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「万祝博覧会」千葉県立中央博物館

2024.9.7

行こう行こうと思ってたら、いつの間にか会期終了の月に突入してしまった。でも最終週じゃないから、私にしては余裕がある方である。

本千葉駅から歩いて20分強。途中に県立中央図書館、文化会館(大高正人)があるので飽きずに歩いていける。でも夏は汗でべちょべちょになる。着替え持参推奨。素直にバス使えば良いんだが、1時間以内だし歩ける距離だし……

よっ、大高正人(文化会館)
まだ入口じゃないです。もう少し歩きます。
館内到着~。左側のキャラクターはネロル。
かぁいいねぇ!!驚くとくちばしが飛んでた。

学生400円で1日中居られる。むしろ1日かけないとちゃんと回れない。常設展のボリュームがとんでもないのだ。今回の私の敗因は、ぬるい寝坊をして開館時間から館内に居られなかったことと、午後から千葉県美に行く予定にしていたこと。これは推奨しない。手間でも別日にするべきだった。そのくらい、館内が充実してるんだ。すごいぞ県博。


さて特別展万祝。万祝自体は去年銚子に行ったときあたりからずっと興味があった。大漁祝のときの、功労者に渡されるとか、漁師だけじゃなくて船の機関士にも渡されることがあったとか。万祝をサラッと着て肩で風きって歩くのがかっけぇとか。何を隠そう私の父方の祖父までは漁師なので、そういうのと親和性は高いんですわ。日本海側近海なので、万祝文化圏とはちょっと違うんだけど、なんとなくそういう気風は分かる。

・万祝文化圏は太平洋側で、北は八戸、西は沼津あたりかな、房総半島を中心にできた万祝文化が広がってるんだと。体感としてもなんとなく静岡が東の境目だな〜って感じがするので、万祝もそのあたりまでなんだな。出稼ぎとかで房総半島から万祝文化が伝播したとか。東廻り航路だとか、親潮黒潮の流れとかも思い出さなきゃな。たぶんいろいろ重なる部分が出てくるんだと思っている。

・地域性がばりばりに出る。房総では鰯大漁の図柄・文字がメインなってるけど、東北だと鮭だとか鮫だとかも出てくる。鮪もだし、鮑、蛸、烏賊、鰹、あとは~~いろいろその地域で、大量にとれると嬉しい海鮮が模様になっていた。ほかには漁の進化に合わせて、網の形や、潜水服まで図案に登場していた。潜水服を図案にするってハイカラが過ぎるじゃんね、かっけぇ~~!!

潜水士のいるデザインに衝撃。

・県立博物館でやるのがぴったり。歴史民俗だけじゃなくって、生物の知識もあるとさらに楽しいから総合博物館でやるのが良い。鰯ってどんなお魚だっけな、とか、亀って実際どうよ、とか、鯨が捕れたらどれだけの大きさなんじゃろなとか。図案と生物のいったりきたりが同じ建物内でできるメリットはかなりでかい。

ネロルかわいい。

・なんでこんなに万祝が残っているか、今はどういう状況なのかっていうのまでしっかり説明されているのが、単なる美品鑑賞に終わらないので良い。晴れ着とはいえ日用品ではあるから、擦り切れてきたらそりゃあ当て布したり転用したりして生活の中をめぐっていくものではある。昨今のBOROブームもあって、その前には民芸運動からの流れもあるわけで、注目されつつあるとはいえ、紺屋の減少は事実としてあるし、着物を着ることが少なくなって、より実用的なものの下賜に変わっていったってのもあるし。銚子でDiorのジャンパーを着てローソンに入っていく人を見たんだけど、これが現代の万祝なんだろうな~って、スッと腑に落ちた。
脱線しすぎたけど、こういう状況でも、綺麗な万祝を今、こうして千葉県立中央博物館で見ることができるってのは、保存に尽力した人がいるから、ってのがちゃんと語られていて、目頭が熱くなっただよ。白浜海洋美術館はぜひぜひ見に行きたい。

大変格好良い。
万祝に仕立てる前の反物状態もある。
反物で渡されて各人で仕立てるんだって。
奥さんに作ってもらったり、
知り合いの裁縫名人に頼んだり。
仕立てられる人が少なくなったってのもあって
万祝もジャンパーとか別のに代わってったんだろうな。

・さらに被災した万祝が修復を経て、とても繊細な弱い光の中で展示されているのもあった。地域資源として残す選択をして、こうして展示されて残されていくってのも感慨深いですね。

総じて、とてもとても良い展示だった。
図録をしっかり読むのが楽しみ。

あと、アオダイショウは脱皮したかな。いっぱい説明してくださった小動物展示コーナーのお兄さん、ありがとうございました。博物館でまさかの生体展示。いや、博物館の括りのなかに動物園もあるから、まあ……でもさ、なんでもあるよ千葉県立中央博物館……すごいや……
脱皮するとこ見たかったな。ネズミ丸呑みするのも見たかったな。たぶんお腹空かせてたアオダイショウよりも、昼飯食いそびれて飢えてた私が、じっと見てたから怖かったかしら。意外と気にしてなくて、でも餌の置き角度とかは細かいらしくって、気に入らないと手を付けないんだって。

こだわりが強いね!

また行く。今度は一日がかりで行くんだ。

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ささき
おいしいごはんたべます。