂岩ではなく輝く白い大理石でできていました。無数の鏡が純銀製の家具の輝きを反射し、壁画には宮廷人や踊る少女たちが描かれていました。周囲には緑豊かな植物に囲まれた小さな噴水がいくつもあり、そこから心地よい涼しさが漂っていました。そして、完全に回復した聴覚で、無数の鳥たちの美しいさえずりを再び楽しむことができたのです。

そのとき、あまりにも柔らかく甘美な音楽が聞こえてきて、私は喜びのあまり涙を流しました。ほっそりとして繊細で優美な存在たちが現れ、その姿は、かつて若々しい美しさとみずみずしさに満ちていた頃の私のオノリーヌを思い起こさせました。彼女たちは、日焼けした肌と対照的な、オレンジや青の絹の衣装をまとい、私に柔らかなクッションに座るよう誘い、私の望みや願いをたずねてきました。

彼女たちは、それまで一度も聞いたことのない言葉で私に話しかけましたが、不思議なことにすぐに理解でき、さらに同じ言葉で返答することさえできました。(後になって、それが「川の言語」と呼ばれるもので、ここに到着すると誰もが自然に習得するものだと知らされました。)

私は長い間、夢を見ているのだと思っていましたが、ツバメが飛び去るように過ぎていく日々や月々の後、ついに自分が亡くなっていることを理解したのです。

当然のことながら、私は地上での人生を共にした友人や知人を探しました。しかし、ヘッツェル家の人や、愛する両親のソフィーやピエールも、この宮殿や、周りの雄大な森の中の集落では、残念ながら誰も知る人がいませんでした。

どうも私は細部にこだわりすぎています。これは、私が敬愛する作家ディケンズやバルザックと共通する性格です。

ああ、なんと悲しいことか!私がクワポールで見つけた美しさでさえも、最終的には魂を麻痺させてしまう。完璧というものは、しばしば停滞の象徴なのです。

最近になって、タイムストリームというグループの存在を知りました。それも偶然によるものです。満月の穏やかな夜、クワポールを訪れる多くの旅人の一人と話していた際のことです。テラスには「ジャリス」が飾られ、その旅人は、考え深い顔立ちをした魅力的な男、アーサー・ムースという人物でした。彼は、薄いピンク色の魚の骨髄の切り身とともに出された辛口のワインで舌が軽くなったのか、私に打ち明けてくれました。彼は、ある失態を地上にいる妻が犯したことに恥ずかしさを感じ、トランスコミュニケーション(私には初めて聞く言葉でした)の研究グループを辞めたのだというのです。彼は今、哀れにも新たな居場所を求めて川の谷をさまよい続けているとのことでした。このアーサーによれば、私の甥ガストン――愛する兄ポールの息子――が、そのグループに加わり、ルクセンブルクと連絡を取っているそうです。(かわいそうなガストンは、1910年以降にヨーロッパを荒廃させたと聞く大戦のうちの一つで、ルクセンブルクの療養施設に数年滞在していた際に「亡くなった」のでした。)

私と共にテーブルを囲んでいた3人の仲間たちもまた、長年この宮殿で過ごす中で私と絆を築いたのですが、彼らもガストンのことを耳にしたことがあると言っていました。そのうちの2人はロンドンで亡くなったイギリス人でした。1人は1666年の大火で命を落としたナサニエル・ワッピング、もう1人は世界大戦中の爆撃で出血多量により死亡したジェームズ・スマールです。3人目は、かつてビカネールのラージャであったと主張するインド人でしたが、彼の話が本当かどうか私には判断しかねます。いずれにせよ、もし彼が王族の出身でないとしても、その振る舞いと風格はまさに王侯そのものでした。

私たち4人は、魅力的な空の旅によってここに辿り着きました(今回は「巨大」気球の実験が成功したのです!)。美しいスウェジェンと彼女のタイムストリームの仲間たちのもとに到着したのです。

さて、フランスの友人たち――もちろん、他の皆さんも――私は今、こちらの世界とあなた方、フランスの研究者たちとの間に架け橋を築こうとする実験に挑む準備ができています。どうぞご安心ください。私は良い仲間に囲まれています。多くの人々の中には、フランスの実験者モニーク・シモネの祖父、ミシェル・キサカニンや、私が到着する前からこの仕事に関わっていた元元帥のセバスティアーノ・ポルタもおり、彼らは皆、私にとって貴重な助けとなっています。(フランソワ・ブリューヌ神父へ:私は今、ブルトン人のように気を引き締めるつもりです。)

私の最初のメッセージは長くなってしまいましたが、それはここで新しくできた友人コンラート・ローレンツと共通の悪癖です。彼もまた、いつ終わりにすべきかを知らないのです!

ジュール・ヴェルヌ

追加の画像

この手紙の少し後に、現在の彼のポートレートが送られてきました。最初の50歳の写真と比べると、だいぶ若返っていますね。

「ここで見るものは、私が今まで書くことのできたどんなフィクションをも超えている」
と書かれている

さらに、彼の住んでいる宮殿の写真も送られてきました。

クワポール宮殿

実はこの宮殿が、この世にあるジャイナ寺院とあまりにそっくりなので、この後しばらくして、この通信を受け取った研究者が、他の研究者たちの一部から疑われ始めます。私はその中に入って、この世とそっくりのものがあの世にあっても全然不思議ではない、などと仲裁してました。この話は長くなるのでまたいつか書きましょう。

若干の説明

手紙の内容を少しだけ振り返ってみましょう。

自宅であるロングヴィル大通り6番地から

ヴィルヌの自宅は確かにロングヴィル大通りにあり、現在そこはジュール=ヴェルヌ街となっています。ただ、彼が住んでいたのは史実だと44番地のようです。記憶違い? もしくはこの通信を送ってきたヴェルヌは、パラレルワールドから来たのかもしれませんね。

私は突然、驚くべきことに体のどこにも痛みがないことに気づき

彼は気がついたらすべて治っていたようですが、他の通信を見ると、病気や障害の状態を持ち越して、向こうの病院のようなところでヒーリングを受けたりすることもあるようです。

私のオノリーヌを思い起こさせました

これはジュール・ヴェルヌの妻であるオノリーヌ・アンヌ・エベールのことでしょう。

ヘッツェル家の人や、愛する両親のソフィーやピエール

両親の名前はピエール・ヴェルヌとソフィー・アロット・ド・ラ・フュイエ。ヘッツェル家は、ジュール・ヴェルヌの生涯において非常に重要な役割を果たした出版者の家系です。ヴェルヌは彼らと会いたかったのに、会えなかったようですね。あの世はかなり階層が分かれていて、生前親しかったとしても、別の階層に行ってしまった人とはそうそう会えないのです。

私の甥ガストン

ジュール・ヴェルヌの甥、ガストン・ヴェルヌは精神病を患っていて、拳銃でヴェルヌの足を撃ったことがあります。ヴェルヌはその後ずっと、片足を引きずって歩いていました。

多くの人々の中には、フランスの実験者モニーク・シモネの祖父、ミシェル・キサカニンやーーー

モニークはある程度有名なITCの実験者です。他の人たちはわかりませんが、生前にITC実験をしていた人たちかもしれません。

ここで新しくできた友人コンラート・ローレンツと共通の悪癖です

コンラート・ローレンツは近代動物行動学を確立した人物のひとりとして知られています。彼はタイムストリームから、地球で動物達が無残な死を遂げた場所を検索し、技術的な方法を用いてそういった動物を霊の次元に連れて来る仕事をしています。

最後に

いかがでしたでしょう?
散々ひどい身体状況になって亡くなっても、また回復して、しかも若返って過ごせるのはいいですね。これまでに3回、それぞれ別パターンの死後の世界への到着を描いてきましたが、どれも興味深いものがあります。

次回はまた別の到着の様子を紹介したいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!