母を捨てるのには覚悟がいる
私が結婚してからもずーと同じ屋根の下で暮らしてきた母は、この春からショートスティに入所している。
母は今年の9月で91歳だ。家族に迷惑を掛けない様にというのが口癖で、自分の事は自分で出来るように、そしてボケない様にと常に努力していた。
その母が、1月に自分の部屋で転んでしまって救急車のお世話になった。和室なので大した怪我ではないだろうと思っていたが、大腿部を骨折していた。
手術してから2か月間の入院生活となった。医師からは、退院後は車椅子生活となること、そして入院中にボケてしまう事があるという説明を受けた。
退院に向けて自宅に介護用ベッドや手すり、それにトイレ内の手すりを設置し、車椅子をリースして母を迎い入れた。
看護師から「お母さんはリハビリも頑張ったのでトイレまで連れて行ってあげれば自分でズボンを下ろし、用を足すことが出来る」という説明をうけていた。
しかし、自宅では上手くできない事が何度もあった。
そのたびに、妻は母をお風呂でシャワーを浴びさせた。
夜は、母と合意のもとにトレーニングパンツにさせて貰たが、毎朝、シャワーを浴びさせなければならなかった。
そして、寝具も毎日洗わなければならなかった。
たまりかねて、姉夫婦にも現状を報告して理解してもらいショートステイに入所して貰った。
それからロングステイに変更したので、自宅には帰ってきていない。今月9日に母は特別養護老人ホームの職員の方と面談予定。
施設側からOKが出れば、即入所という事になる。その場合は母の住所は施設という事になる。
特別養護老人ホームは、終の棲家となる。
心の中では、これで良いのかという葛藤がある。母はボケていないので家に帰りたいという電話をしてくる。
妻も電話で応対している時は様々な思いが胸に去来しているだろう。
夢でたびたび楢山節孝(ならやまぶしこう)の場面が出てくる。母を背負って山を登ってゆく、そして母親をすてる場面だ、うーん、先々後悔するんだろうなぁ。
少なくても全部の責任は自分の背中で背負い続けるしかないだろう。
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