アークナイツ×MONSTER HUNTERコラボでの極東について
まず、この記事は現在(2022/1/24)大陸版で告知されている情報に基づいており、今後の情報更新によっては内容に誤りが生じるであろうことをご理解ください。
HYPERGRYPHとCAPCOMのコラボ
このコラボは大陸版での3周年記念生放送「《明日方舟》三周年前瞻特别节目录像」(2022/4/23)にて発表され、大きな話題を呼んだ。
その後半年ほど音沙汰の無い状況が続いたが、数ヶ月前の「《明日方舟》2022「感谢庆典」前瞻特别节目」(2022/10/23)にて遂に情報が少し明かされた。そこで、コラボ先はCAPCOMの多くのゲームの中でも「MONSTER HUNTER」であることとイベントの舞台が「極東」であることなどが判明した。
また、つい先日の「《明日方舟》2023新春前瞻特辑视频」(2023/1/8)では追加情報はほとんど無いまでも、イベントで登場するであろうキャラクターの一部や「極東」の背景画が明かされた。
今回は主に先日公開された背景画を元に考えられることなどをあげていきたいと思う。
極東
アークナイツの舞台であるテラの大地には多くの国家が存在しているが、それぞれの国家には主なモデル国家がある。例えばウルサスは「ロシア」、ヴィクトリアは「イギリス」、炎国は「中華帝国」などだ。もちろん、モチーフは1つな訳ではなく様々な地域や歴史からイメージを取り入れ多様な国家群が生まれているが、そのシナリオ内の描写にはその地域の伝統や文化、歴史が反映されている。歴史好きな私からすると各国家がどのように描写されているかは毎回興味の対象であり、新イベントの度ワクワクしている。
そんなテラの大地の中には「極東」(东国、Higashi)という国家があり、そのモデルの多くは日本に依っている。しかし、この極東は中々シナリオに登場をすることなく、その描写はシナリオ内の伝聞や各オペレーターのプロファイルなどから断片的に推測するしかなく、現在存在が知られている国家の中でも特に情報が少ない国の内の1つである。
どのようにHYPERGRYPHが日本の歴史や文化を用いて国家を形成するのか日本を母国とする者としてとても気になったため、詳細情報の出る前から背景画を元に色々考えていく。
背景画について
モデル
まず、印象的な家屋が合掌造りの建築物となっている。日本で現存する合掌造りの中でも特に白川郷と五箇山のものは「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコ世界文化遺産に登録された。
また、ユネスコ申請時に政府は「小屋内を積極的に利用するために、叉首構造の切妻造り屋根とした茅葺きの家屋」と合掌造りを定義としている。合掌造りは豪雪地帯での雪下ろしの負担軽減のためのものとしては有名であり、このような豪雪地帯では冬に外部から閉ざされてしまい陸の孤島と化すことが多かった。そのため集落では古くから換金手段として家内制手工業が発達した。また、巨大な屋根は豪雪対策だけで無く屋根裏の利用のためという点も大きかった。
その商品として、屋根裏で育てる蚕と床下で生産していた焔硝(硝石の代用品)などがある。これらの地域では表立った名産としては広く、多層構造となっていた屋根裏での養蚕や製紙などがあったが、鉄砲伝来以降火薬の重要性が増すと日本では黒色火薬の原料であるが自然に産出しにくい硝石を人工的に焔硝として培養することになった。特に加賀藩領であった五箇山(富山県)はその命を受け焔硝をいち早く床下で培養し秘密裏に貴重品であった焔硝を加賀藩と売買していた。岐阜県側の白川郷も同じように焔硝を生成していたことがわかっている。焔硝の生産は軍事機密であり、冬は雪で閉ざされる辺境の集落はその点で非常に重要かつ便利であった。
その他の特徴としては屋根上の雪を均等に溶かすことや風当たりを考えて窓や玄関のある開放部は全て南北に向いていた。また、この巨大な茅葺き屋根を張り替えるなどの共同作業が必須であり、相互扶助を行う共同体としての「村」が他地域よりも重要になっている点がある。
考察(妄想)
現在生放送で出てきている情報の1つとして「自然と抵抗とはどのような意味を持つのか何かわかるかもしれません。」というものがある。MONSTER HUNTERとのコラボなので自然との関わり方については大きなテーマになっていくと考えられ、モンハン世界の住民とロドスのオペレーター、そして現地の極東の住民の自然観についても多く語られると考えられる。
テラの大地では「天災」は対抗することは出来ず、逃げ出すしかない存在であり、基本的に移動都市外の荒野で住むことは危険で寿命を短くする行為となっている。また、モンハン世界では竜(ワイバーン)などの巨大危険生物だけでなく存在しているだけで災害を引き起こす古龍がいるなど驚異の生態系を持つ世界である。極東の集落は前項でまとめた通り合掌造り集落がモデルであり、集落では厳しい自然に苦しみながらもその中で生きるためにその自然の利用して生きていた。今回のシナリオでは逃走以外の対応、自然の厳しさだけでなく例えば自然の利用、共生なども描かれるのかもしれない。
個人的な予想をあげてみると、1つは前項で述べた焔硝の生産が出てくると考えている。テラの大地では先民の筋力やアーツの影響で銃や火薬(源石由来でないもの)が発達しておらず、前回のR6Sコラボでもニトロセルロースの存在が一般オペレーターには知られていない点や画中人でもニェンがテラには無い物質、技術を用いたロケット爆竹を使用するなど火薬についての言及は世界観の根幹に繋がる可能性が出ている。しかし、黒色火薬は現在用いられている火薬よりも原始的ものであり、焔硝の培養も生物の排泄物と野草、土中の微生物の働きによるものであるためテラの大地でも生成できるとは思われる。
そのため、ウルサスと炎国という強国に挟まれ、凍原や海からも近い極東では火薬を生産、利用しててもおかしくないのではと考えた。テラの大地でも列強に入るであろうウルサスに勝てるだけの力を持っていた極東の特徴として火薬と源石を用いた独自技術による軍事力は1つのキーポイントになる可能性がある。これについては大きな根拠があるわけではなく、どちらかというと友好的なエーギル由来の技術の方が説得力は大きいが、コラボでは「火薬」などの共通キーワードがあったりしたら面白いなと感じたからというのが大きい。
もう一つの予想として蝦夷(えみし)関係の話があるんじゃないかということだ。これは白川郷に行った時に現地のガイドから聞いた話なので正確なものではないが飛騨の山奥では蝦夷の生き残りが残っているためここら辺の人達は顔が濃いという話である。眉唾物ではあるが、実際山深い地には平家の落ち武者集落など様々な噂があり、辺境の集落の特異性という点で、極東における龍やペッロー、鬼、エーギルなどの種族についての話があるかもしれない。
情報が少なすぎるため考察と言うより、妄想な部分が多いが個人的に考えていたことをまとめてみた。個人的にモンハンは生態系の表現という点で大好きであり、今回のイベントストーリーで謎の多いテラの一般生物(~獣など)や生態系についてまとめられたらうれしい。
疑問点
合掌造りの建築物が写っているがこれは豪雪地帯で発達するものであることは重要な点だ。日本海側の山間は世界的に見ても雪が多く降る地域であり、その理由として大陸からの冷たく乾燥した季節風が日本海を渡るときに暖流の対馬海流から大量の蒸気を受け取りそれを雪として季節風が山脈にぶつかったときに降らすからである。テラの極東においても冷たい風と山脈は生まれる可能性が高いが、最も重要なファクターである暖流が流れる日本海がない。先ほど述べた極東がウルサスに勝った点でもモデルの日露戦争では日本海は重要だ。この日本における日本海に相当する特殊な地形が極東にあるのかも気になるので言及を期待したい。
また、特徴的な屋根の縁に塩ビパイプを半分に切ったようなものがついているのが気になった。雨樋にしても落ち葉が詰まって排水が滞った場合茅葺きの劣化が早まるだろうし、雪止めとしても合掌造りがある地域は1m以上の積雪は基本でありこんなパイプではすぐ折れるなどして逆に危ないんじゃ無いかと思ったからだ。他の仮説として、冬期以外は雨樋で使うのかと考えたが、そうだとしても防水性がかなり高く表面で水を弾くトタンや瓦と違い雨は屋根にしみこむようにして防水される茅葺き屋根にわざわざ毎シーズン雨樋を付け外しするのは合理性から謎に感じてしまった。
個人的に雨樋っぽい何かについてはなんなのかは特に気になったのでテラ特有の問題に対処するものなのか言及されたらうれしい。私自身雪国に暮らしたことはないので経験者からなんか予想などがあればとてもありがたい。
まとめ
今回は今後来る極東を舞台にしたMONSTER HUNTERコラボについてその背景画のモデルから情報をまとめ、考察(妄想)を行ってみた。ほとんど情報が明かされてない状態なので今から楽しみだが、色々考えてみるきっかけになってくれたらうれしい。今回もHYPERGRYPHお得意の初出国家は辺境地から描写するという形になりそうなので、国家としての極東の種明かしには時間がまだかかるだろうが、今後の続報に期待したい。
最後に
はじめましてSivolです。今回初めて考察記事という形で出してみました。今まではいろいろな考察者様の考察などを聞きながら頭に中で色々考えてみる程度のものでしたが、記事としてまとめてみようと思い今回執筆しました。読みにくかった点もあったとは思いますが最後まで読んでくださりありがとうございます。不定期にはなりますが、これからもなんとか頭の中の考えを言語化して行きたいと思いますのでよろしくお願いします。(一応次の記事のネタは考えています。)
今回の記事を書くに当たり中国語の勉強もかねて該当箇所の大陸の生放送内容を翻訳してみました。参考リンクの最後に添付しておきます。
参考
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