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読んだ文学作品から印象に残ったフレーズを書き残します。

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最近の記事

ママ・はは

辻村深月氏の短編集『嚙みあわない会話と、ある過去について』に収録されている作品。友達同士である小学校教師の主人公とスミちゃんの会話から抜粋します。 保護者会に来た‘‘変わった‘‘母親の話から、2人は子育ての話をしています。 親は子どもを評価するが、逆もまた然り 親が子どもを支配できるのはせいぜい20年程度で、1人の大人として自立した瞬間に「どこが良かった」「どこが嫌だった」そんな通知表を渡されてしまう。良ければ仲良くしてもらえるし、悪ければ見捨てられてしまう。 親がいく

    • 雨の降る日は学校に行かない

      相沢沙呼氏の連作短編集『雨の降る日は学校に行かない』に収録されている、中学校でいじめの標的にされてしまった主人公、小町の物語です。 協調性とは何か 「お前も協調性を持って、自分の意見を口にする努力をしろ」と担任教師に言われた小町。しかし協調性とは「異なる意見や立場の人と協力して目標を達成する能力」であって、ここに至って協調性が必要なのはどちらかというと、いじめ主犯格且つクラスの中心人物である飯島です。担任教師も、小町のように引っ込み思案な生徒に対しては意見を言う練習や方法

      • 何もかも憂鬱な夜に

        殺人と死刑制度に向き合った、中村文則氏の作品です。本作品は刑務官の主人公と、未決死刑囚の青年を中心にした物語ですが、今回はここに登場する児童施設長が幼少期の主人公に向けて放った言葉から2つ抜粋します。 理解できないものや考えに遭遇した時、すぐにそれを否定する幼稚な精神のまま大人になってはいけない この本、とても強いメッセージが込められていそうで、それがよくわからないんですよね…。実際、解釈に悩む言詞にぶつかることが多々ありました。その度に何度も読み返しながら、少しずつ自分

        • 終わりのない出会い

          現代文の教科書に掲載されていたエッセイ『終わりのない出会い』から抜粋しています。当時から改訂されているので、今の教科書にはもう載っていないかもしれません。 大切なことはいつも、後になってからわかる これをとても綺麗な文章で書き表してくれています。受けた言葉や施しの意味に直ぐには気付けなくても、立場が変わったり、経験を重ねていくうちに少しずつ領得に至ることがあります。それをここでは「出会い直す」と表現していて、綺麗な表現だなあと思いました。