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歌川広重からパワーを貰っている

 浮世絵が好きだ。我が家の壁には葛飾北斎、歌川広重、鈴木春信、歌川国芳の浮世絵版画が全体で14点ある。全て復刻版を一点3万円ほどで購入したもので、価格の半分以上が額の価値といった代物で資産価値はない。しかし、私にとっては宝物だ。

 コレクションの中でリビングダイニングの一番目立つ場所に吊るしているのが広重の日本橋だ。朝食を摂りながら何時もこの作品をみることにしている。この版画は、東海道五十三次シリーズの巻頭を飾った作品だ。描かれているのは参勤交代の大名行列が朝早く江戸を出発する様子と、魚屋が向こう岸にあった魚河岸から仕入れを終え張り切って行商に出かけるところだ。

  江戸で一番賑わっている早朝の日本橋の活気が見ているものにも伝わってくる。シリーズのスタートにあたって、絵師からもよしやってやるぞ! という気合が感じられる作品だ。この版画をみるとこちらも朝一番気合が入るのだ。このころ広重は武士をやめて絵師として起業している。元々武家屋敷を担当する火消しだったこともあり、火事の多い江戸を象徴するように火の見櫓が描かれていることもこの作品を面白くしている。

  そして、画面上部の藍色のグラデーションは「一文字ぼかし」と呼ばれ、ぼかす色で、時間、季節そして気候などを表現している。
 北斎などは摺り師に細かく色や擦り方などを細かく指示していたものを広重はイメージだけを伝えて、彫師や摺り師に任せたことで職人のわくわく感も伝わってくる。 広重は愛されキャラだったようで、版元に後添いも世話してもらっている。

  昨年、オーストラリア人の友達が来日した時に、絵画を見て魚屋さん達はなぜ土下座していないのかと質問してきた。私が御三家以外は土下座しなくて良かったのだと説明したが不思議そうな顔をしていた。来年、再来日する予定なので、日本語を勉強している彼に一緒にウクレレを弾きながら江戸文化についても沢山説明してあげるためにこちらも勉強しておこう。


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