第9回:「喜び」が唯一無二の自分を創る
人は「喜び」で生きることができるようになると、唯一無二の自分を創ることができるようになります。
なぜかというと「喜び」と感じるポイントは人それぞれ異なるため、それぞれがそれぞれに自分の「喜び」を追求いくと唯一無二の自分になっていくからです。
そして唯一無二の自分になるためには「勇気」が欠かすことができません。なぜならば「勇気」がないと自分にとっての「喜び」を追求していくことができないからです。
客観性を捨てるという「勇気」
人は「主観」と「客観」の間で生きていて、この「主観」と「客観」のバランスを図りながら普段の生活を過ごしているといっていいでしょう。
しかし、もし自分の「喜び」を追求して生きていくのであれば、「客観」を捨てていく「勇気」が必要です。なぜかというと、自分にとっての「喜び」を追求して生きていこうとすると、「一般的」という考えとぶつかってしまうことがあるからです。
例えば、ミュージシャンになりたいと思っている人が、そのことを周りの人に相談すると、おそらく反対されることが多いと思います。というのも人は音楽に対する情熱とか技術とかそういった内容的なことよりも、成功するかどうかといったことを考えるものだからです。
もちろん相談する相手にもよりますが、相談相手が音楽に対して全く興味がない場合は、成功するかどうかという視点でしか考えないので反対される確率は高くなります。
こういったことは、フリーランスの仕事をしようとすると起こりやすい出来事です。例えば、音楽の仕事でも会社員としてするなら反対されることはないでしょう。しかし、「フリーで」というと反対される確率が高く、周りの協力を得ることができずに、やりたいと思うことを諦めてしまうということも場合もあるでしょう。
しかし、何かをしたいという思いがある場合、それができないことの方が、本人にとっては苦痛になったりします。もし自分が心からやりたいと思うことがあるのにそれを諦めてしまうと、後悔の気持ちを持ったまま生きることになってしまいます。
そういった意味でも、もし本気で自分の「喜び」を追求したいのであれば、自分の気持ちに従う「勇気」が必要になってきます。
創業者の多くは、その人の情熱で起業している
現在、日本にはたくさんの企業があります。そういった企業は従業員を雇って給料を払いながら会社を成り立たせています。しかし、どんな企業でも、その始まりは、個人かあるいは少数の人の集まりから生まれたものです。そして、そういった企業の創業者たちは、最初は誰もがフリーの立場で始めているのです。
創業するということは、成功するかどうか以上に、その人が達成したい何か、つまり、人生を賭けてでもやり遂げたい「喜び」があるはずです。そして、人が個人で何かを達成しようとする場合は、周りから反対される確率は高くなりますが、それを達成することができたとき、反対した人の予想を超えるような結果を手に入れることができるようになります。
つまり、周囲の反対を押し切ってまでも手に入れたいものが、自分にとってかけがえのない「喜び」であり、それを手に入れるためには、それを手に入れるための「勇気」が必要になってきます。
そういった意味では、様々ある会社の創業者の人達は自分の「喜び」のために一般性を捨てた人でもあります。もし本当に自分がやりたいと思うことがあるならば、一般性を捨てて「勇気」を出して自分の道を歩いていくしかありません。
ポジティブな意識は主体を自分に置くことで生まれる
こちらの表は、前回の記事でも紹介した、「パワーか、フォースか」で紹介されている「意識のマップ」です。
この表の赤い線より上の意識がポジティブな意識です。そして、この赤い線のすぐ上に「勇気」の意識があります。この「勇気」の意識がなぜポジティブの側にあるのかを、私なりの考えで説明していきます。
人がネガティブな意識を抱く理由は、気持ちと行動が一致していないからです。例えば、自分の気持ちに反して他者の意見に従って行動して、上手くいかなかったりするとネガティブな気持ちが生まれてしまいます。
これは他者の意見を納得していないまま、それを受け入れて行動した結果です。なので、もし自分の意識を前向きなものにしたいのであれば、気持ちと行動を一致させる必要があり、他者の意見ではなく、自分の気持ちに従っていかなければなりません。
そこで必要になってくるのが「勇気」です。他者の意見は大概、整合性が取れていて納得できるものだったりしますが、自分の気持ちは得てして整合性が取れているわけではなく、理由もなく「それをやってみたい」、「挑戦してみたい」という気持ちから生まれてくるものだからです。
そして、他者から反対されるような場合であっても、「勇気」を振り絞って自分の気持ちに従った決断をすると、その先に不安を感じることがあったとしても、気持ちと行動を一致させることができたため、ポジティブな意識で目的に向かって行けるようになっていきます。
「意識のマップ」のネガティブな意識に「恐怖」「無感動」「怒り」「欲望」「深い悲しみ」があったりしますが、これらも気持ちと行動の不一致によって生まれる意識です。
「恐怖」は、やりたいことができないことで生まれる意識です。人は「自由」を奪われると「恐怖」を感じます。こういった「恐怖」の意識は、人の心の葛藤から生まれる意識です。
同様に、やりたいことを我慢して生きていたりすると、自分の感情を殺さなければならなくなるので「無感動」な人間になってしまうし、「怒り」は他者の意見と自分の意見の違いによる反発です。
「欲望」も他者を羨むことで生まれる意識であり、人は他者から認められないと「深い悲しみ」が生まれたりします。
しかし、「勇気」を出して主体を自分に置き、他者性から脱却することができると、「意識のマップ」にあるようなポジティブな意識で生きていけるようになります。
ポジティブな意識のすべては、自分が主体になったことで生まれた意識であり、気持ちと行動が一致した結果なのです。
もちろん、他者の意見を取り入れることも大切です。しかし、単に他者の意見を取り入れているだけでは、気持ちと行動に不一致がおきてしまうため、もし他者の意見を取り入れるのであれば、心から納得する必要があるでしょう。
「不安」は自信がないから生まれる
「勇気」を出して気持ちと行動を一致させることができ、自分の「喜び」に向かっていくことができたとしても、当然「不安」は生まれます。
この「不安」が生まれる原因は「自信のなさ」にあります。しかし、「自信」があれば、周りが何を言おうと、例え現状で結果が出ていなかったとしても、「不安」を感じることがありません。
もし、今していることに「不安」を感じてしまうのであれば、もう一度、自分の気持ちと行動を見直す必要があるでしょう。そして、その見直しをした結果、それでも自分にとっての「喜び」を追求していきたいと思うのであれば、自信が持てるようになるまで、それをやり続ける必要があるでしょう。
そうやって自分の「喜び」を追求していった結果、「不安」を感じなくなるようになると、自然と結果が出るようになっていきます。
夢中になって生きると、自分を好きな自分に出会える
「喜び」には新たな「喜び」を生み出す力があります。それは自分の「喜び」を他者と共感できたときに生まれます。また他者の「喜び」を自分が共感できたときも、そこに新たな「喜び」が生まれます。
「意識のマップ」の「勇気」の上にある「受容」「理性」「愛」はそういったときに生まれる意識でもあります。
たとえば、人が「勇気」を持って行動した先に、前向きな他者との出会いが生まれます。こういった出会いは、ポジティブさで結ばれたものであり、他者との関わりを「受容」「理性」「愛」の意識で深めていくことができるため、自分という存在をさらに成長させてくれるものになります。
人は、夢中になって自分にとってかけがえのない「喜び」を追求していると、それだけで自分の意識を上げていくことがでます。自分自身を「受容」できるようになり、自分自身を「愛せる」ようになります。
そして、気が付けばそこに「唯一無二」の自分が存在していることに気づきます。
「喜び」は自分の内側から生命のエネルギーを湧き上がらせてくれる力があるため、ネガティブな意識をポジティブに引き上げてくれる力があります。こういった内なるエネルギーが自分という存在を昇華させ、「意識のマップ」の上位の意識である「平和」や「悟り」の意識へと導いていくれることでしょう。
といったわけで、今回は、「喜び」で生きるためには「勇気」が必要であり、「勇気」を持って生きることができると唯一無二の自分を創ることができるようになるということを書いてきました。そこで次回は、「喜び」で自分自身の道を切り開くといったことについて書いていこうと思います。
こちらは、記事の中で紹介した「パワーか、フォースか」です。読み応え十分で、たくさんの気付きを生んでくれる本です。